第11話 生存者
今回たどり着いたホームセンターは、俺が住んでいる市街地から、山方面に向かった外れにある。
この辺は土地が安いのか、広大な敷地に建っている。
山方面に向かうにつれて、モンスターも多くなってきて、ここに辿り着くまでに結構な数のモンスターがいた。
道路には破壊された車が散見され、モンスターに襲われたのであろう死体も多かった。
死体の殆どは、モンスターに食べられてしまうようで、死体が腐って腐臭がひどいということはなかった。
どちらが良いのかは判断に迷うところだが、死体が腐って病原菌が繁殖してしまう世の中よりは、生き残っている人間にとっては良いのかもしれない。
道中のモンスターを、倒そうと思えば出来るのだろうが、パイプも曲がってしまっているので安全策をとった。
ホームセンターで武器になりそうな物を見繕いたいと思う。
ホームセンターの入り口は、ガラスが割られ簡単に中に入れた。
気配感知で調べると、一階にはモンスターが三体居るようだ。
驚いた事に二階から、生存者と思われる気配が2つ感じられる。
生存者に会いに行くか、と思ったが先に一階で武器を探そうと思う。
モンスターの居ない方に向かいながら、散乱している商品を適当にアイテムボックスに収納していく。
大きい店舗のため、破損している物を除いてもかなりの収穫だ。
武器になりそうな物がないか探していると、巨大なハンマーを発見した。
こんなもんも売ってるんだなぁ、と思いながら手に取り振ってみる。
問題なく振れる様なので、武器はこれにしよう。
予備として、他に置いてあるハンマーを全て収納する。
ハンマーを手に持ち、一番近いモンスターに近づいていくと相手も気が付いた様だ。
またお馴染みの狸だな。
今回は不意討ちをせず正面から対峙する。
狸が、かなりのスピードで突っ込んでくるが、横に振り抜く。
ぐちゃっ!
先端の塊が狸の頭に直撃して、簡単に頭を潰した。
こいつら本当に弱いな。
いや、たぶんレベルアップで俺が強くなっているのだろう。
以前であれば、ハンマーを軽々と振り回せないし、生物を傷付けることにも躊躇していただろう。
きっとステータスの攻撃力や、精神力が上がっているのが関係しているんだと思う。
その後も商品を収納しながら、二体のモンスターを倒す。
最後に倒したモンスターは、軽自動車程の大きさの猪だった。
突進を正面から受けるのは、危機感知の警告に従い回避して、横から胸の辺りを掬い上げる感じで叩き上げる。
胸部を潰されたモンスターは、暫く痙攣した後に動かなくなった。
胸骨にハマってしまったハンマーを、無理矢理引き抜くと、拳大の赤黒い石のような物が出てきた。
モンスターを倒して手に入る石と言えば魔石だろう。
先に倒した二体の死体も調べてみると、胸部からゴルフボール大の魔石を発見した。
アイテムボックスに入れてリストを開いてみると、魔石Eが2つと魔石Dが1つと表示されていた。
狸の魔石がEで、猪の魔石がDって事だな。
テンプレ通りなら色々と活用出来る筈なので、今後はしっかりと確保していこう。
三体倒してレベルも2つ上がった、スキルポイントは後でゆっくりと考えてから使おうと思う。
倉庫も含め、一階は一通り商品を回収出来たので二階に向かう。
下で大きな音を出したからか、10メートル程離れたいた生存者の反応が固まっている。
驚かせてしまったようだ、申し訳ない。
二階に上がると防火扉が閉められており、先に進めない。
扉を軽く叩いて声を掛けてみる。
「すみません!誰か居ますか?」
生存者と思われる反応が、纏まって近付いてくる。
「救助に来られた方ですか?」
女性の声が聞こえた。
「いえ、物資を調達出来ればと思い来たのですが、扉が閉まっていたので誰か居るのではと思い声を掛けてみました。
情報交換でも出来ればと思うのですが、扉を開けて貰うことは可能ですか?無理にとは言いません。
お断り頂ければ、すぐに出ていきます」
「近くに猛獣は居ませんか?」
「モンスターですか?近くには居ませんね」
「開けますので、少しお待ち下さい」
「はい、ありがとうございます」
中からガタガタと音がしたあと扉が開かれ「どうぞ」と声を掛けられた。
失礼しますと言って中に入る。
扉の内側に荷物を積んで、補強してあった様だ。
中に入って二人の人物を確認する。
20代後半くらい?の女性と中学か高校の制服を着た女の子が居た。
「提案を受け入れて頂き、ありがとうございます。
他に人は居ないのですか?
居れば皆さんから、お話を聞かせて貰えればと思うのですが」
他に居ないことは知っているのだが、一応聞いておく。
「今は私と娘の二人しか居ません。
主人が一週間程前に、助けを呼びに行くと言って出ていったのですが、まだ戻って来ていないのです。
外は今どうなっているのですか?
主人と連絡を取りたいのですが、電話も繋がりません」
「あー、電話は無理かもしれませんね。
どこも電気が止まってしまっています。
外はモンスターが暴れまわっていて、かなりの死傷者が出ている様です」
「モンスターと言うのは、外に居た猛獣の事ですよね?」
「そうです。
私が勝手にそう呼んでいるだけですが」
その言葉に女の子の方が反応した。
「モンスターの方がゲームとか小説でよく見るから、そっちの方が呼びやすいね」
「お嬢ちゃんもそういうの分かるんだ?
おじさんもゲームとか小説が好きだから、そう呼んでるんだよね」
「おじさん?大学生くらいじゃないの?」
「いやいや!もう46歳だよ」
「うそっ!?全然見えないよ?30代って言われても嘘だと思う」
う~ん?最後に鏡を見たときは確かに30代くらいに見えたけど、そのあとステータスの魅力を上げたり、レベルも上がったから更に見た目が若返ったのかな?
「嘘ではないんだけど、証明も出来ないから、お兄さんでもいいよ?」
若く見られて嫌ではないので、そう言っておく。
「二人とも立ち話もなんなので、奥のスタッフさんの休憩所に行きましょう。
椅子やテーブルもあるので、そこで話をしましょう」
女性の提案に頷いて、話をするために奥に移動をした。
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