過去の残滓と天使

ーーーーーーーーーーーーーー


「準備はいいか」


「勿論」


「ナビは頼んだぞ」


「任せて カバネは足だけ動かしてればいい」


周りに多くの人が居る中 俺と綾華はいつでも移動出来るよう待機していた


その時 アナウンスが流れる


『新作VRMMOゲーム ドラグーンオンラインの第一陣販売 開始です!!』


「行くぞ!!!」


「ん!」


それと同時に封鎖されてた出口が解放され俺は全力で走り出した


「はっや!?」


「あのおっさんはええぞ!!?」


「まずいまずいまずい!!!」


後ろから声が聞こえるが気にせず走る


「信号渡って2番目の右横道」


「おうよ!!」


ナビ綾華の指示に従いながら右足を軸にして右半回転をして曲がる


「次 連続で分かれ道 右左右右左」


「多いなぁっ!?」


言われた通りに分かれ道を通っていく


「次あの建物の屋根に乗ってそこからまっすぐ」


「もうルートには突っ込まねぇぞ!!!」


某Mのファーストフード店の屋根に飛び乗りそこからまっすぐ色んな建物を伝って駆ける


「もうすぐ あの青色の建物」


「了解!!!」


伝っていた建物から跳び青色の建物の入り口前に静かに着地


「......っ!?」


どうやら待機していた店員の人と列整理を行う為に待機していた警備員の方を驚かせてしまったようだ


「おっと驚かせて申し訳ない」


「買いに来た」


「....は、はい!!」


店員の方はしばらく固まってたが状況を理解して直ぐに動いてくれた




数分後 そこには焦って全速力で来た他の人々を前にほくほく顔で店から出てくる少女と呆れた様子でそれを見るおっさんの姿があった...






「買えてよかったな」


「ほぼカバネのお陰」


「そうか 相変わらず綾華のナビも良かったぞ」


「ん、私の特技」


「一体どうやって把握してるのやら...まぁ、良いが んじゃ行くぞ 昨日俺が立てたプランで楽しもうじゃねぇか」


「楽しみ」


「おう、期待してくれ」









その後 俺と綾華はカフェやゲーセンをめいっぱい楽しみ家に戻ってきた


「...想像以上に寝るの早かったなこいつ」


「すぅ...」


結構寝てたのにまた疲れて寝ている綾華


どうやら悪夢は見てないようだ


今はベッドに寝かせて隣に居るが...


「....」


『初めましてってやつだな?俺の名は_____!俺が選んでやったんだ 俺達 相性最高だと思うぜ?』


思い出したくない過去が脳裏を過ぎる


『俺達 最高のコンビだ!!お前と出会えて良かったぜ』


「...」


『此奴は中々骨が折れるな...気を抜くんじゃねえぞ?』


止めてくれ


『 大丈夫だ 俺が犠牲になりゃ良い それが合理的だって分かってるだろ??』


ああ、合理的だった..だがまだ解決法はあったはずなんだよ...


『おいおい そんな顔すんなって 俺はまた 安心しろ なんせ俺もお前とまた冒険したいからな!!』


そう言って何年経った....あれからずっと俺はお前の帰りを待ってる


『その間 此奴は託したぜ?俺の大事な物だからな!!』


今もお前の抜け殻を大事にしながら


『あ、でもずっと閉まっておくのは無しだぜ?戻ってきた時 身体が硬くなってたら困るからな!!』


「...俺は一体いつまで待てば良いんだ?相棒..」




********


数日後



「さて...来たか」


「...えぇ 来ましたよ」


「んじゃ早速と言いたいとこだが...すまんな」


「?」


真道の認識出来ない速度で後ろに周り 手刀を叩き込む


「っ...!?」


彼奴視点じゃ何が起こったか分からんだろうな


そうして気絶させた後 解析系聖遺物 賢者の片眼鏡愚者のモノクル


消費系聖遺物の一つだ 回数は30回程使える


修復系聖遺物がありゃ何回でも使えるから助かる便利聖遺物だ


性能としてはマジ便利だが便利すぎる為 なんでも此奴に頼り切ると使用回数超えちゃってぶっ壊れる


だが見た目は何も変化が無いが嘘情報しか出してこないゴミに変貌する


片眼鏡に頼りきってたあまりそれを絶対と信じ壊れた後も使い続ける愚か者を皮肉った聖遺物だ


初見プレイヤー達は絶対に通る道の1つだな


解析してみると案の定 美徳スキル 【正義】がステータスに追加されていた


「ちっ...またあそこ行って彼奴ぶっ殺さねぇといけねぇか...」


殺しても時間置いたら復活するからなぁ...彼奴らクソ鳥共


「んじゃあそこ行くか...ってやべ 忘れてた」


俺の視線の先には一瞬で真道が気絶させられた事にビビりまくり化け物を見るみたいな目をこちらに向ける2人がいた


「んー...とりあえずそいつ起きたら安静にさせといてくれ それと...このことは秘密だぜ?分かったな?」


威圧感を与えないように笑顔でそう言うと


「は、はいぃぃぃぃぃ!!」


「も、勿論です!!ぜ、絶対に言いません...」


うんうん 良い返事


それじゃあ奴らをぶっ飛ばしにレッツゴー!!!




