プロローグ

ある一人の男が廃れた荒野にて多数の生物と戦っている


背後には負傷した少女達


前方には視界を埋めつくさんとするくらいの敵


そんな絶望的な状況で戦い続けていた


「ちっ、敵が多いなッ!!」


油断してると鳥型の虚獣に腕を持っていかれそうになる


「____!!!」


後ろで守ってる奴がなんか言ってるが聞こえねぇ


前の此奴らの鳴き声がうるさ過ぎる


「さっきから ギャーギャーうるせぇなぁ!!」


槍を振るう度に 鋭い風が吹き乱れ 敵を切り刻む


大地を力強く蹴れば強い揺れが起こり 敵の足元が崩壊していく


そこまでしても敵は減らない


「あまり使いたくねぇが 使うしかねぇか...その前に...」


守っていた3人の人物に向けてある物を投げる


「それ使って脱出しろ!!!」


そう言い放ち返事も聞かずに敵の殲滅に勤しむ


すると後ろからパキッという音共に魔力反応が出たのでそれが消失したのを確認


「使うか...【荒れ狂う赤い嵐テュポーン】起動!!!」










俺の名前は久遠カバネ


かつて別世界で生きていた記憶を持ち


今はちょっと大人の雰囲気がするオシャレなカフェを経営しながらある人物を影からこっそり手助けしている


カフェの収益?趣味でやってんだからんなの気にしなくていいんだよ!!常連も増えて来てるしな!(血涙)


うん?俺の今までの人生?別に話す必要もねぇだろう


おっさんの武勇伝元い人生経験談を聞きたい物好きなんて居ねぇしな


そんな俺は主人公達のピンチを助けてから数日後 のんびりカフェで自分の入れたコーヒーを飲んでいた


今日は常連が来ない日だから閑古鳥が泣いてるぜ...トホホ...


