第76話 約束のタコパ
映画の撮影も終わり、あとはバラエティが一本で僕の初の俳優活動が終了します。監督からは絶対に今後オファーが来るよと言われましたが、今回のが特別だったから今後はないと思うと言ってしまったよ。
こっからツクヨミの活動が忙しくなると思うし、今回だって配信の日はほぼ朝から晩まで起きてなくちゃいけないのが意外に辛かったのだよ。体力的には全然大丈夫な感じだし免疫落ちて風邪を引くとかは絶対にないんだけど精神的にね。僕寝るの好きなのにそれを奪われている感じが1番堪えたよ。贅沢を言っているのはわかるんだけど贅沢ができる2度目の人生だからね。
断って誰に迷惑かけるわけではないし、お金が必要だからって理由で仕事するわけじゃないから面白そう以外で僕の食指が動かないんです。これも贅沢ですね。
まあ、僕事務所に所属とかしているわけじゃないしSNSをやっているわけじゃないからどうやって僕にオファーが来るのかわからないんだけどね。
「「「お邪魔しま〜す!!」」」
あ、きたね。え?鍵もかけずに不用心?連絡してますよそう言うのは。しかもカレンがそんな初歩的なものを忘れるわけないじゃないですか。みんなお馴染み信号機3人組が来ております。今のセブンは役のせいで黒髪だけどね。他二人はいつも通り青髪に金髪ですよ。
「スズとナギは病院以来だね。セブンはこのあいだぶりだね。」
3人がリビングに入ってくる。ドラマの撮影中は僕もセブンも忙しかったから約束した僕ん家でのご飯もなかったから。今回のお誘いは渡りに船だったよ。
「おひさ桜。じゃなくて!NOバディ出てたってマジなの!うち聞いてないんだけど!一緒のお仕事なんてセブンずるすぎるよ!」
あれ?それ言っていいんですかセブンさん。あ〜目が泳いでますよ〜
まあどんな役で出てたとかはこの感じ言ってなさそうだけど、映画のちょい役で出たんだと思っている感じならセーフか?
『いえ、絶対にアウトですよ。これは白金社長の説教行きですかね』
やっぱそう思うカレン?どこからバレたんかな。打ち上げの感じ心ここに在らずで何も考えられない時に心配されて聞かれたのにぽろっとこぼしちゃったのかな?うん説教だな絶対これ。まあ一般人の友達とかじゃなくてよかったんじゃないかな。芸能で仕事しているならそこら辺のモラルは高いでしょ。
「僕も聞いてない。一緒にお仕事したかったのに今度私たちのラジオ出てよ。colorsだけの仕事ならそこら辺の融通はしてくれると思うし。」
「う〜ん。ねえセブン、僕が映画に出るってこと霧虎さんは知っているの?」
「は、はい〜。ぽろっと言っちゃってお説教されました。社長も知らなかったみたいで驚いていましたけど絶対に言っちゃダメなことでしょと1時間くらい...」
あ、もう説教済みなのね。僕が出るの多分監督、助監督スタイリストの粕谷さん以外は多分知らなかったことだしね。そりゃ〜ね。
「じゃあ今日霧虎さん来た時に映画が上映されて僕が出ていたのが世間に知られてからでいい日ないか聞いてみるのでいい?上映後にテレビ出る気は無いけどラジオくらいならいいかなって思うし。」
「うんうん。僕はそれで満足。ありがとう桜。まだ上映されてないから映画のことあんまり聞けないけど、どうだった?」
どうだった?また漠然とした質問をするねナギは。
「う〜ん。仕事のセブンは遊んでる時と違ってかっこよかったよ。」
「っく!セブンだけずるいぞ。アタシも面と向かって言われたい〜!セブン!黙って顔赤くしてるなよ。は〜これは藪蛇だったね。なんかゲームでもして社長を待とうぜ〜」
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「そろそろタコパの準備しよっか。霧虎さんも今仕事終わってあと30分くらいで来れるみたいだし。役割分担は液とかの諸々は僕主体でやるから、みんなはタコとか他のきらなくちゃいけない中身の方をお願いね。」
今日やってたゲームはドザエモンひみつ道具王決定戦っていう双六のパーティゲームやで。結構昔のゲームでサブスク入れば昔のゲームもできるよみたいなやつにあってさ!めっちゃテンション上がってやろうよって僕が言ったよ。
