厄介事の予感
朝飯も作ったし 金もちゃんとある
唯一の懸念点は綾華が寝惚けてること
目を覚まさせてさっさと行くとするか
「顔も洗ってんのにまだ寝惚けてんのか」
顔を洗わせ服も着替えたはずなのに寝惚けてるってマジか
「んぅ...」
「歩けそうか?」
「ん...やだ...」
「しゃーねぇなぁ...」
俺は準備を終えたので片手で綾華を抱え必要な荷物を入れたバッグを持ち 家を出る
昨日 寝る前にルートは教えられてたので問題ない
今回の目的地には電車を使って移動する為 駅に向かって三輪バイクを走らせている
「二度寝しやがったな此奴...」
朝に弱いとはいえ これ俺いなかったら寝坊して逃してたのでは?
俺は片手で運転 片手で自分の分の朝食を食う
今日の朝食はピザトースト 朝から若干ヘビーだが美味い
普段の綾華なら飯の匂いで起きる筈だがまだ寝ている
「昨日どんだけ夜更かししたんだよ...」
そう呟きつつ 駅に着いたので切符を2人分購入し 適当なベンチで待つ
「すぅ...すぅ...」
「列車から降りたら流石に起こすか」
定期的に此奴は悪夢を見るのか寝付きが悪い
深夜夜更かししてるのもゲームをやりたいのもあるが寝る時間を出来るだけ減らしたいのもあるんだろう
悪夢に魘されてる時は 傍に居て撫でてやると大体 穏やかな表情になってぐっすり寝る
一時期は一緒に寝ていたが今じゃそこまで重症では無いらしい
実際 解析系の聖遺物を使用しても大丈夫ではあった
だけど完全に治療するのは厳しいだろうな...
この子の心の傷はもう治せるとかの次元じゃねぇ
今は落ち着いてるがいつ不安定になるか分からん
どうにかしてやりたいが...
そう考えてるとどうやら列車が来たらしい
空中から薄らと見えるレール通りに駅に止まる姿はいつ見ても不思議だなと思いながら列車に乗って席を確保
勿論 列車の出入り口に近いとこだ それに加えここは目的の駅に降りたら丁度階段前に降りるようになっている
これで俺の素の身体能力も合わせれば確保は余裕だろう
そんなこんなで列車が出発するがやけに俺に視線が集まっている
理由は明確だ 何故か俺の膝の上に座りながら寝ている綾華だ
そりゃただのおっさんが美少女を膝に乗っけてたら注目浴びるわな
するとこっちに向かってくる人影が見える
正義感に釣られた若者か それともただ単に綾華目的の
見覚えのある奴らだ ま、俺が一方的に知ってるだけだが
「...なんか用か?」
「...その子を解放してあげてください」
そういえばこんな感じだったなぁ...自分の正義が正しいと盲信的に信じ込んでる子だったな
「解放?何言ってんだ この子は俺の子供だぜ?」
「嘘を言うのはやめてください 」
「なんで嘘って断定すんだ?」
「髪色や顔立ちが明らかに違うからです それに子供なら奥さんが居るはず」
「あー、そりゃ誤解する言い方したな この子は俺の養子 ってやつだ」
「養子...?」
「色々あってな....ま、他人に話す必要性は無い 此奴に起きてもらって証明するのが1番早いんだろうが起こすのは良くないしな 」
「...養子という関係を持って貴方はその子に残酷な行為をしてるに違いありません!!」
「どうやったらそんな思考に至るのやら....お前さんはともかく後ろの2人の意見は聞いたのか?」
後ろの2人は諦めたように目を逸らしている
ここも原作通りか
自分が正しいと盲信的に信じ 周りの言う事は聞かない共感性の無さ そして自身を完全な正義として信じた上の極端な行動
そして一度そうと認識したら一切買えない思い込みの酷さ
話には聞いてたし後処理も請け負ったりしていたが...
話が長引きそうだから周りに消音の効果のある結界を張り 綾華の耳元にも展開する
「お前さんはいつもそうだな 何もかも自分が正しいと信じ周りの意見を聞かず どこまでも無鉄砲で極端な行動しか取らない 昔からずっと変わらないな」
「....何が言いたい」
「馬鹿って言いたいんだよ 自分を絶対と信じ込み無鉄砲に極端な行動しか取らないその姿は正に馬鹿そのもの 後ろの嬢ちゃんたちには同情するぜ...きっと今までお前さんのせいで起こった面倒事の後処理をしてたんだろうな」
「..俺は正しい それ故に...貴方は間違っている...!!」
ここまで言っても理解しないとかもうこいつ人じゃねぇだろ...
