協力
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「どういうことだ..?」
「彼女...綾華ちゃんはね このままじゃ死ぬ 今は元気だけど段々衰弱していってね」
「だがそんなこと...」
「有り得ないって?人類最高の科学者でもある私がこう言ってるんだ 分かってるはずだ」
「...原因は」
「元理事会の1人が対魔獣戦闘クローンに組み込んだあるシステムが原因だ。所謂 自壊システム」
「ってことは...」
「今は君の当時の治療や本人が栄養をちゃんと取ってる為、進行は遅いが...本来なら生き残ったクローンの子達を纏めて消すために組み込まれたんだと思うよ。自分達の悪業がバレないようにってね...本当に屑だね。
「...治す方法はあるのか」
「正直に言うと...今の私でも無理だね 完全に遺伝子に組み込まれてる上、外す事も出来ない。もし外したとしたら間違いなく死期が早まるだけ 」
「そんな...どうすれば....」
「だけど方法が無い訳じゃない」
「!」
「その自壊システムは遺伝子に完全に組み込まれている。彼女にとっての生きる為の必需品 だけどそれは彼女自身も蝕んでる。」
「...方法を言え」
「まぁそう慌てるな...そんな彼女の治療をする方法...簡単さ 聖遺物 それも天啓シリーズの力を借りる」
「...アリスのか?」
「いや違う ただ単に治癒しちゃダメなんだよ これは天啓シリーズを使っても無理だと私は推測する。だからこそ...」
思い当たるのはある1つの事象
「どうやら考えついたみたいだね?そう...治療できないなら原因から取り除けばいい。君の持つ天啓シリーズにはあるはずだ。ギリシア神話にてその存在を語られた時を司る神 クロノスの名前を持つ天啓シリーズを」
「だがこいつは...今も尚眠りについている」
「大丈夫 天啓シリーズとは持ち主の精神に影響される 君が今ここで 真に その子の事を必要だと。願えばきっと目覚めるはずさ 」
「...やってみるが...」
俺はもう眠りについてしまった
見た目は完全な振り子時計だが 戦闘になれば魔法陣を展開して1秒毎に...つまり秒針が刻む事に何かしらの災厄を敵に起こす だが、それは此奴が起こす中では軽度なものだ。魔法の失敗や聖遺物が言うことを聞かなくなったり、攻撃を回避できなかったりと、問題は分針からだ。ここからは魔法のように災害を引き起こしてくる。嵐や津波 大地震 その場の地下に火山を生成し噴火等だ。それと時針は...もう手に負えないからな。そこまで戦闘すると使い手自身も危なくなるからやってはいない
簡単に纏めると時が進むほど強力に、そして凶悪になっていく天啓シリーズ だ
それがこいつの能力だが...原作知識のある俺は此奴にもう1つの隠された特殊能力があるのを知っている
「君のクロノスと...君が目にかけてるパーティの子が持つカイロスと呼ばれる天啓シリーズ それらを一時的に組み合わされば...過去に行くことが可能だ。つまり彼女達が生まれる前に行って綾華ちゃんの遺伝子に自壊システムが組み込まれないようにする。」
「...他の子は救えないのか」
「それはダメだ 最悪世界が滅びる。何せ綾華ちゃんを救うだけでも立派な歴史改変だ。それだけで面倒な奴らが敵対してもおかしくない。」
「そう...か...」
彼奴らを救えない...か...
