第3話 愛があるかなんか関係ない?
前回お話しした、恋愛感情を強く感じた時のPEAと言う脳内物質。
アメリカのある精神科医が興味深い実験を行いました。
カップルを対象に、血液中の血清成分を分析しPEAの分泌量を測ると言う物です。
その結果、仲の良いカップルは血液中のPEAレベルが高く、仲の悪いカップルはPEAレベルが低いと言う事がわかりました。
何が言いたいかと言いますと、PEAの分泌による恋愛感情の興奮作用は2、3年しか続かないと言う事です。
例えば、結婚3年目のカップルがいるとしましょう。3年目の浮気と言う言葉もあるくらい、あれほど燃え上がった恋愛感情も2、3年もすると冷めてしまう事がある方もいるのではないでしょうか? 男性も奥様以外の女性に目を向いてしまう場合もあるかと思います。
何故か?
これは、覚醒剤を乱用していると体が慣れてしまうケースがある様に、PEAの分泌量も少なくなり、身体が慣れてしまい興奮しなくなるからです。
ある海外女性の著書の中に――
愛は4年で終わるのが自然。
だから不倫・浮気も離婚も再婚も繰り返すのは生物学的に自然である。
そして、その理由は文化人類学的に「子育ての期間は4年」と言う理由からです。
更にこれはどう言う事でしょうか?
例えば、馬の赤ちゃんは産まれてからすぐには立つことが可能、2、3ヶ月もすれば体もしっかりして、親馬の手がかからなくりますが、人間の赤ちゃんは他の動物と比べて未熟な状態で産まれて来ます。
人間の子供が自分の意思で安全に歩き回ったり、食事を一人で行える様になり、ある程度手がかからなくなるのが約4年と言う事なのです。
国連のあるデータでは、結婚後0年〜4年までは離婚する夫婦の数は右肩上がり、しかし5年からは右肩下がりに減少する事がわかっています。
くだらないたわごとを長々と申し訳ありません。
「申し訳ありません。残業の為、お約束の時間から30分ほど遅れます」
依頼人が遅れるとの事で思わず語ってしまいましたが、物語に戻りましょう。
翌日より尾行調査を開始しました。
夜間の外出はないとの事でしたが、以前深夜1時から4時まで――つまり家族が寝静まった時間を不貞行為としていたケースがあった為、念の為24時間体制での張り込み調査を一週間行いました。
並行して、事務班の対応により、ふざけた名前のホテルのライター入手経路の推察、奥様が利用しているSNSへは架空アカウントを作成しての潜入調査も実施しました。
コンコン――
ようやく依頼人が来たようです。
今日は10日後の報告日。
依頼人に報告する前に聞いて下さい。
この方の奥様は、日中派遣型の風俗店に週一回勤務していたのです。
店が託児所――とは言っても、マンションの一室でスタッフが面倒を見ていただけです。
風俗店もキャストが少ない様で、あの手この手で集めていた様です。
この場合どうなのでしょうか?
不倫の場合は愛がある事が前提のケースがほとんどです。しかし、愛のない肉体関係に対して依頼人はどの様な反応を示すでしょうか?
許されるわけないですよね。
けれども、私は仕事としてありのままを報告しなければなりません。まあ、慣れましたけど。
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