第6話

またところ変わって、二郎たち家族9人が暮らしている家にて…


悠馬ゆうまの友人たち4人は、有希子ゆきこから留守番を頼まれていた。


時計のはりは、夕方6時に2分前をさしていた。


友人たち4人は、ものすごく困った表情を浮かべながらつぶやいた。


おばさんたちは…


どこまで行ったのかな…


お墓参りが終ったら、スタバでお菓子を買って帰ると言うたからルスバンを引き受けたのに…


おうちに帰りたいのに帰ることができない…


おとーさんと一緒におふろに入りたいよ…


炊きたてごはんが食べたいよぅ…


焼きたての肉を炊きたてごはんにのせて食べたいよぅ…


友人たち4人は、有希子ゆきこのせいで楽しみをうばわれた。


どうすればいいのだ…


友人たち4人は、その後も家の中に滞在することになった。


4人ともスマホを持ってないので、電話をかけることができない…


どうしたらいいのだ…


助けてほしい…


(カーン、カーン、カーン、カーン、カーン、カーン…)


ところ変わって、有希子ゆきこの実家の大広間にて…


柱についているカシオの電波時計から夕方6時を知らせるかねが鳴った。


子どもたち3人(真希子まきこ悠馬ゆうま真有子まゆこ)は、となりの部屋にいたので大広間にいなかった。


悠太ゆうたは、いびきをかきながらグーグーと寝ていた。


正行まさゆきは、女々しい表情を浮かべていた。


有希子ゆきこたちは、ひどくいらついた表情でともえをにらみつけた。


ともえは、オロオロオロオロしながら時計を見つめながらつぶやいた。


おそいわね…


舘野たてのくんはどこへ行ったのよ…


舘野たてのくんがうなぎ屋を出たのは3時過ぎよね…


普通だったら、もううちに着くころなのに…


(ジリリリン!!)


この時であった。


大広間に置かれている黒のダイヤル式の電話機のベルがけたたましく鳴り響いた。


もしかしたら…


舘野たてのくんかもしれない…


ともえは、受話器を手にしたあと話をした。


「もしもし舘野たてのくん…えっ…あっ、田之尻のうなぎ屋のご主人さま…」


電話は、うなぎ屋のご主人からであった。


うなぎ屋のご主人は、オロオロしながらともえに言うた。


「もしもし…今すぐにテレビをつけてください…」

「テレビ?」

「もうすぐ臨時ニュースが入りますよ!!」

「分かりました…有希子ゆきこ!!テレビをつけて!!」


ともえから頼まれた有希子ゆきこは、大広間に置かれている50型の東芝レグザ(デジタルテレビ)をつけた。


テレビの画面にNHK総合テレビが映った。


テレビの画面は、菊間町の国道196号線沿いの様子が映っていた。


画面は、葉山のバス停付近〜太陽石油の工場前〜丘の上にある茶店〜ホンダカーズ店の前の道路までが映った。


ホンダカーズの店の前に、大容量の海砂すなが落とされていた。


その前に、消防隊員たち100人が集まっていた。


そのまた後ろ…松山方面へ向かう下り線に多重衝突事故を起した車両が映っていた。


昼3時過ぎに、菊間町種の国道196号線で特大ダンプがあやまって道路上に大容量の海砂すなをかやした…


ダンプの後ろを通っていたナナハン(大型バイク)が大容量の海砂すなに埋った…


ナナハンを運転していた大学生の男の子が生き埋めになった…


その後、後ろの方で自動車30台が追突した多重衝突事故が発生した…


自動車30台に乗っていた人たちがたくさん負傷した…


負傷した人たちは、今治市内の大型病院に救急搬送された…


少なくとも死傷者が8人出たことが伝えられた…


大容量の海砂すなをかやしたダンプは逃走した…


なんてこった…


(ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン…)


真っ黒で白い字で臨時ニュース〜NHKと書かれた画面に変わったあと、臨時ニュースを知らせる10段階チャイムが鳴り響いた。


その後、NHKの全国ニュースのスタジオに変わった。


画面に映っているメガネの男性アナウンサーが『臨時ニュースをお伝えします…』と言うたあと、今治市菊間町で発生した重大事故で逃走中のダンプを運転していた男を殺人罪で逮捕状を発行したことを伝えた。


同時には多重衝突事故に巻き込まれて亡くなられた人が大勢出たと伝えられた。


もしかしたら…


舘野たてのくんが事故に巻き込まれたのではないか…


有希子ゆきこは、ものすごく不安な表情でつぶやいた。


電話の応対をしていたともえは、オロオロした表情で言うた。


「ご主人…今から舘野たてのくんのスマホに電話をかけます…ええ!!…舘野たてのくんがスマホを置いて店から出たって!?…もしもし!!」


すぐるがスマホを置いて店から出た…


すぐるは、うちにうな重を届けたい気持ちでいっぱいだった…


どうしよう…


どうしよう…


時は、夕方6時40分頃だった。


すぐるが運転しているデミオが動くことができた。


すぐるが運転しているデミオは、丘の上の三叉路を右折した。


その上にある広域農道のうどうを通れば国道へ行ける…


すぐるは、大急ぎでうな重を届けるために車を走らせた。


この時であった。


臨時ニュースで伝えられた例の特大ダンプが前にいた…


特大ダンプを見たすぐるは、思い切りブチ切れた。


「オドレクソガキ!!」


すぐるは、特大ダンプの前に出たあとしつように挑発した。


その後、すぐるはダンプの運転手に向けてオシリペンペンとたたいたあと逃げた。


思い切りブチ切れたダンプの運転手は、すぐるが運転しているデミオを追いかけた。


2台の自動車は、広域農道のうどう〜県道大井停車場鈍川線〜東予玉川線で激しいカーチェイスを繰り広げた。


この時、すぐる有希子ゆきこの実家にうな重を届けることをきれいに忘れたようだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る