ん?主人公達に正体がバレないかだって?大丈夫だ、問題ない


大丈夫じゃ無さそうに聞こえるが実際問題は無い


迷宮と呼ばれる無人の殺戮マシーン元い宝の山から出た聖遺物を使って 顔は隠してるし全身かっこいい黒スーツで普段のラフな服装とは正反対

声も普段の声とは全く違う


仮に普段が気の抜けたダラダラしてる声だとして


こっちの時は威厳のある声だ ここに聖遺物によって更に声質の特定を難しくしてるから余程の解析に特化した奴か変態...じゃなきゃ分からんだろう


そんなカフェでゆっくりしてる俺の元に早速ある人物が来た


この世界物語の主人公であり聖遺物の中でも特に扱いの難しい天啓レガリアシリーズに認められた天才美少女ちゃんこと 神月零夜だ


「どうした 嬢ちゃん そんな酷い顔して」


「久遠さん...」


「なんか辛いことでもあったか?話くらいなら聞いてやる ほらそこ座ってろ コーヒー入れてやるからよ」


「ありがとうございます...」


「ま、どうせお前さんのことだ また救援要請聞きつけて突っ込んで大方負けたんだろ?」


「ッ...何故それを...」


「ま、俺の交友関係は意外と広いってわけさ それにそんな暗い雰囲気してんだ 何かあったくらい分かる ほら コーヒーだ 角砂糖は多めに入れといたぞ」


「ありがとうございます...」


「んじゃ一服したら聞いてやるよ あ、話したくなきゃ別にいいぜ?」


「いえ...話させてください」



「本来なら守るべきだった2人を守れず後から救援に来てくれた人物の足を引っ張ってそのまま先に脱出した....それに負い目を感じてんだな?」


「..はい 私は..天啓に認められました だから皆を守らないと行けないのに..守れず 助けてくれた方の足でまといになって...」


「...はぁ ったくお前さんは前から思うが背負いすぎだ」


「...」


「一応言うがな お前さんは強い 天啓に認められるし 色んなやつを守りながら強大な敵に立ち向かう勇気も優しさもある」


「そこまでは...」


「そしてそう褒められても傲慢にならない謙虚さもある だがな...嬢ちゃんはまだなんだよ」


「...」


「子供ってのは大人に頼っていいんだぜ?そこまで全部背負ったら そのうち疲れてボロを出して 守りたいもん守れなくなるぞ」


「ッ...」


「それに...全部を守るってのは些か傲慢だぜ 嬢ちゃん」


「えっ...?」


「守ってた奴らが全員ただ守られるのを見てるだけと思うか?そりゃ 力の無い一般人ならしゃーないけどよ お前さんの仲間や友達 知り合いはどうだ?」


「...皆...戦ってる..」


「そうだろう?だからそこまで背負うな 嬢ちゃんの仲間は後ろで守られるだけじゃなくて ちゃんと肩を並べて戦う事が出来るってのを再認識しときな」


「...分かりました」


「さて、これでも食って元気出しな」


「これは...」


「俺のお手製パンケーキ 勿論ハチミツたっぷりだ 」


此奴は甘いものが好きだからな これでも食って元気を出してもらいたいとこだ


「い、良いんですか?」


「おう、俺のサービスだからな さっきのコーヒーもそうだ 今日はお代は要らん」


「えっ、でも」


「あー、もう遠慮しないで食えって それともそんなにパンケーキ嫌いか?」


「ち、違いますけど....」


「じゃあ食べな」


「で、ではいただきます...!」


お行儀良くナイフで切り分け パンケーキを頬張る姿はさながらリスを連想させるな


「お、美味しい!!」


「そいつは良かった」


作った身としてはそう言ってくれるだけで充分だぜ


「...あれ?なんか後ろの扉空いてますよ?」


「ん?あぁ、起きたのか」


俺はその扉を開けた犯人であり脚にしがみついてくる人物を抱っこして持ち上げる


「どうもースーパーミラクルゲーマー美少女 あやかちゃんだよー」


無表情でピースしながら言う言葉じゃねぇ


「女の...子?」


「ああ、此奴は俺が昔に拾った子供だ 何があったのか今じゃ完全なゲーマーになっちまったがな...」


「賞金取ってるから穀潰しじゃない」


そう言った後 嬢ちゃんに向けてピースピースと言うこいつの名前は久遠綾華


苗字は一緒だが血の繋がりは無い 養子みたいなもんだ


普通の人間には見られない銀髪に赤い目 白い肌 そして出会った時から既に死んでいる表情筋


吸血鬼のように見えるが全くの別もんだ


俺が拾ってからはちゃんと育ててきたのだがゲームにハマって完全なゲーマーになっちまった


ま、ネットの大会で優勝して賞金持ち帰ってくるからただの穀潰しでは無い


賞金とか取らなくても良いんだが何故か持ち帰って俺に渡してくるんだよなぁ


自分のお小遣いにしとけよ...そうすれば俺からのお小遣いすぐガチャに溶かして血涙流すとかないだろ...?


「んじゃ綾華 適当に座っとけ 朝飯作ってやる」


此奴の朝飯は昼ご飯だ


大体深夜までゲームで限界まで夜更かしして寝るからな


そのお供にはポテチとカル○ス


朝飯と夜飯をバランス良く作ってはいるがそれでも不健康な生活なのは変わんねぇ


だがそれで特に体調崩すほど やわなやつじゃねぇからなぁ


「希望はあるか?」


「ん」


「パンケーキ?お前さん昨日もパンケーキだったろ...」


「カバネの作るパンケーキが美味しいのが悪い」


「んな理不尽な...トッピングは?」


「ハチミツましまし」


「あいよ」


俺がパンケーキを作っている間 綾華はじーっとパンケーキを食べてる嬢ちゃんを見つめている


「そのパンケーキ食うなよ」


「失礼な そこまで非常識じゃない」


「この前 朝食と言って俺のベーコンエッグ半分食った奴はどこのどいつだ」


「美少女だから許される」


「おやつ抜きにするぞ」


「もうしないからそれだけはやめて」


あわあわと手を必死に振りながら止めてくる綾華


無表情なのに仕草と声から焦ってるのがよく分かる


「大体深夜にポテチ食ってんのに更におやつあげてるだけでも充分だと思うが?」


「む、カバネは分かってない 深夜のポテチの犯罪力を」


「いや深夜はカップラーメンだろ」


「いいや、ポテチ」


「「....」」


「あ、あの 2人とも...?」


「じゃあ食べ比べして決めるしかねぇよなぁ?」


「上等、深夜ポテチの素晴らしさを理解させる」


「深夜のラーメンのヤバさを分からせてやるわ」


「2人ともそんな熱くならず...」


「「これは重要な問題なんだよ /なの!!!」」


「えぇ...」



俺と綾華の言い合いに若干引いてた気がする嬢ちゃんは食べ終えた後にお礼を言い 店を出て行った


お礼がしたいとか言われたが俺が勝手にやったことだから気にすんな って言って止めといた


「カバネ」


「ん?どうした?」


「明日も動くの?」


「昨日は動いたが明日は特にハプニング無い限りは動かねぇよ」


「ならちょっと付き合って」


「何にだ?」


「新作のゲームの第1陣販売が行なわれるからそれの並び 私だけだと悪目立ちするから...」


世間一般的には美少女だしなぁ...変な輩が居てもおかしくないしな 仮に襲われても綾華なら返り討ちは出来ると思うが進んでやろうとは思わないはずだ


「ああ、良いぞ」


「...良いの?」


「それくらい何ともないさ んじゃ何時に行けばいいんだ?」


「販売が7時からだから...」


「んじゃ3:00くらいに出発して4:00くらいから待つか 」


「....そんな早く..良いの?」


俺は前世の経験から知ってるぜ?こういうのはそれくらい早く並ばないと手に入れられないのをな!(n敗)


