ーーーーーーーーーー


「...次の相手は...彼奴か」


色付き 紫


かつてカイゼルと一緒に俺の弟子だった男


剣に執着し それでしか家族に認められないと思っていた男


結果的にそれは解決した


結果的に彼奴の思い込みと家族の言い方が悪かったすれ違い


彼は家族と和解出来たがそれでも今度はその家族や俺を強くなって守りたいと言い特訓し続けた


「...少々不安だな」


他の色付きの奴らの様子は橙以外分からない 奴らの様子を確認する方法が無い 何せ色付きの情報は殆ど伏せられてる 空と灰が活動休止してるのは知ってるが何が理由でどういう状態で休止してるのかも不明だ 流石に俺の死をそこまで引きずってるとは橙を見る限り思えないが...


「次は...全力だ」


「...カバネ?大丈夫?」


「..ああ、大丈夫だ ちょっと俺も...過去と見合わないといけなくなるかもしれなくてな」


「...大丈夫 カバネには私が着いてる それに...カバネならきっと乗り越えられる」


「...そうか ありがとな」


「ん!ポテチ」


「..こら!こいつめ!!」


「ほふへふにふにやめへ」


「試合始まるまではやるから覚悟しろ!」


「ふへ〜」





「んじゃ...行ってくる」


バリボリ...バリボリ...


「ん、頑張って」


ポテチを頬張る綾華見て苦笑いしつつ俺は準備をする


「...ははは、相変わらず綾華は変わらねぇな ま、綾華らしいか...」



そうして俺は過去と対峙する為に仮想空間に入った



*********


「次の御相手は...色付きの...紫か」


流石に相手がかつての俺を知っていた相手 というのもあり 俺は聖遺物を用いて声を変えている


「色付きが相手とは光栄だ よろしく頼む」


「...ああ、よろしく」


以前のような底知れない明るさは消え 暗く寡黙になっている


もしかしら以前の俺の死は思った以上に影響を与えたのかもしれねぇ...


...他の奴らの様子も何とかして今日確認しないといけないな....


『それでは!!探索者武闘祭 第3回戦!!色付き紫vs黒騎士!!!この大会最大の見所である試合...開幕です!!』


始まった瞬間に紫...またの名をアーカードは首を狙って連撃を加えてくる


それに対し俺は即座に武器を双剣に変形させ対応


だが双剣に関してはこいつの方が何枚も上手...


なので体術を織り交ぜ 急所を狙う攻撃だけ防ぐ


黒騎士シリーズは防御力もあるので多少の攻撃は色付きであろうと防いでくれるはずだ


そう思い 防ぎ 反撃 そしてまた防いで反撃を繰り返す


だが此奴の剣は俺の弟子だった時代より劣っている


迷いがあると言うべきか


俺の死というのを目のあたりにして彼は恐れているのではないか


この剣で大切なものを消してしまうのではと


「何か迷いがあるようだな!!色付き!!」


いつまでも過去に縛られるな それが男か?


「ッ!!」


お前という男は過去の幻影に縛られるような器か?


「迷いのある剣は弱いぞ!!」


いいや、否 師匠である俺はこう答えるぞ お前はどうだ


奴の連撃を押し潰すように強力な一撃を喰らわせ吹き飛ばす


「くっ...」


「何を迷ってるかは知らぬが...剣士として師に 己の剣技に失礼とは思わないのか!!」


「ッ!!」


「喰らうがいい 我が最大の必殺技を!!」


武器を長槍に変形させ黒い炎を纏わせ それは自然と龍の姿を形取る


「【奥義 黒炎龍】!!!」


「その技は...っ!!?」


炎龍となった槍は紫に向かって鋭く放たれ


ずがぁぁぁぁぁぁん!!!と大きな音と土煙をあげた


あ、やべ 感情のままに昔使ってた技出しちまった!!!


どう誤魔化すか...



そう考えるが どうやらお相手はそう簡単に殺られないみたいだな...考えてる暇は無さそうだ


ま、これくらいでやられちゃむしろ困るがな


「...感謝する お前のお陰で目が覚めた」


「そうか ならようやく色付きの本気が見れそうだ」


紫電と紫炎をそれぞれ纏った双剣を構え佇むアーカードが居た


「シッ!!」


「早いっ!!」


本気となった奴の猛攻は目に捕えられないほど速い


だがこっちだって力をとはいえ 長槍は俺の持ち武器だ


簡単に負ける訳にはいかねぇよなぁ!!!


「ッ!!その槍技!!!お前には師なる存在が居たのではないか!!?」


「悪いがこれは俺の自前だ!!誰かの技に似てたか?!!知らねぇが今は目の前に集中しやがれ!!」


「くっ!!本当に金級なのか!?」





そうした激しい接戦が繰り広げられる中...



「う、嘘..あ、あれは...彼の技....」


「なんじゃと!?あの紅の技を何故黒騎士が...」


「...貴方様...?」


「お兄ちゃん...?」


「貴方は死んだのでは無いのか...!?」


「弟君.....?いやでもここにいるのが本物の弟君...でも...」


「これは...いや..彼は私が殺してしまったはず...違う..違う...」


「皆さん落ち着いて!!!黒騎士が紅だという事は確証を得られたわけではありません!!」


「でも彼の遺体は...回収出来てない だから...」


「それでもです!!今は一旦冷静になりなさい!!」


「...すまんの 橙 ちと焦っていたようだ...それにしても...黒騎士 彼奴には目をつけなきゃいけなくなったのう」


「紅や紅の遺体について何か知ってるかもしれない 」


「無理矢理過ぎではあるが...有り得るな」


「...また会えるかな」


「なんで...この場にいる弟君が本物のはず..でも...」


「翠 落ち着きなさい」


「で、でも...」


「...まだ彼が本物かは分かりませんから」


「そ、そうよね...こっちの弟君が本物よね...」



*********


接戦の後 俺は徐々に追い詰められ最終的に負けてしまった


色付き相手に善戦した方だとは思うさ


「...お前の槍技 かつての師匠を思い出す実力だった そして俺の目を覚ましてくれて...感謝する」


「はは..俺はただ迷ってる剣が気に入らなかった それだけだ」


「そうか...」


「...祭が終わったら慰労会をやるんだ 俺の経営してるカフェでな 良かった来ないか?」


「普段なら喜んでいくとこだが...すまない 今はもう少し..師匠と...過去と向き合いたい 」


「そうか...ま、それなら仕方ない なんにせよ また戦えることを楽しみにしてる」


「俺もだ ではまたな」


「んじゃあな」


*******

紫side


「...懐かしい槍だった」


かつて俺達が殺してしまった恩師


俺達の最強であった師匠


「あの技を...形は違えどまた見れるとは...」


かの黒騎士には感謝しないといけない


師の技を意図してないとはいえ見せてくれたこと


そして迷いに迷っていた俺の目を覚ましてくれたこと


「...俺はもう 迷わない」


かつて師を殺してしまった青年は 迷いを消し決意を決める


己が剣を極め 最強となり 天国にいる師に見せる為に


師と約束した剣の頂点に立つ為に




ーーーーーーーーーーーー

龍が名にある技ほどかっこいいものはないと思うんすよ え?違う? それも良いんじゃないかな(平和主義)

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