色付きvs色付き

ーーーーーーーーーーーー


「...ここで貴方と当たるんだね 翠」


「意外と早くてびっくりしたわ...弟くんにかっこいいとこ見せないといけないし手は抜かないわよ?」


「...うん、僕も全力で行くから 来て 神速の軍馬スレイプニル 黄金の炎雷弓ブラマダッタ


色付き 空は彼女?の持つ天啓シリーズの1つ 八本の脚を持つ馬 神速の軍馬を呼び出しそれに跨り 無限の炎矢筒と雷の矢インドラの矢を撃つ事が出来る黄金の炎雷弓を構える


「来なさい 王たる象徴ウアス


対して 色付き 翠は下部分が二股に別れた奇妙な形をした杖 王たる象徴を呼び出し そっと手に持つ


『それでは本大会初の色付き同士の試合 第4回戦!!一体どうなるんでしょうか!!それでは!!開幕です!!』


「【雷の矢インドラの矢】」


「【我が友よ この世界に生まれ落ちたまえ】」


空の放った雷の矢を 植物を生み出し成長を促進させることで防ぐ翠


「【我が友よ 我らの敵を拘束したまえ】」


翠が詠唱していく度に成長していく様々な植物達


その中でも蔦や弦がある植物がそれを一気に成長させ空を捕らえんと動き始める


「相変わらず厄介だ!!」


彼女は神速の軍馬に移動と回避を任せて 四方八方から襲ってくる植物の群れを炎の矢で消し去っていくが


「【植物よ 炎を耐え より高度な生命へと昇格したまえ」


彼女が一声 するだけでその場にいる植物達が炎に耐えるようになる


「魔法だけでこんなに強いとか相変わらず蒼に続いてデタラメすぎるよ!!」


「【天よ 我が友に恵を与えたまえ】」


彼女が一声するだけで 天候の概念が無い仮想空間に雨が降り始める


「【我が友よ 天の恵を糧に我が敵を切り裂く剣となれ】」


彼女が一声するだけで急成長した植物達が剣のように飛んでくる


「【天よ 我が敵を討つ為に 怒れ 荒れ狂え 裁きの雷を与えよ】」


「ッ!!耐えて!!神速の軍馬!!」


彼女が一声するだけで天は荒れ狂い 敵に裁きの雷を落とす


「くっ...やはり対策して正解だったよ..」


聖遺物:避雷の御札 S級迷宮 あやかし通り にしか存在しない御札シリーズの1つ これを付けていると雷の対しての耐性が無効レベルにまで引き上がる しかし1回きりの使い捨てであり かなり使いずらい


「以前ならここで倒されていたのに...成長してるのね」


「そりゃね 僕だって成長してるさ!!【雷の矢】!!!」


翠になにかされる前に攻撃をしなければと 空は大量の【雷の矢】を瞬時に翠に向かって放つが


「でも まだまだね」


「ッ!?」


「【万物の掌握権は吾が手に 我こそが王であり頂点である それ故にこの世の物は全て我が支配下】」


翠は彼女の持つ【王たる象徴】を起動し 空が放った【雷の矢】 全てを掌握し 支配する


そうして支配された矢は向きを変え自身を放った主へと矛先を向ける


「くっ!!本当にデタラメ過ぎる!!」


放たれた矢はただ向きを変えられたわけでは無い


彼女が支配している つまり当たるまでずっと標的を追尾する ミサイル顔負けの精度を持つ兵器と変貌した


「撃ち落としてもキリがない!!ならば!!」


彼女は 聖遺物の1つである 諸刃の剣を取り出し己が血を糧にして翠に振るう


聖遺物:諸刃の剣 自身の生命を削る事でそれと同じダメージを必然的に敵に与える聖遺物 しかし相手との実力差が大きかったり相手が自身の身体を強力な魔力で覆ってた場合はただ自傷するだけのなまくらとなる


本来なら翠には効かない聖遺物


しかしあれだけの魔法を行使しかつ消費の激しい天啓シリーズを使ったのだ 魔力が切れたと思われる 今 この瞬間が唯一のチャンスと判断した空は 神速の軍馬を翠に突撃させそこから飛び出て 翠へと肉薄する..


