第3話彼岸花

風が涼しくなり薄い長袖で過ごしやすくなってきた、ある日の夕方。

喫茶店の片隅で一人コーヒーを飲みながら、本を読んでいる女性。

「待った?

遅れてごめん」

「ううん。本を読んでいたから(笑)」

「読んでいる途中ならボクもコーヒーを頼もうかな?」

「じゃ後少しまっていて」

彼は店員にコーヒーを頼んで私の向かいに座って黙って携帯をいじりだした。

私はこの何気ない言葉のやり取りと静かな時間が好きだった。

30分程たった頃に彼が

「さっ。そろそろご飯を食べに行こうか。今日は店を予約してあるんだよ。送れないように行かなくっちゃ」

「えっ。今日は何かの記念日だった?」

「まっ、行けばわかるよ。ここから歩いてすぐだけどその前にちょっと寄り道」

「ここはブティック?」

「うん。今から行くところはラフな服装はちょっと無理なんだ。だからね。今日は色々サプライズをを用意してあんだ。洋服も俺からのプレゼント」

「えっ」

そのワンピースが気にいったらそれを着て食事にいくよ」

「えっ。何?今日はどうしたの。頭は大丈夫?」

「アハハ。大丈夫だよ。さっさと着替えて食事に行こう?

その後2人は素敵なピアノ演奏の中で食事を取り、食後のデザートの時にコスモスの花束と一緒に指輪がデザートと一緒にワゴンに運ばれてきた。

「サオ、色々とあったけどこれからもずーっと傍にいて欲しい。イヤ、俺の横はサオでなくてはダメなんだ。本当は赤い薔薇と思ったんだけど、花言葉を、調べたら絶対サオにはコスモスだと思った。サオ!オレと結婚してください」

彼女は

「えっ」

と言って固まって、そのうちに彼女の目から涙がつぎから次へとあふれでてきた。

そして、静かにうなづいて

「うれしい」

と一言。

それからの二人は目が回るほどの忙しさだった。

両家の挨拶、新居探し。

結婚はまだまだ先と思っていた二人だが、両家挨拶で結婚わを急かされてしまっての忙しさだった。

彼はちょうどプロジェクトの仕上げに入っていて、毎日が終電か間に合わなければそのまま会社に残って夜を明かしていた。

だから彼女は彼の分も頑張って結婚への準備をしていた。

「式場の、場所も決まって、結婚式は彼の仕事が一段落ついてからということに決まったのでよかったぁ。

でも籍を先に入れるからと言って、この間彼の仕事の、合間に写真だけ取ったんだよねー。ウェディングドレスを着るとなんか本当に結婚したんだって実感してきた。

うーん。もうへとへと。早く一緒に暮らしたいなぁ」


日頃の疲れから彼女はベッドに入ったとたんぐっすりとねてしまっていた。


それからどの位の時間が経ってたのだろうか。

突然携帯が鳴りだした。

「う〜ん誰だろう。こんな時間に,

もしもし」

「もしもし!サオさん?慶太郎の母です」

「はい!何かあったんですか!」

「落ち着いて聞いてね。慶太郎が事故に巻き込まれて病院に運ばれたんだけど病院に着いた時にはもう息がしてなくて。、これから家に連れて帰るのでサオさんも今から家に向かって来れるかしら?

もしもしサオさん?もしもし」

「えっ。はい!今からお家に向かいます」

「待っているわね」

彼女は携帯を握りしめたまま何を言われたんだろうと頭の中が真っ白になったが、ふと我に返り自分の親に連絡を取り彼の家に向かった。

彼の家に着いたら目を真っ赤にした彼の母親が迎えてくれ彼の所に案内をしてくれた。

そこには顔に白い布がかかった誰かが寝ていた。

白い布を取ると彼が寝ていた。

「嘘……。ね〜起きて。親を巻き込んでのこんなドッキリなんて嫌だよ。ねえ返事をして、ねぇてば」

そこに彼の父親が彼女の肩に優しく手をかけ

「サオさん。飲酒運転の車が路上に乗り上げ、ちょうど駅に向かっていた慶太郎を跳ねたんだ。ほぼ即死だったそうだ」

「うそ…嘘よ。慶太郎が私を置いて行くはずがないもん。ないのよ~」

その後の葬儀のことなどなにも覚えていない。

何をどう動いていたんだろう。記憶が抜けている。


あれから1年。

まだまだ信じきれないけと。


天国から見てくれていますか?

最後にあなたは私に大切なプレゼントを置いていってくれましたね。

この大きな目はあなたににていますね。

ありがとう。

コスモスの花言葉を調べました。

調和・謙虚・乙女の純真でした

これが私のイメージ

思わず顔を赤くしてしまいました。

彼岸花の花をここに植えようと思いましが辞めました

悲しき思い出の花言葉

私とあなたの思い出に悲しい思い出はなかったですね。

でもねみつけたの。

白い彼岸花

また逢う日を楽しみに・想うはあなた1人。

今の私の気持ちと一緒です。

だから、ここに白い彼岸花をいっぱい植えますね。

あなたと過ごした楽しかったことの続きは、今度は今度はこの子と笑いながら過ごして行こうと思います。



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