「…これがお前が作ったトリガーの力か。確かにすげぇな」
模擬戦を終えたカラフトは俺に近づくなりそういった。確かに、今まで使ってきた月光と比べたら、圧倒的な威力になっているとは思うけど、そこまで言う必要ないと思う。ただ、
「もちろん弱点もある。扱いにくい点と、魔力の消費が大きい点だ。扱いに関しては俺が教えればどうにかなるが、魔力に関してはあきらめてくれ、少しづつ増やすしかない。」
まあ、魔力に関しても解決策がないわけではないのだが、どっちにせよ少しづつ増やすしかない。俺とカラフトの試合を見ていたザシュが声を上げる。
「信じられません!まさか、本当にトリガーを改造できるなんて。あなたはいったい何者なんですか!?」
なかなか鋭い質問をしてくるな。ちょうどいいし、今のうちに言っておくか。
「そうだな。改めて名乗らせてもらおう。俺の名は、星守 司。元勇者軍の錬成師だ」
俺が名乗ると、カラフトを除いた4魔王が戦闘態勢に入る。当たり前か、いきなりそんなことを言われたら。さて、どうしたら信じてもらえることか。わかり切ってはいるが。
「俺がカラフトのトリガーを改造したことから、俺が敵じゃないと証明ができないか?」
「そうだ、こいつは敵じゃない。俺が証明できる」
「ボクも、司君は的じゃないと思う。おそらく、」
「アルケミア。そこからは俺に言わせてくれ」
「…わかった司君がそう言うなら」
さすがにその事を他人がいうのはちょっとな。こういうのは自分で説明したほうがいいからな。
「俺は、覚醒したせいで勇者軍を追放された。今の俺はニンゲンではなく亜神だ。トリガーを改造できたのもそれが理由だ」
「嘘です!貴方からは神特有の魔力を感じられない。」
そういえば、神には神の。魔族には魔族の。人間には人間の魔力があったな。なんと説明すればいいか。
「具体的に言うなら。今の俺は魔族かつ人間かつ魔物かつ神かつ獣人だ。俺の魔力は、その影響でどの種族とも判断できない。いわば無属性の魔力となっている」
正確には、俺が覚醒してからであった種族の魔力に限りなく擬態している。といったところだ。アルケミア達は驚いた様子でこちらを見ている。カラフトが代表して聞いてくる。
「そこまでして。お前は何が目的なんだ?」
カラフト以外の魔王側のニンゲンも「同じことを聞きたかった!」といった表情で俺を見てくる。確かに、ここまでして。と思うのも無理はないだろう。しかし、逆にここまでしないと奴を超えることができない。正確にはまだ1割程度といったところか。圧倒的に足りない。力も、仲間も、その他のなにもかも。ただ、こいつらもこの星の生物なら、いうことはできない。最低限なら大丈夫だろうが。
「細かくは言えないが、師匠の仇だ」
…そう。師匠との約束を果たす。そのためなら、俺は勇者でも殺す。魂のひとかけらも残さずに。
それから俺はうまく話をそらし。カラフト達4魔王のトリガーをすべて改造した。
「まず、そうだな。カラフトが使うトリガーから説明するか。カラフトがこれから使うトリガーは、剛力の魔王専用トリガー『シン・月光』。主に使う技は、『旋空シリーズ』と呼ばれる、旋空の派生形の技を使うことになる。それと、魔王専用トリガーに共通してオプションとしてヴィーデを付けた。ヴィーデはわかるよな?」
俺が聞くとカラフトがうなずきながら答える。
「あぁ。魔力をあえて乱して、制限時間をつける代わりに、魔力体および武器を強化する。一種の強化魔法みたいなものだな」
そう。ザシュが先の試合で使った技だ。どうやらザシュが使える理由はそれを組み込んでいるからだが。本来。ヴィーデは生まれないはずだった。いうなればイレギュラーということだ。おそらくトリガーの扱いがまだうまくない、つまり新人が魔力体の魔力を乱してしまい、その結果たまたま発見された。というシナリオだろう。そのイレギュラーを組み込めば、奴に通用する可能性が上がるからな。
「あぁ。その認識であっている。そのガイストを4魔王専用トリガーすべてに組み込んである。『シン・月光』はこんなもんだ」
俺が説明を終えるとカラフトは
「なるほどな。なら、これからこいつを使いこなすために練習してくるわ」
というと練習場に行った。ほかのトリガーのことは気にならなかったようだな。ある意味カラフトらしいといえばらしい。それはさておき、次は
「次は、暗殺の魔王専用トリガー。つまりオビッサが使うトリガーだ。名は『千変刃刀改』。能力は、前回に引き続き、飛翔障壁。そして、さっき言ったが、ヴィーデ。千変刃刀が持っていた変形能力はそのままに、より素早く変形が完了できるようにした。それと、いざというときのために『双葬』という二刀流の手斧に換装するシステムを入れておいた。ガイストと変形能力は失われるが、威力の面で見たら向上している。それと専用オプションとして、『セリエース』を付けた。これを使うと双葬はそれこそ死神の鎌のような形になる」
長々と説明してもしょうがないので簡潔にまとめると、
・ヴィーデつけた
・双葬への換装
・専用オプションで鎌に変形
主に変わったのはこれくらいだ。
双葬に関しては完全新規の武装なので、なれるために、練習をする必要があるが、オビッサならできるだろう。地味にカラフトに次ぐ実力の持ち主だからな。
「…感謝」
オビッサはそういうと、アルケミアの近くに戻った。どうやらあくまでアルケミアの護衛は続けるらしい。ただ、体が微妙に動いているので頭の中で趣味レーションはしているのだろう。
「次は、ザシュが使う守護の魔王専用トリガー。『守護鉄壁』だ。能力は、ヴィーデ、スラスター、フルアーマー、シールドの四つだ。スラスターは魔力の変換効率の上昇。つまり威力の向上だ。フルアーマーは、武装をすべて同時に装備できる。その影響でこのトリガーの枠は月光、守護、千変刃刀、遠距離狙撃銃をすべて入れてある。シールドも単純な強化だな」
守護鉄壁に関しては、本当に上位互換みたいな感じになっている。フルアーマーも守護の二刀流で守りを固めるために元々作ったオプションだ。作ってから、「これ実はほかの武器も行けるんじゃね?」と思ってやってみたらできちゃったからノリで武器を全部ぶち込んだだけだ。もちろん後で変更可能だ。
「最後だ。最後は、射撃の魔王が使うトリガー。『遠距離狙撃銃
千変刃刀改については。千変刃刀特有の形状変化のおかげか、双葬を入れることができた。とりあえずすべてのトリガーについての説明が終わったので、とりあえずすべてのトリガーに入っているガイストを使用する訓練から始めることにした。それぞれ苦戦しながらも、さすが4魔王というべきか。確実にコツを掴んでいる。だいぶ慣れてきたころ、ある情報が入ってきた。曰く「勇者が侵攻を開始した」らしい。
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