「「「りょかいで〜す」」」
返事がよろしいようで。ではたこ焼きの液を作っていきます。なんだかんだ結構必要だと思うので大体二リットル分くらい作ります。余ったら僕のおやつになります。たこ焼きの液の量ってたまにしか作らないものだから難しいよね。あれ?少ないかな?って思ったら多かったりボールにパンパンに作ったのに少ない!ってなる時あるし難しいですね。ああ、今回は簡単なので料理の工程を端折りますよ。
何かの動画でペットボトルの中に液体を入れておくと洗い物も入れる時も簡単だと言うのをどこかで見たので粉と水に卵をビャッと入れて完成。
あとは何かで使うかなと思ったアイスクリームが入っているような銀のタッパー?みたいなやつの小さいのに紅生姜と天かすに、トッピングとかで使うネギと明太マヨとかね。こっちの方が雰囲気でるだろと思って木の升に青のりと、鰹節を入れておきます。僕は形から入るタイプです。あ、普通にソースとマヨはあるからね。
あとは中に入るものを切ってもらっているけど、今回のバラエティはタコ、ソーセージ、イカ、たらこ、明太子、ツナが王道かな。うまいんじゃねって言うアレンジは枝豆、梅干し、餅、ミックスナッツ、たくわん、キムチ、コーンかな。
あとは僕以外女性だから甘い系も必要なのかなって、こっそりホットケーキミックスで同じように液体をペットボトルに入れておきましたよ。そっちの中身は、イチゴとかのフルーツ系にチョコとマシュマロかな。
あ、霧虎さん着いたって連絡来たな。迎えにいきますか新婚の嫁みたいに。こっちだとあの概念とかどうなっているんだろう。裸エプロンは男性でも需要があるのか?いや想像するのはやめよう食欲がなくなる。
「おひさです霧虎さん」
「久しぶりね桜くん。わざわざ玄関までありがとうね。あの3人は何しているの?」
「料理の準備終わってソファーでくつろいでますよ」
切ってとはいったけど結局タコと、ソーセージにたらこと明太子を切ったら終わっちゃったし。十分くらいくつろいでますよ自分の家なんかってくらい。
「は〜ごめんね桜くん。あ、これよかったら食べて。寅古屋の羊羹とどら焼きね。あとはビールと日本酒を持ってきたからお願いできるかしら。」
「羊羹ありがとうございます。飲み物は冷蔵庫に入れておきますね。」
お〜大人って感じ。まああの3人にはたこ焼きの中身の買い出しお願いしたから手土産もってこ〜いみたいなのは全然ないけど。しかも家も階が違うだけで一緒だしね。でもこう言うのってマジ大人って感じだね。僕も意識しとこ。全部手作りになりそうな菓子折りだけど。
「3人とも飲み物最初は何にするの?霧虎さんはビールでいいですか?」
「ええ私はビールでお願いね。」
「僕もビールでお願い」
「私とスズは気分的にビールで乾杯したいからお子様ビールで」
ああ、そういえば買ってきてたな。袋から出した時に久々にパッケージ見て懐かしさで気絶しそうだったわ。あのリンゴの炭酸ジュースに泡があるやつね。前世で誕生日とかの時に毎年買ってもらってたわ〜
「んじゃ僕はいつも通りレモンサワーで、ふっふっふこの気が効く天才こと桜くんはみんなのグラスをしっかり冷やしておきましたよ〜」
「ありがと〜」
あ、うん霧虎さんだけが反応して、3人娘は席順でバトってますね。
「ねえ席順どうするの?まあ桜はキッチン側の席だとしてセブンはとりあえずじゃんけん話でうちらに譲ってね。」
「う〜甘んじて受け入れます。」
「まあ社長は正面で真ん中に桜で隣に僕ら二人でいいでしょ。どうします社長?」
「ええそれでいいわよ。晩酌する時にゆっくり話す約束したから」
「「「え!?」」」
明日霧虎さんお仕事休みって言ってたから、ゆっくり晩酌しましょってお誘いされて僕も張り切って日本酒に合うおつまみを仕入れておいちまったぜ。
まあこれ言ったら私たちも!って言われるのはわかっているから多分タコパの延長でって話だったけどね。この3人泊まる気満々でいきますって言われたし。
ちなみに配信部屋だけはしっかり施錠してカレンが鍵を開けないと開かなくなりましたよ。開かずの間ですよ電子ロックの鍵ですから。特注で作りましたカレンがね!