「【万物は我が支配下である それは生物であろうと例外では無い】」


「なっ...!!!?」


「【万物は我が臣下である 故に我の為に己の命を無碍に出来る】」


「くっ...動け...ない...っ!!!」


「空の判断は良かったわ でも...私の魔力量を侮っていたわね」


そう言った後に空はいつの間にか生えていた鋭い植物の葉によって首を切り飛ばされた






「...やっぱり僕と翠の相性は悪いと思うんだ」


「そうねぇ...私の場合は火力で押し切られたり耐えられたりしたら決め手に困るし...橙や灰 蒼 弟君辺りは苦手ね 逆に空や黒といった遠距離だったり一撃で仕留めたりするタイプに対しては無類の強さを誇ると思うわ」


「うぅ...僕も火力出せるようにしないとな...」





*******

空side


ただの大会だった いつも通り お兄ちゃんが居ない 退屈な行事


だったはずなのに


「お兄ちゃん...?」


彼の技を扱う人が居た


なぜだかとても懐かしい雰囲気を纏っていた


『おい、嬢ちゃん大丈夫か?怪我してるみたいだが...』


彼との出会いは怪我して泣いてた僕を助けてくれたことだった


偶然近所に住んでて よく会うようになって 遊ぶようにもなって その過程で 今の蒼や翠 灰とも出会った


彼が紅になった後も 僕は彼の隣に並ぶ為に色付き 空となった


でも貴方は僕達のせいで 僕達の手によって死んだ


それからあんなに色鮮やかだった世界がモノクロになった


彼が教えてくれた迷宮の恐ろしさやワクワクするような冒険の話 ロマン溢れる聖遺物や天啓シリーズの話 全てに興味が無くなった


僕も いっぱい冒険して彼に話したかった こんなことがあったんだ って


でも まだ希望はあるかもしれない


彼の技を扱うならば 何かしら彼と繋がりがあるかもしれない


あまりにも淡い希望 されど今唯一の希望だ


「彼は確かに死んだ...でも...聖遺物の中には死者を甦らせる物も存在する...彼の遺体さえ回収出来れば...!!」


もしそうなら 僕の世界はまた 色鮮やかになれるかもしれない



かつてごく普通の少女だった子は ある男と出会い 探索者の道を歩み始めた


そこにあるスリルとロマンを味わうため


そこでの思い出を彼に話す為に


しかし彼の死を目の辺りにし それらの思いは閉ざされてしまった


だが それらがまた開かれる日はそう遠くは無い






**********


「相変わらずシンシアの戦い方はえげつねぇな」


「ん?」


「今行われた試合を見て呟いた独り言だ 気にんな」


「ん」


あれを突破出来るのは俺と蒼ことアシュレイにカイゼル そんで宗瑞のジジイに総協会長 んで...解析と看破と対策のゴリ押ししてくる所長...あと数名くらいか


彼女の扱う自然魔法と王たる象徴の相性が良すぎてぶっ壊れみたいになってるが実際原作でも彼女は最強レベルに強かった


それにしても昔から思うが試合中話してる言葉はこっちに聞こえないのは不満だな 試合前の会話も入れても良いと思うんだが...まぁ良い


久しぶりに見た詩織の方も以前より強くなってるしシンシアに対しての対策も立ててた 成長してて何よりだ だが...あまり宜しくない雰囲気をしていたな...あれじゃまるであの時の綾華のような...


「...あのタイミングで...そうだな そうするか」


今回は橙以外に所長の協力も得てる


彼奴は技術方面はデタラメ過ぎるから言い訳は可能だ


「...その後はどのタイミングで戻るかだよな」


原作に合わせるなら...旧神降臨の時期か なら割と...すぐだな


「アイツらとちゃんとした顔合わせが出来るのは...もうすぐだな」


彼奴らに謝らないとな 目の前で死んだこと あいつらの手で俺を殺させてしまったこと


生きていたのに姿を現さなかったこと


「会ったら...俺のできる範囲で何でもしてやらねぇとな...橙にも勿論だ」


彼奴らと出会う日の為のことを思いつつも


俺はこの後起きる...いや起こす出来事に対してまた準備を進めていった



なおその間 綾華はまた棒付き飴を呑気に舐めていた


ーーーーーーーーーーーーーーー

翠が強すぎる?むしろめっちゃ強い系お姉さん良くない?え?違う?よろしいならば戦争だ!!!

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