時間を聞いて蕎麦のお代をごまかそうとしたら逆に払いすぎてしまった話
(注)古典落語のネタバレがあります
えー、毎度ばかばかしいお話を一つ。今からするのは時間を聞いて蕎麦のお代をごまかそうとしたら逆に払いすぎてしまったってお話でしてね……え、オチまで言ってどうすんだいって? それがね、最近じゃ何でも分かりやすいってのがいいってんで。洒落たお題付けても噺の中身がわかんねえとクリック……じゃなくて見てもらえねえってわけで、落語のタイトルも変えてかなきゃ、という話になったんですね。
「息子の名前が長すぎて呼んでるうちにたんこぶが引っ込んだ話」とか、「饅頭が怖いと言ったら無理やり饅頭食べさせられたけど、実は饅頭が好きで最後にお茶が欲しくてお茶が怖いと言う話」とかね、最近は内容がちゃんとわかるようにお題をつけるんでして。まあ無粋だって話もあるんですが最近は何でもすぐわかる、短いが好まれる時代でね。ぱっと見てわかってぱっと終わるのがいい……え、なんだい。すみません、袖の方から声がかかりましてね。
え、もう一分経った? まだ蕎麦の話にも入ってないじゃないかって? もう嫌な世の中になっちまいやがいましたね。ええ、ええ、しますよ蕎麦の話。
「蕎麦を一杯食いたいんだがいいかい……え、食券? これも時代だねえ。仕方ねえ、100円玉を1枚、2枚、3枚、ええと、今なんどきだい?」
「1時だね」
「2枚、3枚、4枚、5枚……」
「お客さん、ボタン押さないと食券は出てこないよ」
「なんだって。おお、あぶねえ。700円も入れちまってる。食券じゃなかったら騙されるところだった。いい時代になったもんだ」
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