最強には最強たりうる理由がある

ーーーーーーーー


『さぁ!この紅は本物ではないが本物だ!!なにせ私の新しい技術を駆使して作った完璧なコピー!!彼との会話等での交流は完璧に再現出来ていないが彼の扱う戦闘技術全てを完璧に模倣している!!名付けて 2号機くんだ!』


「ようやくケジメをつけられる時に限って....あのクソメガネ 後で殺す」


「今は目の前の...彼に集中しましょう 彼の技を全て模倣してるということは...アシュレイ!!!氷の壁を!!」


「ッ...【我が命に応じ現れよ 我らが城 我らが故郷 我らが守るべき場所 永遠に輝く最後の居城エタニティ・キャッスル】」


氷で創られた城が瞬時に色付き達を守るように展開される


「シンシア!!耐火のある植物を今すぐ!!」


「あれは偽物...偽物なはず...弟君は生きてるはず...」


「シンシア!!!」




「ッ...ごめんなさい 今すぐやるわ【我が友よ 我らが最後の砦を炎の手から守りたまえ】」


様々な植物が氷で出来た城を覆っていく


「アリス!!結界を!!」


「はいッ!!!【主神よ!!我が祈りに応え かの場所を護りたまえ!!」


「これだけ防御を重ねても...あの人一撃を防ぐのは難しいよね...」


「あの時は...私達を殺さない為 彼が手加減してくれていた しかし...」


「今回の場合は...完全に殺しに来るでしょう...」


「...全員聞け!!今あそこにいるのは私達の知るあの人では無い 偽物だ!!それ故に...私達は勝たなければならない かつてこの世界に居た最強の英雄に...!!」


「...そうだな あの人に勝てなきゃ 何が世界を守るだ あの人から世界を守る立場を引き継げねぇな」


「...うん 彼の守った世界を守る為に....苦しいけど彼を 倒す 安らかに眠ってもらうために」


「あれは...弟くんの偽物...そう...偽物のはずなの..だから倒す...!!」


「...今度は暗殺者や色付き黒としてではなく...私 ノワールとして貴方を安らかな眠りに誘う」


「これが貴方様からの試練と言うならば...貴方を越え 天へと送ってさしあげましょう...」


「...お兄ちゃん 見てるか分からないけど 成長した僕の姿 見てね」


「...貴方様は私の光でした 昔からずっと...その光が途絶えてしまうのはとても苦しかった...でも乗り越えるしかない...偽物の貴方を見て決心しました 私は...貴方をここで倒し 呪縛から逃れるッ!!!」


「みんな構えろ!!」





「...良い目をしてるな 彼奴ら」


どうやら俺の死という呪縛は何とか乗り越えたようだな...シンシア以外は


「考えるのはあとだ...今は...」


全力で戦い 彼奴らの力を見定める


そして今 この瞬間を見ている主人公達に...