「? そういう系は早めに並ばねぇとだからな あ、起きれない心配でもしてんのか?大丈夫だ 仮に寝てても着替えさせて連れてくからよ」


意外と寝坊助だからな綾華は


「...違う 疲れてないの?」


「全然 今の俺には無縁の話だ」


この身体になってから疲れを一切感じないんだよな〜


「...分かった ならお願い」


「朝食は簡単なもん作っといてやるからそれ食べな」


「...うん」


「んじゃ明日は休業にするかねぇ そのまま遊ぶってのはどうだ?」


「ん、お願い」


「了解だ んじゃ綾華が喜びそうなルートでも調べとくか」


ゲーセンやアニ○イト辺りか?それとも美味いスイーツを売ってるカフェか...


「...(貴方はいつもそうやって隠して...私や誰かの為に動いてる...誰にも疲れも弱みも見せない...それに私の時みたいに簡単に命を投げ出せるのはなんで...?)」


綾華は分かっていた カバネにとんでもない量の疲労が重なってること


それをカバネが隠して自分や顔見知りの前では元気に振舞ってること


「...カバネ 無理しないでね」


「ん?急にどうした?あ、もしかしてまたハチミツ増やして欲しいんだな?しゃーねぇなぁ」


まだ食べ切れてないパンケーキのハチミツが無い部分に更にハチミツをかけてくれる


「...ありがとう(そういう事じゃないのに...)」


カバネの心配をしつつも ハチミツ増量に嬉しく感じる綾華であった



尚本人はマジで疲労を感じてないし蓄積してない 何なら隠してすらいない


そんな事実を知らない綾華は不安そうに後片付けをするカバネの姿を見ていた


******




「ん?」


「どうしたの?」


「...わりぃ ちょっと電話が来た 少し外す」


「ん...」


綾華に一言断りカフェの裏口に出て電話に出る


「...何の用だ」


『...お久しぶりです


「その名で呼ぶんじゃねぇ 俺はもうお前の師匠でもねぇ 」


『...そうです..か....』


「んで 何の用だ?」


『...また戻ってきてくれませんか』


「あ?なんて言った?もう一度言ってみろよ」


『...ごめんなさい』


「俺やあの子に対しあんな事をしたお前らの元に戻れと?随分 図々しいなお前ら」


『....』


「俺は別に理事会が何をしようと気にしねぇが...理事会は一度...いや一度じゃねぇな 何回も倫理と道徳を捨てた 人類の発展?被害を減らす為?そんな素晴らしい理由じゃねぇ」


『...』


「自分らの傲慢な欲の為に子供にあんな事する奴らの居た組織になんて戻りたいと思うか?」


『そう...ですよね...』


「次 お前を含めた理事会が道を外れたら俺は何を敵に回そうが理事会を滅ぼす 道を外れた理由が何のためであろうと関係ない 力を持つ者は人としての道を外れちゃいけねぇんだよ」


『...はい』


「...ま、てめぇの様子次第では極偶に顔を出しても構わんがな あの子が許すならだが」


『!!!』


「んじゃあな 」


返事も待たずに電話を切る


「...葉巻吸うか」


葉巻を取り出しスキルで小さい炎を出して火をつける


葉巻で一服しながら考える


「...原作でもひでぇ腐敗っぷりだったが今は彼奴以外は粛清されて彼奴を筆頭に頑張ってるみたいだな それに他の奴らも別の地域で活躍してるようだな...はぁ、まさかこんな事になるなんてな」


俺はため息をつく


「はぁ...それでもなんだかんだ ああ言う俺は甘いのかもしれねぇな..」


乾いた笑いを出しつつ葉巻を吸い終えた俺はカフェに戻った


「じー...」


「...すまん 遅くなった」


「じー...」


「夜食作ってやるから許してくれ」


「許す」


此奴本当に食欲に素直だな




ちなみに夜ご飯は綾華がスイーツを除いて一番好きな俺お手製オリジナルお子様ランチを作った


俺?適当に余りもんで済ませたよ


んで夜食はハッシュドポテト ハッシュドポテトには二種類のタイプがある デカいか 否かだ


勿論作ったのはデカい方 それも塩がそれなりに効いてるやつだ


それに加えてラーメンとポテチだがどちらも美味しかったので深夜に食うのはどっちが美味い論争は平和に終わった





ーーーーーーーーーーー


初投稿です 更新?リアルの事情があるから不定期なりますよ 畜生!!!

















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る