和解

ーーーーーーーーーーー




「...落ち着いたか?」


「...はい...私が今まで如何に自分勝手だったのかを再認識しました...」


目の前で項垂れてるのはついさっきまで汚物のせいで自分の望んでない行動をさせられていた


真道 正也


汚物をぶっ殺した後 俺は美徳スキルの影響が剥がれた影響でまた気絶した真道と真道のパーティメンバー兼幼馴染である2人を俺のカフェに連れてきた


「まぁ 仕方ねぇよ お前さんが所持..いや無理矢理付与されてた美徳スキルが原因だからな 普通の人間じゃ抗えねぇよ」


「それでも私がやってしまったことには変わりません...」


「んなもう落ち込むな 俺から銀翼とmagic galleryに話通しとくからよ これでも俺は人間関係のパイプが太いんだぜ?」


「...でも..あんな酷い事を言った私に...」


「あー!もう!!さっきからうじうじしてんじゃねぇよ!シャキッとしろ!シャキッと!!お前さんがするべき事はやってしまった事に対してうだうだ後悔を垂れ流すことか?違うだろ?」


「...贖罪...」


「ああ、そうだ お前さんは美徳スキルによる被害者とはいえ お前さんが起こしてしまった事件なのは変わらねぇ お前さん自身も罪悪感に囚われてるのも分かる だがずっとクヨクヨしてんのは違うと思うぜ?出来ることがあるはずだ」


「...」


すると真道は自身の頬を両手でパチンと叩いた


「目 覚ましたか?」


「...はい 覚ましました ありがとうございます カバネさん」


「礼には及ばねぇよ それと後ろの2人と少し話し合いでもしてきな」


真道が振り返るとそこには心配そうに真道を見つめる2人の姿があった


「美紀..椎奈...すまなかった!!!」



「こっから先は若者だけの話し合いだな...歳食ったおっさんは要らん要らん」


「カバネ」


「ん?ああ、起きてたのか」


「今日の朝ごはん」


「少し待ちな 今向こうに行くにはあまりにも...」


扉の隙間から見えるのは泣きながら抱き合ってる3人の姿


「邪魔者だからな」


「? よく分からない」


「分かんねぇならそれでいいんだよ ま、おやつ増やしてやっからちょっと我慢してくれ」


「なら我慢する!!」




********


ある程度落ち着き 3人が席に座って話し合いを始めたタイミングで俺は差し入れを持っていく


「カバネさん..?これは...」


「差し入れだ それ食って元気出しな」


真道には肉汁がたっぷり詰まったハンバーグ


美紀と呼ばれた青髪の子には卵トロトロのオムライス


椎奈と呼ばれた赤髪の子にはアツアツのドリア


そして私には一体何を...!!!


と言いいたげな期待した眼差しをこちらに向ける綾華にはバニラアイスが乗ったフレンチトースト


コーヒーは居るかと聞いたが飲めないと言われたので希望した飲み物を渡した


それぞれが美味しそうに食べてくれるから作った側としてはこれ以上無いご褒美だ


「あ、わりぃ 俺はちょっと席を外すから飯食い終えたらそのまま机に置いといてくれ」


そう言ってこの前みたいに裏に行こうとするが...


「...服を掴むんじゃない 伸びるだろ」


「...ん」


「何?連れてけ?お前まだ飯食ってるはずじゃ...」


と皿に目を向けると綺麗に完食されたのか空っぽである


「...だがなぁ...」


七大クランのうち2つに話通さねぇといけねぇし...


「カバネが居る時は...出来るだけ一緒に居たい」


「...」


泣きそうな此奴が今見せてるのは珍しい子供らしい顔


そんなよ見せられちゃあ 断れねぇよな...


俺は寂しそうな顔をしている綾華の頭をガシガシ撫でる


「んぅ..雑」


「んじゃ来い だがメールの内容には介入すんなよ?」


「勿論...!!」


まったく...んな笑顔見せやがって


「んじゃそこの3人は仲良くお喋りしながら食べて...ゆっくりしてもいいしそのまま帰ってもいいからな」


「「「はーい!!」」」


どうやら元気を取り戻したみたいだな


良かった良かった


俺は抱っこをせがんできた甘えん坊な綾華を抱っこして店の裏に入った



******


『は?なんで私が彼奴らと会う必要が?』


『私は構いませんが...前回の件はこちらに非がありますし...今更和解なんてできます...?それに彼女らが受け入れるとは思いません』


スマホを使ってメールで連絡した時の返答は概ね予想通り


そのうち片方に

『1ヶ月間無料でうちの料理食える権利を渡す』


もう片方に『それはどうにかするし1ヶ月俺の料理食わせてやるから来い」


2人にその条件を提示すると


『行く』


『それであれば...分かりました 行きます』


「くく...はえぇな 食らいつくのが」


彼奴そんなに俺の料理が好きなのか?


「カバネの料理は絶品 食べたら慣れてないと普通のじゃ満足出来なくなる」


「そんなにか ま、いい 俺の料理1つで此奴ら仲直りさせられるなら全然良い」


「?」


「いや綾華は気にしなくていいぜ」


「そっか」


「んじゃ日程決めねぇとな...」



******

ある魔女side


「はぁ...全く困ったものね あんな条件出されたら承諾するしかないじゃない」


彼が 料理1ヶ月と言う条件を出す時は大概何か良い事が起きる前触れ


それに彼の料理は美味しいし...何より彼を見ると...を連想させられるのよね..


さて...あんな言いがかりをつけてきたあれの頭と会うのは嫌だけど仕方ないわね...




*****

ある銀騎士の話


「我々に非があるとはいえ彼女らと対話して和解ですか...出来ますかね...?」


かつて私の元にいた1人の過剰な正義感を持つ少年


彼の行動を止められなかった私にも責任はあるが彼は異常だった


自身の正義を絶対としてその間違いを頑なに認めない頑固さ


何より相手を悪として断定する価値観の違い


そんな彼をクランから追放し責任を取ったが...



「...彼は情報のパイプが広いようですし恐らく今回の件も解決に動いたのでしょうね...原因は知りたいですし行きますか」



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