「かつての最強の力を見せる」


それだけだ



かつての最強は復活する 今を守る者達を見定める為 何よりこの先未来で この世界を守る一員になるであろう者達に最強の姿を見せるために


*********


「何故じゃ...何故彼奴がここにいる!!?」


「おじいちゃん?大丈夫?」


「彼奴は...彼奴はあの時死んでしまったはずじゃ....」


リンちゃんが総協会長を心配してる中 私達は画面に映る戦いに釘付けとなっていた


「あれが...色付き最強...かつて世界を守った英雄...紅」


私もあれほどの強さを目指していかないといけない


そう思うと足が竦むが同時に...とてもワクワクしていた


「...私も...いつかは最強を...超える!!」



******


「【螺旋炎火砲】」


紅は己の右腕に炎を何重にも纏わせ 右手に展開した魔法陣を媒介として強力な魔法を放つ


それはさしずめ地を這う蛇龍のように炎が色付き達が作り出した城へとぶつかる


「っ!!全員防御体勢!!!橙と灰の裏に隠れろ!!」


城へと炎がぶつかる瞬間


結界は簡単に突破され 耐火を持つ植物は一瞬で塵に そして氷の城即座に溶けてしまい水となる


そして溶け出した水と炎がぶつかり水蒸気爆発を起こす


「くっ...」


「全員!!即座に攻撃開始!!」


「おらぁ!!!!」


紫が早速 双剣に紫電と紫炎を纏わせ 紅に攻撃を開始する


「(懐かしいぜ この槍技 偽物とはいえ 完全にあの人の技だ...!!!)」


烈火のような激しい槍技を受け流しと回避で対応するも


「がぁっ!?」


意識外から来た蹴り技に吹き飛ばされる


紅はそこに追撃を入れようとするが


「させない!!」


「させません!!」


「させないよ!!」


白と黒 そひて空が追撃を止める


飛ばされた紫は何とか橙が反応し受け止める


「1人で走らないでください!!」


「悪ぃな あの人の槍技と少しでも正面から1人で戦いたかったんだ」



黒の視界外からの暗器による攻撃


白が具現化させた天使達による連携攻撃


空による遠距離からの援護


それら全てを紅は薙ぎ倒す


「くっ...」


その衝撃で体勢を崩された黒へと紅が魔法で追撃をかける


「【アイギスの盾よ!!!我が友を厄災から守りたまえ!!】」


「【主神よ!!我が祈りに応え 我らを癒したまえ!!】」


橙が魔法を防ぎその隙に白が皆を回復させる


その瞬間に


「【絶対零度コキュートス】」


「【我が友よ!我らが敵を拘束したまえ!!】」


瞬時に展開される氷の世界が彼の手足を覆い その上から更に植物達が彼を拘束する


「今!!」


「【女神の加護】!!皆さん!!総攻撃です!!」


「【紫電紫炎草薙】!!!」


「【雷の矢】!!」


「【聖光波刃】!!!」


「【影から生まれる魂狩りの鎌グリムリーパー】」


「これで終わりです...どうか安らかに...【超電磁砲レールガン】!!!!」


色付き達の全力の技が拘束され動けない紅に放たれる


「ッ....」



それらが紅にぶつかった瞬間 凄まじい爆発音と土煙が発され 辺りの視界は悪くなる


「はぁ...はぁ...」


「なんとか短期決戦に持ち込めましたね...」


「...いやまだおわってない」


「...偽物であろうと...彼がこんな簡単に終わるかしら...」



「っ!」


「まだ終わってない...みたいだね」


「【彼岸の海】


その時 辺りの雰囲気が変わる


空が灰色になり 地面には薄く赤い水が張られ 至る所に火の彼岸花が生える


そしてその中心に佇むのは...


