第72話 先輩達と仲良くなりたい(変装中)

ロケバスが街中を進んでいる頃車内では思っていた以上に会話が弾んでいる。

桜の心情的にあんまり話しすぎるとバレるんじゃないかとやっぱり心配である。

カレンには大丈夫であろうとまた自分の中で大丈夫だと割り切ろうとしたが話しているとばれてんじゃね?と思ってしまうのは多分自然なことだろう。


「椿ちゃんって本当に演技初心者なんだよね?」


「ええそうですわね。正直今日はうまくできましたが現場を止める場面が多々あるかもしれませんので先輩方のフォローが頼りですわ!」


「そこまで頼られるものなのかどうかはおいておいてフォローはするわよ。私含め多分一緒に撮る時間が長いセブンと湊がね。」


「そういえばですけど、石動さんと五十嵐さんは昔からお知り合いなのですか?どことなく気の知れた中な感じがあるのを感じたのですけど」


「そうよ。この女王様石動沙也加様とは高校の時の同級生で多分1番仲が良かったんじゃないかな?私は留学期間があって一年くらい通っていなかったけどそれでもこの女王様には友達が少なかったから帰ってきても仲が良かったのは私だったと記憶しているね」


そうだったのか。だから仲がいいな〜と感じたのか。

まあこの業界入ってから仲が良くなったのかと思ってたけど。

僕も業界人みたいな語り方だけどテレビ局入ってないから芸能人感はゼロです!


「女王様と呼ぶのはやめなさい湊。そもそも友達が少ないのは高校の時から芸能関係の仕事をしていて半分くらい学校に行けていなかったからじゃない。まあこんな感じで腐れ縁よこの女とはね。そこまで遠いところじゃないからそろそろ着きそうね。ごめんなさいね疲れているから休んでと言ったのに色々喋りかけちゃって。」


「いえいえおしゃべり楽しかったですし、初めてのことが多かったので色々聞きたいこともいっぱいあったのでわたくしとしては有意義な時間でしたわ」


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「では、色々トラブルがありましたが怪我の功名かNOバディの2作品目の上映が決まり撮影が始まったのを祝してカンパ〜い!!」


「「「カンパ〜い」」」


品のいい日本料理屋っぽい個室にスタッフと演者。まあ演者は僕含めて4人しかいないけど全部で30人弱くらいかな。この世界来て初の大人数飲み会です!

ちょっとテンションがいつもより高くなっております。

あ、ちなみに今日は動画投稿の日なのでツクヨミの方は大丈夫です。


「月影くん、今日はどうだった?演技の方は100点だったけどやっぱり緊張とかしたかな?」


「あ、監督。緊張はそれはもうそこそこにしましたが暖かい現場でしたので気負うことなく演技に集中できましたわ。監督に演技100点と言われると天狗になってしまいそうですわね。」


「いや〜それは良かった良かった。」


「そういえば監督。椿ちゃんってどういう経緯で今回の配役に決まったんですか?なんか大掛かりなオーディションとかもなかった気がしますし、あったら何かこっちにもあるのかな?と思ったんですけど」


セブンが首を傾げながら細枝監督に聞いてくる。

そういえばどういうふうに決まったとか何も決めてなかったよね?

まあ監督ならうまくかわすか。今回の答えをどっかで聞かれたら答えればいいし。あ、みんな気になってたのか。近くの席の人たちが喋りながら聞き耳立てるっていう高等テクニックをしている気がする。知っているのはメイクの粕谷さんと監督助監督だけだもんね。


ちなみな話、長テーブルの掘り炬燵が二つ並行に並んでいて真ん中の方の席に僕がいて隣に監督逆が粕谷さん、正面に石動さんセブン五十嵐さんがいる感じだよ。


「ああ、私がこの人ならって大抜擢した感じかな。それに合わせて演出とかストーリーを調整していった感じかな。だから初心者には難しい要求をしちゃったけどキャラを損なわなければ何をしてもいいよって言ったよ。そういえば月影くん、お菓子を食べていたのはどういう意図でやっていたのか本人の口からきじてみたいな。何となくどういう意図かはわかったけど本人から聞いてみたいしね」


「あ〜と、エヴァ・ヴァレンタインというキャラクターが日本のサブカルチャーに感化されているような喋り方なのでそういうニュークにはない食文化的なものにとても興味があると思ったんですよね。キャラ的にマイペースなので移動中とか話中とかさりげなく食べているんじゃないかなって思ったので最初から持っておきました。スタッフの人に最初に確認してどの場面ならどっちのカメラから映されるかを覚えておいてそのタイミングでパクパクしてました。」


「そんな感じの考えでグミ食べてたんですね。急にどこからともなく出してきたのでしかも3種類くらいありましたよね?マジックかと思いましたよ本当」


セブンには先に行っておくべきだったかな?まあ映画の方でも初対面のシーンだったからなんだこいつ?みたいな雰囲気で驚いて誤魔化してた感じだったからカットもかからなかっかったのかな?さすがプロ。でもこういうの初心者?初演技?の人がやったらベテランはあんまいい気しないのかな。気をつけとかないと。


「ああいう自分の中のキャラクターへの解釈はどんどん入れていいからね。このメンツとまだここにいないNOバディメンバーならどんな無茶振りでも最大限の力で返してくれるからのびのびやってね月影くん」


「ありがとうございます。やってみたいことあったら監督に相談しますね。それで他の人にも教えておいた方がいいのかとかの判断をお願いします。」


「監督私たちのハードルを上げないでもらっていいですか?全力で応えますけど無理なものは無理ときちんと言いますからね。」


「沙也加、いつにもまして弱気じゃない。主演女優賞も取った女がそんなのでいいんですか〜」


「湊...初演技であれなのよ。まあ多少監督とか他の方から演技指導のようなもがあったかも知れないけど。あの初演技とは思えないものから何が飛び出てくるかわからないなんて恐怖でしかないわよ。」


「それは確かに。でも対応しないと先輩の名が泣くと思います!」


「あなた、アクションの方とかではほぼ絡みが無いからって.......まあそこまでヤバいのは監督が悪ノリしない限り大丈夫だと思いますけど、セブン頑張ってね」


「そ、そんな〜。あ、あの監督ほどほどでお願いします」


「月影くんの発想次第だね」


「そこでわたくしにふりますか」


本当1番最初の現場があったかくて良かったよ。

トラウマ抱える覚悟はなかったし、この体にも感謝だね。

まあ1番はカレンにだけどね。


『頼りすぎるのもどうかと思いますよマスター』


言わんでくださいよカレンさん。頼りすぎてるなとは思うけど人間楽を覚えてしまうと抜け出せないんですよ。信じられないくらい有能ですやんカレンさん。

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