後々 2人は震えながらその時のカバネの笑顔は完全に借金取りに来たヤ○ザのようだったと語った



***********



「よぉ...クソ鳥共....まためんどくせぇことしやがったようだなぁ?」


「お疲れ様です カバネさん」


天界という名の迷宮に来た俺のすぐ傍に現れた丸眼鏡に黒髪おかっぱといういつの時代の小学生だと言いたいような見た目をしている天使 【勤勉】


天使の中じゃ1番マシな人格をしていて1番話が通じる奴


「ん?お前か」


「なんか変な事を思われてる気がしますが置いといて 大方 正義のやらかした事の後始末に来たのでしょう?」


「おう、後始末というかこの先アイツのせいで起こる悲惨な事件を防ぐ為にな」


「私や剛毅 信仰もそれは望んでませんし」


純粋ナチュラルサイコパスはまだだろ?」


「はい、まだ復活してませんね」


「okだ んじゃあのクソ野郎は何処にいる?」


「あちらです」


「了解だ あとこれ 下で見つけてきた新しい本 最近出てきた論文や学説が載ってるやつだ」


「ありがとうございます」


此奴 本を渡す代わりに他の奴らが問題起こして俺が対処に来たら対処手伝ったり案内しろって言ったら普通に承諾したからな...


欲望に忠実なのは悪魔も天使も同じって訳だ


「...彼女 貴方のせいで大変な事になってますからね?」






「さて...またやらかしてくれたな クソ野郎」


「来たようだな!!カバネ!!今日こそ私の正義を認めさせてやる!!」


俺に向けて白銀の剣を向けそう宣言する 金髪ショートカットの女天使


「面倒事何度も作りやがって...いい加減学習してくんねぇかな...」


「私の正義は決して折れない!!」


「んじゃめんどくせぇしさっさと終わらせるか」


俺は手元に赤い槍を出現させ それを構え


奴の認識出来ない速度で奴の胸を穿つ





「...ほう ずらされたか」


「何度も殺られて対策しない訳が無かろう!!」


「...でも左腕吹っ飛ばされてんな」


「...くっ、まだまだ対策不足というわけか...」


「お前さんのその向上心は尊敬するよ..だが面倒事を起こすのは止めろ」


そう言いながらまた穿つも今度は左に流され 奴の右腕がぶっ飛ぶ


「...流せても他の部位が飛んじゃ 意味無くねぇか?」


「だがこれも進歩したということ!!いつかは絶対に勝つ!!」


「...何年掛かるのやら...んじゃトドメ刺すか...」


向上心があるタイプのゾンビは厄介だなぁ...


そう思ってると


「はぁ...♡...はぁ...♡」


「ん?」


「今度はどんな風に殺されるんだろ...♡」


?????


「槍で滅多刺しかな...それともゴミを見るような眼で弱って徐々に死んでいく姿を見られるのかな...♡」


恍惚とした顔でそう呟くクソ鳥...まさか此奴...


「それか罵倒されながら嬲られて殺されちゃうのかも...♡」


まぁ...一時期あまりにも面倒事を起こす此奴に対し色んな殺し方を体験させりゃ復活する気力やましてや面倒事起こさなくなんじゃねぇかと思ってやったが予想外で最悪な方向に転んじまったみたいだな...


「あぁ...その理解出来ないモノを見る目...凄いそそる...♡」


しかもこいつ...多分負け癖ついたな?


なんにせよクソ鳥から汚物に降格した此奴の相手なんかしたくないのでさっさとぶっ殺す


「あっ...♡」


最後まで恍惚とした顔で俺にぶっ殺された汚物は粒子となって消えていった...




「...頼むから二度と復活しないでくれ」




そう切実な願いを思いつつ俺は彼奴らの元へ戻った





ーーーーーーーーーーーーーー

何度も生き返るからこそ殺されるのを快感に感じるようになってしまうドMキャラって居ると思うんですよ...え?居ない? 知らねぇよ!!

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