「確かに彼女彼らは救えなかった。でも今君の目の前にはその子達が最後に残した希望の綾華ちゃんが居る。彼女を救うことで必然とその子達も救われるはずさ」
「...そうか..ありがとう」
「礼には及ばないよ それに...そのカイロスを持ってる子は私が今連絡して呼んでるからねすぐ行けるさ」
「...助かる」
「良いんだよ これも人類存続の為 世界最強の英雄である君には絶望してもらいたくない。 それに私も歴史改変によって現れる人類の敵を確認したいしね 場合によっては解析したいし」
「変に情を持たないお前だからこそ こういう時は頼れるな」
「ははは、私は人類存続に関しては特に合理的だと自負してるさ。それに...とっくの昔に私情は捨ててるさ」
「...そうか」
「君は知ってるかもしれない いや確実に知っているだろう 初対面で私の正体を見破ったしね..私がいつから生きてるか 何故 こんなにも人類存続を願うのか をね」
「...」
ああ、知ってるさ そこにどれだけの想いが隠されてるのか どれだけの執念が詰め込まれてるのか...知ってるさ だが俺はそれは言わない
それを言ってしまえば間違いなく此奴は敵対する
そんな簡単に言っていい事じゃない この怪物の狂った行動理念の根源にある出来事だ。それに関しての扱いを一つでも誤れば確実に人類はこの
「...知らないな」
だから俺はとぼける。こいつは察しているとは思うが言わないのが吉だ。
「...はは、そうかい ま、いいよ それじゃあ彼女らも来たみたいだし...早速作戦を話し合うよ」
それに対し所長はいつものように鉄仮面のような硬い微笑を浮かべ、ある方面に視線を向ける。
「ああ」
所長が目線を向けた先には驚いた顔でこちらを見る嬢ちゃん達がいた
***********
「...何故久遠さんが?」
「...あまり聞かないでくれ」
「さて、今回 君達 風ノ旅支度を呼んだのは他でもない...私の友人である久遠君の娘である綾華ちゃんを救う為だ」
「ッ!?」
「綾華ちゃん...が...?」
「ああ、彼女についての情報は今は伏せるが私の力を持ってしてでも彼女の治療が不可能になってる」
「あの所長でも...」
「綾華ちゃん...」
「だが解決方法はひとつある リスクは高いし何が起こるか分からない やり方だ 君達が協力してくれるなら詳細は話せるけど...」
「やる」
「リンちゃん!?」
「綾華ちゃんとは一緒にご飯を食べ、そして分け合った仲..また一緒にご飯を食べたい」
「...そうだね 綾華ちゃんを救える手段があるなら危険でも構わない!!」
「俺も協力するぜ!!救える手段があるなら救うのが漢よ!!」
「勿論僕もさ。目の前で死期が狭まってる女の子を見捨てるなんて事は出来ない!!」
「はぁ...まったくどれだけリスクがあるか分からないのに...」
「琴音ちゃん...」
「いつも貴女方に振り回されてきましたし..分かりました。私も手伝いましょう」
「琴音ちゃん!!!」
「どうやら決まったみたいだね...それじゃあ話そうか..その解決方法とは...過去に行くことさ」
「え?」
「へ?」
「マジで?」
「えぇ!?」
「それは..本気ですか?」
俺と所長以外が驚く中、冷静に琴葉琴音が所長に疑わしい目線を向け聞く
所長がどういう実績を持ってるかは知ってるだろうが...それを持ってしても過去に行くのは難しいと判断したみたいだ。
「ああ、本気さ。不知火凛 君の持つ天啓シリーズの
「この子に...?」
「ああ、それはある天啓シリーズと組み合わせる事で...」
「...クロノスですか」
「正解だ ギリシア神話における時を司る二体の神 クロノスとカイロス それらをモチーフとされた天啓シリーズを組み合わせれば理論上
「ですがそれを所持してる方は....まさか」
「...そうだ 俺が所持している 詳しい経緯は話せないがな」
「ということで彼と一緒に過去に行ってもらうことになる。その時の状況は彼が把握してるからね。君たちは飛んだあとは彼に協力しても良いし自由に行動しても良い、そこは強制しないさ」
所長がそう言ったあと、嬢ちゃんたちは無言で頷き合い
「久遠さん!協力させてください!!」
「...良いのか?命の危険は十分あるぞ?」
「それでも...私達は久遠さんの言葉に救われましたし...何より綾華ちゃんがまたあんなふうに、元気に久遠さんと話して、ご飯を食べる姿を見たいんです」
本当にお人好しだな...
「...そうか、ありがとな」
俺はそう言って所長の方に目を向ける
「これで...あの子を救える...」
光の無い目で狂気を含んだ笑みを浮かべ、そう呟くのに気付いたのは俺だけだった
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Q,今朝起きたら5万pvに総合週間ランキング100位に入ってた私の気持ちを答えよ
A,震えが止まりませんでした。
読んでくださった皆様に感謝!!!!
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