第12話 生存者

スタッフルームに設置されている椅子に、テーブルを挟んで親子と向かい合う形で座る。

「遅くなりましたが、私は高遠雅人です。

先ほども言いましたが、ここへは物資を手に入れるために来ました」

「私は安藤由香里です。

この子は娘の「安藤未来です、高校2年です」

主人がここの店長をしていまして、外出規制がかかったあとに、ここの方が物資に困らないだろうと移動してきました。

移動してきた時には、食品のある一階はモンスター?に荒らされていて、慌てて二階に避難したんです。

二階には食品があまり有りませんでしたので、助けを呼ぶか、一階からなんとか食料を持ってくると言って、主人は出ていったのですが、その後戻ってきていません」

「そうだったのですね。

一階には人は居ませんでしたので、何処かに助けを呼びに行って、戻れなくなっているのかもしれないですね」

「そう…ですね」

「お父さん…無事かな?」

二人とも父親の安否が不安な様だ。

一週間戻らないのだからもしかしたら、とは思っているのだろう。

「正直分からないですね。

私がここに来るまでに通った範囲に人は、誰も居ませんでしたので。

どこもモンスターだらけで、安全な場所がある様には見えませんでした」

「お兄さんはモンスターだらけの中、どうやってここまで来たの?ここの近くに住んでるの?」

「うん?近くはないかな。

徒歩で2時間位じゃないかな?

俺はステータスを獲得してて、少しはモンスター相手に戦えるから、ここまで来れたんだよ」

「ステータスってなに?」

「ラジオで聞いたことない?これなんだけど」

アイテムボックスからラジオを取り出し政府の放送を聞いてもらった。

「えっ?これ何処から出てきたの?」

「まぁ取り敢えずこれを聞いて。

それから説明するよ」

「わかった」

二人に政府の放送を聞いてもらい、ステータスやレベルアップ、スキルについて説明していった。

「完全にゲームやラノベの世界じゃん。

私もステータス欲しい!」

「こんな事があるんですか?これからどうすれば…」

お嬢さんは順応早いな、流石ラノベ好きは違うな。

一方の奥さんは戸惑い方が強いようだ。

「た、高遠さん。

お願いします!私達を政府の方々の言っている◯◯まで連れて行って貰えませんか?」

「申し訳ありませんが、◯◯ってかなり距離がありますし、私は行くつもりはありませんので、ちょっと無理ですね」

「た、高遠さんはステータスを獲得したのですから、反抗作戦に参加されるのではないのですか?」

「たぶん参加しないですね。

政府にどれだけステータスを持っている人が居るのか分かりませんが、政府の為に戦うメリットが思い付きません。

政府の元に行ったら、モンスターを狩るための奴隷みたいに扱われるだけですよ。

労力に見合った報酬が、得られるとは思えませんからね。

今、金銭を貰っても使えないですし。

正義感だけで知らない人の為に、命を掛けて戦うとか無理ですよ」

「そう…なのですね、分かりました。

無理を言って申し訳ありません」

「いえ、大丈夫ですよ。

こんな状況ですから、誰かに頼りたくなるのも仕方ないと思います。

ここに来るまでに、多少は食料を手に入れてますので、大量にとはいきませんが、少し置いていきますので頑張って下さい」

「ありがとうございます」

アイテムボックスから適当に食料を出していく。

これで一月位は食べていけるだろう。

「それでは私はそろそろ出ようと思います」

立ち上がろうと声を掛けると

「えっもう行っちゃうの?」

「そうですよ!外はもう暗いですし明るくなってから出た方が良いですよ。

それにここは、太陽光発電で蓄電してますので、シャワーも井戸水を使って浴びる事が出来ますから。

食料も頂きましたし、お礼ではないですが、今日はここで休んで行って下さい!」

結構必死に引きとどめられる。

スタッフルームにシャワーがあるのは凄いな、シャワーは確かに浴びたい。

水魔法と火魔法で、湯船にお湯を作るのは少し面倒たからな。

「シャワーはありがたいですね。

お言葉に甘えさせて頂きます」

簡単に夕食を済ませ、交代でシャワーを浴びる。

ホームセンターの二階は、アウトドア用品と衣料品、それと家具や寝具のフロアーらしい。

アウトドア用品の中にある、携帯食品で二人は今までしのいできたそうだ。

家具売場にあった、シングルベッドを使わせてもらって、寝具のコーナーから持ってきた掛け布団を掛けて寝る。

二人はスタッフルームに、マットレスと掛け布団を持ち込んで寝ていたそうだ。

ベッドで寝て暫くした頃に、一つ気配が近付いてくる。

「高遠さん、まだ起きていますか?」

と言って奥さんがやって来た。

「はい、起きていますがどうかされましたか?」

「私達は今後二人だけでは、生きていけません。

頂いた食料が尽きたら、次を確保出来ないでしょう。

お願いします!私達を助けてください!お願いします!何でもしますから!お願いします!」

「いや、そう言われましても」

「お願いします!助けてください」

そう言って、着ていたワンピースを脱いでいく。

そういう事なのだろう。

自分を好きにして良いから、なんとか庇護してもらいたいと。

高校生の子供がいるとは思えないほど、若く見える女性だ。

恥じらいながらも、必死の表情で胸元まで下ろしたワンピースを押さえる姿は、そそるものがある。

レベルアップによって若返った肉体は、抑えることが出来なかった。

由香里さんを抱き寄せ、朝まで身体を貪り尽くした。

とても良かったです!

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