思い出3

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『力が欲しいか?』


意識が朦朧とする中 そんな声が聞こえる


『お主は無様にあの豚に策無しで突っ込み無様にも死にかけている。あそこにいる女子も後にもっと酷い目に合うだろうな。お主が我武者羅にならなければまだ時間は稼げただろうに』


その声は男性とも女性とも取れる声で不思議と脳に響き渡るように聞こえた


『あの女子を救いたいか?』


当たり前だ...!!


『この残酷な世界を憎むか?』


ああ...当然憎むさ...!!


『死を退け、生きたいか?』


...生きたい


俺は...生きて アシュレイを救って 父さん達も囚われた人達も救って...生きるんだ..!!


『よろしい ならば改めて聞こう』


ああ...




『力は欲しいか?』









その日 世界に新たなが誕生した


それは生と死を司る


それは死を常に退ける


それは無限の回復力を持つ


それは他人を癒すことが出来る


それは紅い炎を身に纏う


神話生物の中でも最強の名を有する神獣



不死鳥がこの世界に憎しみと殺意を持って生まれた







オークは考えていた


どうやってこの女子を調教しようかと


自分達に従順になるようにするか


それとも反抗心を残して地獄を味合わせるか


そう迷っていた時


ゴォォォォォ!!


謎の轟音に驚きつつも音の源の方を見ると


先程 殺したはずの少年が立っていた


その身に紅い炎を宿し


殺意と憎しみを滾らせた眼でこちらを睨んでいた


オークはそこで始めて少年を倒すべき敵と認識した


がしかし...


「...死ね..クソ野郎共」


彼が自分達に指を向け そう言い放った瞬間 オークの意識は消えた






「○○...?」


アシュレイは呆然とした様子で俺にそう言う


「...ごめんね。アシュレイ、危険な目に合わせて」


先程まで身に纏っていた炎は消え そこには傷の癒えた身体があった


「○○ッ...○○ッ....」


そこにアシュレイは泣きながら抱きついてきた


「大丈夫...俺は...









「....」


「カバネ?」


「...大丈夫だ」


ああ、思い出した


どうして俺が


そしてあの時の俺の心も断片的に思い出した


「...憎む世界だからこそ。俺は守れる範囲で全力で守り...残酷なこの世界を壊してやろうとしたのか」


...結局 あそこで襲われ生き残ったのは俺とアシュレイだけだった


他の人はオークがあの場にいた事から何人か攫われていたようだったが....結果的には救われた


でも...後に衰弱して行って...



「...これ以上 考えるのはやめだ...進むぞ」


「...うん」


不安そうにこちらを見る綾華の視線に気付かないふりをして俺達は神殿の奥へと進んだ



「何が生きてるだ...あの時から俺は...とっくに死んでるようなものなのによ...」



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やっていたゲームの世界の本編開始から三十年前に生まれたんだが ダイナマイト山田 @dynamiteyamada

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