第71話 ドラマ親睦会

街の喧騒が聞こえないような都会にしては静かな方へ車が進んでいく。

車内の会話はなく少しどんよりとした空気にもかかわらず、片方は気まずげにしているがもう片方はなぜかリラックスしてどこに隠していたのかわからないお菓子を食べている。それはもう側から見ても美味しそうに。


「そんなに美味しい?日本のお菓子が?」


「ええそれはもう。そういえば日本は自己紹介の文化はないのですか?

大した移動距離ではないと思いたいですが、気まずそうにしないでもらっていいですか?最低限のコミュニケーションくらいできないのですか。」


「あ〜そういえば忘れてたな。私の名前は竜胆輝夜だよろしく。」


「ええよろしくMsリンドウ。エヴァ・ヴァレンタインです。

短い間ですがよろしく頼みます。」


簡潔な自己紹介をして少し時間が経ち、目的の場所に着く。

特殊捜査班第0係の本拠地は、都心の喧騒からほんの少し離れた静かな場所にひっそりと佇んでいた。周囲には広がる緑地と静かな住宅街があり、そのエリアだけがまるで時間を忘れたかのように落ち着いていた。しかし、外界の静けさとは裏腹に、その建物の内部には冷徹な機能性と徹底的なセキュリティが息づいている。


その建物は、外観がシンプルでありながらも堅牢で、外部からはその存在感をほとんど感じさせない。金属とコンクリートで作られた壁は無駄な装飾を一切排除し、まるで無機質な存在そのもののように周囲の風景に溶け込んでいる。ガラスの窓はほとんどなく、外部からの視線を遮るために、壁面は一層の厚みを持たせて設計されていた。入り口は一見普通のドアに見えるが、その背後には最先端の認証システムが隠されており、内部に足を踏み入れる者は選ばれた者だけだった。


ドアを開けると、そこには規律と緊張感が漂う空間が広がっている。内部は暗めの照明に包まれ、冷徹で無駄のないデザインが施された家具が静かに並んでいる。作戦室には大型の戦術ボードが壁一面を覆い、周囲にはリアルタイムで情報を表示するスクリーンが点々と配置されていた。スタッフたちは必要なもの以外は一切目を向けず、ただひたすらに目的に集中している。デスク上に散らばる書類も、まるで計算されたように整然と並べられており、そこに乱雑さや無駄は微塵も感じられない。


窓はなく、自然光が入ることはない。しかし、外界の喧騒を遮断するためのデザインがもたらすものは、逆に内部の静けさと集中力を生む。その静寂の中で、ただひとつ、コンピュータのキーを叩く音や、モニターの画面が切り替わる音だけが響く。外の世界との接点を完全に遮断されたこの空間こそが、特殊捜査班第0係の核心であり、彼らが凶暴な犯人やテロの脅威に対して冷静かつ迅速に立ち向かうための拠点だった。


セキュリティも厳重で、どこを触れてもその構造が無駄を排除した作りであることがわかる。入口には顔認証、指紋認証が施され、館内に入る者は一瞬の隙間も許されない。外部の情報も完全に遮断され、誰一人として外の世界の音を耳にすることなく、その本拠地で過ごすことになる。

その場所は、ただの警察の基地ではない。それは、危機を未然に防ぐために冷徹なまでに計算された場所であり、任務を遂行する者たちの精神を鍛えるための舞台だった。どこまでも静かで、どこまでも厳格で、どこまでも強固な本拠地が、今も彼女らの活動を支えているのだ。


「以前にボロボロになったのが嘘のように綺麗ですね」


「どうしたヴァレンタイン」


「いえこちらの話です」


「じゃあ紹介しよう。私の上司でありバディの宇佐美夜白先輩。で、あっちに座っているのが如月蒼先輩です。あと櫟川本部長と東野木先輩の5人で特殊捜査班第0係です。ようこそ日本へ。厄介事をどうもありがとう。」


「ニュークから派遣されたエヴァ・ヴァレンタインです。

お掃除の手伝い感謝します特殊捜査班第0係の皆さん。」


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「カット!うん、思ったよりいいね。月影くんも初めてとは思えないような演技でしたよ。それとそのお菓子どこから出したの?」


「これですか?メイクさんに相談してなんのお菓子なら映画でパッケージが出てもいいか確認して買ってきてもらいましたわ。」


「そこじゃないんだけど...まあいいです作品に支障はないですから。早いですが今日の撮影は以上になります。では皆でご飯でも行きましょうか。親睦会という名目でいつもの店はとってありますから」


ふ〜疲れた〜というか僕このまま演技しっぱなしですかこれ?

撮影時間は一時間半ってところか、少し山奥の方にある古屋までドライブしてさっきの自己紹介をして今日は終わりだそうですよ。

まあ最初から今日は短めって言ってたしこんなものなのかな?

イメージとしては一日中撮っているのかなって思ってたし、まあ今日の撮影的に昼間の時間のものしかなかったからってのもあると思うけど


「それ、監督が飲みたいだけじゃないですか?まあ大賛成ですよ私はもっと椿さんとも話したいですのでありがたい限りですけどね」


セブンは乗り気な感じでしかもいっぱい話しかけてくる感じかな?

普通にバレるよね。そこんとこどう思うカレン


『まああなた次第でしょう。仲がいいと言っても10年来の仲というわけでもないですからボロが出なければバレないのではないですか?それに先入観というものもありますし、いつもはしない香水までしているのです。この程度でばれてもらってはツクヨミの方にも支障を来たすかもしれませんよ。その予行演習だと思って頑張ってください。予備知識などは私がサポートしますから』


まあそんなものなのか?自分に置き換えると大学で仲良い子が急に男装しかも完成度激高のできてもわからないかな?うんわからなそうだな。そもそもそんなんしてくると思わんしな。まあなるようになれだ。


「わたくしは全然大丈夫ですわよ。わたくしも皆と話してみたいですし現場のことなんかも色々聞いてみたいですから。それと監督、バラエティとかの出演もあるかもと言っていましたがどうなりそうですか?」


「そのことですか。あ〜月影くんにはマネージャーがいませんでしたから連絡先をそうですね、澤木くんと交換しておいてください。日程などは追って連絡しますね。キャスト的に月影くんは出演すると思いますからよろしくお願いします。」


「ええ、覚悟だけはしておきますわ」


バラエティか〜まあ映画が公開する前のだったらそこまで騒動にならないかな。

映画が公開されちゃったら男ってのがバレるからできて、特別上映一発目の開始前までがギリかなみ終わった後は超特急で帰る感じだけどね。

いや〜みんなどういう反応をするのかが楽しみだなやっぱり。


「帰りはロケバスだからみんなそっちの方に移動をお願いします。

車はこのままここに置いていって大丈夫ですので、スタッフも手早く片付けて移動しましょう。演者の皆さんは先にお店の方に監督達と移動をお願いします。」


「了解しました。行きましょうかセブン達も移動しましょう。月影くんは疲れていませんか?移動中仮眠しても構いませんからね。湊!移動するわよ」


「はいはいボス。今行きますとも、一応もう一度自己紹介しますか、私は五十嵐湊よ。好きに呼んで。ま!色々話したいから移動しながら話しましょ!」


「遅れてきたあなたが仕切るんじゃないですよ。まあさっさと乗りましょう。」


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