「じゃあ聞くが クラン 銀翼とmagic galleryの抗争が起こってしまった原因 それはお前さんだと聞いたが...確か 違法な実験を行ってるとしてmagic gallery 本部に強襲したと んで反省の色なし 」
「いいや それは間違いだ あれは確実に違法な研究を行っていた」
「政府からの許可も降りてるし人道を外れない範囲だったらしいが?」
「なら政府が違法な実験を容認したことになる だから私は間違っていない」
「その実験内容は言わば魔法の形質変形の実験 人体に何も影響も無いし被検体はそもそも居ない トラブルが無い限りとても安全な実験だったそうだが?」
「じゃあトラブルが起きたら危険 つまり違法ってことだろう」
「お前さんそれは屁理屈ってやつだ んなの言ってたらキリがねぇ この世に100%は無いんだよ それにお前さんさっきから自分が正義だとか言ってるがそれはただ自分が間違ってることを認めたくねぇだけだろ?」
「...」
「図星だな」
それにしても此奴 原作以上にひでぇな...もしや何か原因があんのか?
「ここで怒って武器を抜いたら お前は正真正銘間違ってることになるぜ ここは引いときな 後日お前さんが望めばまた相手してやるよ」
もしかしたらこれ
彼奴ら
この世界の神や悪魔 天使のような上位存在達はどれもろくな奴が居ねぇが天使はそん中でも特に論外だからな...
「話をしたいなら後日ここに来い お前さんに確かめたいことも出来たしな」
「...貴方が来る保証は」
「誓約結んでやる」
「...分かった」
「主神の名において私は後日 貴殿に会うことを誓おう」
そう宣言すると同時に俺とそいつの間に誓約書と羽根ペンが出現する
そこに俺は自分の名前を書き込む
向こうも書き込んだようだ
真道正也
かつて原作で己の正義を盲信的に信じ込み様々な事件を起こしてきた 原作の多くある鬱要素の原因の一つ
中にはヒロインが死んだり家族殺られたり で酷い事件もあるからな
その原因がクソ鳥共ならぶっ殺しとかねぇとな
誓約を結んだから奴らは大人しく去っていった
*****
そんなトラブルに巻き込まれつつゆっくりしてると目的の駅に着いたので綾華を起こし電車を降りる
「んぅ....」
「三度寝はすんなよ?」
「ぁい...」
改札を出て早速 目的の場所に向かおうとしたが...
「止められてんなここで...」
そこには綾華が欲しがってるゲームの第1陣販売の為 時間まで閉鎖しているという看板と脱走者が居ないか眼をギラギラさせてる探索者達が居た
「...綾華の朝ご飯の時間が出来たから良いか」
周りには数は少ない だから最前線を確保出来たので綾華をちゃんと起こしピザトーストを渡す
勿論手元はアルミホイル出包んである
「ピザトースト...!!」
「まだ3枚くらいあるからな ゆっくり食いな 指定された時間までまだ余裕あるし」
「ん...♪」
ご機嫌な様子でピザトーストを頬張るその姿はリスを連想させるな...
「む?」
「なんでもねぇ 美味そうに食ってんなぁって」
そう言うと綾華はピザトーストをよく噛んで飲み込んだ後に
「カバネの作るご飯は全部美味しいから」
「そりゃ嬉しいぜ 今日はおやつ追加してやるよ」
「ん!!カバネありがと!!」
「良いってことよ」
さっきまで眼をギラギラさせてた探索者達が微笑ましいものを見るようにこちらに視線を向けてきやがる...
むず痒いな...
そしてそんな視線に興味無いとばかりにピザトーストを頬張る綾華は可愛いな
そうして俺達は時が来るのを待った
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2話目投稿 たまーに小説読んでると異常な程 自分の正義を疑わず盲信的に信じてるキャラ居ますよねぇ...叩けば治るタイプと壊れるタイプが居ますが一体どちらやら...
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