シオンが姿を現す。見たところ大きな外傷もない。無事に勝てたようだ。


「司様!私、頑張りました!褒めてください!」


ちなみに俺は槍が刺さったままだ。

といっても、もう演技をする必要はないか。

俺はむくりと起き上がり、体に刺さった槍を引き抜く。直後、完全回復パーフェクト・ハイルを使用し、その傷を完全にいやした。


「これで良しっと。さて、我々は今、ピンチを迎えている。それは……」

「それは……?」

「大会まで、もう時間がない」


シオンは一瞬きょとんとした顔で首をかしげる。少し考えた後、


「あっ!」


と声を上げる。どうやら思い出したようだ。

ちなみにこの間、アルケミア達は目が点になっていた。それごときで、ピンチとか言ってんじゃねぇ!と思っていたことだろう。


「門から少し離れたところに出口を作って、なんちゃってワープで移動しようと思う。そういうことだから、魔族の皆さんお元気で~」


俺は、複合魔法を利用したワープ方法を使い移動することをシオンに話し、即実行。ゲートを作り、異空間に入る。


「司様~まってくださ~い!」


シオンがすぐ後を追う。この間も魔族の皆さんは目が点だった。


「あっ。忘れてた。アルケミア。これやるわ」


俺は無限収納から黒い球体を取り出し、アルケミアに投げる。


「おっと。司?これは何だい?」


アルケミアは球体を受け取ると首をかしげる。


「それは、まぁ、見てみればわかる。じゃあ!」


俺はそう言い残すとゲートを閉じる。

それから、特に大した問題もなく門を通り、ルビーがいる城に向かう。


「ツカサ!今までどこにいたの!?」


ルビーは俺を見つけると、駆け寄ってくる。いや、あんた、そんな動き回って良いの?


「ちょっと、魔族と会ってた」

「…は?」


そういえば、人類にとって魔族は敵だったな。


「…まぁ、ツカサのことだから、人類の敵になった、とかはないんだろうけど」


それから少し会話をした後、本題を切り出す。


「そういえば、帝都大会の本戦ってどこでやるんだ?」


ルビーはぽかんとした後


「…あっ!そういえば、ツカサは知らなかったね。でも大丈夫!ここは首都だよ!ここにある一番すごいスタジアムで本戦をやる決まってるよ!」


よく考えればわかることだが、一様聞いておいた。

そうだよな。やっぱり、本戦なわけだから。首都で。それも一番大きな、それこそ一番国としての力を示せるような場所でやるだろう。

それから、ルビーの厚意で大会が終わるまでの間、城に寝泊まりできることになった。

特にやることもないので、暇なことこの上なかったが、その間、ライガ(前帝王です。皆覚えてる?)と模擬戦をしたり、いろいろあった。


そして、とうとう帝都大会本番。

思った通り、予選と同じところでの開催でした。

帝国の様々な場所で行われた予選を通過した猛者たちが集結したこともあり、何とも言えない殺伐とした雰囲気、熱気がある。どうやらルビーが全部処理したようで、俺は受付を終えたことになっていた。ぶっちゃけめんどくさかったので、とても助かった。

スタジアムの周りには当たり前だが、出店が大量にある。

何処も熱気が漂っており、さながら祭りのようだ。

大会の開始までまだ時間があるため、出店を回ることにした。焼いた肉を串に刺した物。野菜をスティック状に切ってたれをつけて食べるもの等々。一様試合があるので、ほどほどに食べておいた。

スタジアムにて、開会式が始まる。周りを見ると、冒険者の恰好をしたペア。統一された鎧を身に着けたペア。獣人のペア。エルフのペアなど。ほかにも、獣人とエルフのペアなど、様々なペアがいる。想像以上に種族がばらけている。

俺が感心して(感動もあり)周りを見渡していると、司会がしゃべり始めた。

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最強の錬成職(仮) 篠原 亡 @Shinonaki

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