「お兄...ちゃん...?」


アーマースーツが消え 白髪の長髪を後ろに纏め 目の色は赤くなっており 左眼に至っては花に覆われている


その姿はかつて色付き達に一度だけ見せた姿


唯一彼の素顔が確認出来た姿


「...」


彼は色付き達を一瞥した後 いつの間にか彼らの後ろに移動しており


「えっ...?」


その瞬間に全員は地へと伏せていた


「何が...」



この彼の姿を見た敵は最期に全員が同じ事を言った


嵐のように一瞬で過ぎ去り


嵐に轟く雷鳴のように激しい一撃


嵐と共に訪れる雨のように来る無数の攻撃


そして その間に 皆 鮮血に濡れている


それ故の 紅い嵐 それ故の鮮血の英雄


「...よく成長したなお前達」


「ッ...!!」


「俺は一度死んだ あの時にな」


「話せないんじゃ...!!?」


「あれは仕方が無かった 皆 疲弊していたし油断もしていた だから...そんなに気負わないでくれ」


「ですが...!!」


「そしてすまなかった お前達に人殺しを経験させるようなことをしてしまって」


そう話してる紅の表情は見えない


「貴方様が謝ることではありません...!!」


皆の言葉に対して紅は何も反応しない


「だが安心しろ 俺はお前らを1ミリも恨んでない それに...いつかまた俺らは会えるだろうしな」


「それは...どういう...!?」


「この先...あの時以上に恐ろしい事が起きる だから皆...俺が居ない間 頼むぞ 」


「...勿論です 私は...師匠の弟子ですから」


「...さようならだ」


そう言い紅はどこかへ歩んでいく


「ま、待って...お、弟くん...なの....?」


紅の足が止まる


「ほ、ほんものの弟くんなの...?」


紅がシンシアの方へ向きゆっくりと近づく


「あ...あぁ...」


ゆっくり...そっと優しく紅はシンシアを抱きしめる


その表情は見えないが...悪い方面では無いのは確かだろう


「会いたかった...弟くんがいない現実が認められなくて...ずっと...ずっと会いたかった...」


シンシアは涙を流しながら紅に抱き着き 泣き始める


「...ああ、俺も 会いたかったさ」


紅はそう言い いつの間にか眠ってしまったシンシアをゆっくり寝かせる


「貴方様...」


「...」


「私は...貴方様に話してたことが...ついに実現出来ましたよ...あの夢が叶えられたんです...」


「...そうか よく...頑張ったな 今は...ゆっくり眠れ」


そしてまた白も眠り始める


「お兄ちゃん...久しぶり 僕ね ずっとお兄ちゃんに話したいことがいっぱいあったんだ いっぱい魔獣を倒して いっぱい宝物手に入れて...あれ...なんだか眠くなってきちゃった...起きたら...居るよね お兄ちゃん...」


「...ああ、居るさ だから今はゆっくり眠りな」




「偽物じゃない...本物...」


「...」


「ずっと会いたかった 貴方様が居ないこの世界なんて生きてる価値がないと思ってました..ずっとずっと死にたかった...でも今は...生きてることに感謝します...」


「...よく眠りなさい アッシュ またいつか こうしてあやしてやるからよ」





「はは...師匠は相変わらず強ぇや...全く適わねぇ...だけどよ...俺はいつか 師匠を超えてみせるからよ...待っててくれよ...人類の頂点で...」


「...待ってるさ 男と男の約束だ」


「そりゃ良かったぜ...じゃあ俺は...一眠りするからよ....」


「...よく眠り よく鍛えろ いつか隣に並ぶのを楽しみにしてるぞ」




「....これは夢では無いかと今も思う」


「...」


「私達の手で殺してしまった貴方が 今 私の目の前で生きている...夢であろうとなかろうと...嬉しい...貴方が生きてる それだけでいいから だから...傍に...」


「...大丈夫 俺は生きてるさ...だからゆっくり眠れ...」




「...こうしてその姿を見るのは2度目ですか...私達の手で殺してしまった..でも師匠はこうして帰ってきた...今更贖罪等ふざけたことは抜かしません...ただ感謝を...」


「...そうか 俺からもお前に感謝を カイゼル」






「...おかえり ずっと ずっと 私 頑張ってた」


「...」


「貴方が目の前で殺されて...私には貴方を超え貴方が守った世界を守る それでしか恩を返せない そう思ってずっと頑張ってた でも...貴方が帰ってきたなら...それは必要ない..かも...」


「..よく頑張ったな...本当にありがとう...そして...ただいま」


アシュレイの頭を優しく撫で寝かせた紅はどこかへ歩いていく


紅い彼岸花が咲き誇る道を ゆっくりと歩んでいく その先は誰も知らない



ーーーーーーーーーーー

*尚橙と所長は知ってるものとする


てか紅以外の色付き覚悟決まるの早すぎませんかねぇ..あれすっかね偽物見たら本物が居ないという現実に当たったためケジメついた...みたいな?(作者なのに何故か疑問に思うガバ)

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