「じゃあ早速第一陣やっちゃうよ。ちゃんとたこ焼き作りは予習してきたからね。ちなみにみんなは関西たこ焼きのフワトロ派?それともカリカリの関東たこ焼き派?」
「どっちも捨て難いけど、ウチは関東のカリカリかな。」
「僕は関西のトロトロが好みだけど、トロトロじゃないと嫌だとかは全然ないから大丈夫だよ。」
「う〜どっちも捨て難い!私は〜う〜ん」
スズはカリカリでナギがどちらかと言うとトロトロでセブンはどっちつかずと。どうしようかな僕はカリカリ派だから最後油入れて揚げ焼きみたいにしようかなと思ったけど。まあどっちもやればいいか。
「静かに社長は何食べてるんですか。ってめっちゃ美味しそう」
「ああ、それはそんな使わないだろうと思った缶詰のコーンをバターで炒めたやつと普通に余ったキムチと入りきらなかったたこ焼きの液で作ったなんちゃってチヂミだよ。みんなもちょっと食べる?」
「「「食べます!」」」
ボールで液作ってそれからペットボトルに入れたんだけどちょろっと余ったから水でほんの少し伸ばして白菜のキムチでチヂミ風に焼いただけだけど。もちろん美味しかったけど今からたこ焼きですよみなさん。
「はい、第一陣完成!ガスだと早いね本当に。えっとね〜こっちの4分の1がタコでこっちがイカ、それにソーセージとこっちはミックスナッツだから。僕は気を衒ったミックスナッツはうまいんじゃないかと思うんですよ。」
おお!うまい。カシューナッツの食感がアクセントになって今回のトロトロのたこ焼きと合うね。タコパの良いところはこう言うのできるところだよね。
「やっぱタコ焼きインソーセージは最高ですよ。ほらセブンもチヂミに夢中になってないで」
スズはソーセージ派なのね。わかるわ〜ソーセージのポテンシャルは引くほど高いからね逆に合わないものってあるのってくらいうまいよね何に入れても。
「タコもいいけどイカも美味しいね桜。僕があ〜んしてあげよっか」
おっと戦争の予感。そりゃ僕も男ですから可愛い子にあ〜んしてもらうなんて夢見たいですけど、サン方向からの視線がすごいですよナギさん。涼しい顔しとらんでこの空気をどうにかしてくださいよ。
「はいあ〜ん!」
「あの〜凪沙さん?この空気でですか?」
「あ〜ん!」
「あ、あ〜ん。う、うん美味しいですよ」
初めてのあ〜んがこんなトゲのような視線の中なんてもっと違うシュチュエーションがよかったです監督!
「「抜け駆け良くない!あ〜ん!」」
「あ〜ん」
うん美味しさ変わらずです。そこの凪沙さん!次をスタンばらない!
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