第70話 ドラマ!始まります(撮影編)

さあさあさあ!始まりますよやっと。

待ち望んだ人もいるでしょう。配信の会とかいるか?とか思ったやつもいるでしょう。現実問題決まってからすぐにとは行かんのですよ色んな意味で。

まあそんなことは置いておいて今その現場に向かいながら化粧をほどこされております。すごいですね、車の中でもメイクできるらしいですよ。まあ本格的なものは現場に着いてからするらしいんだけどね。女装させられていますから、ノーメイクで現場入りするのは憚られておるのですよ。


いやですね皆さん、僕が自分から女装がしたいわけではないですよ。そこだけはわかって欲しいですね。自分からやっているのではなく、あの事件で映画がポシャるのは勿体無いし少し自分のせいでもあるとお思いますからそのために体を張ってやっているわけで、映画公開前の番宣のためのバラエティがあるから女装で出てくれって言われてこんな姿をお茶の間に晒すのやだとか思ってないですからね!


『ぐちぐち言ってないで、現場に着きますから一度桜を忘れて役になる前のサクラちゃんになってくださいね。映画を成功させたいならボロを出さないようにしっかり演技してくださいね。サクラちゃん』


カレンがなんでノリノリなんだよ!こっちは色々頭の中で考えているのに、サポートというかボロを出さないようにするためにカレンの助けが必要なんだからしゃんとしてもらわないと!


『はいはいわかっておりますよマスター。思いの外完成度が高くて驚いているんですよ。これが男性だって知ったら何人の女性が自信を損失するのでしょうね』


知らん!そもそも毎日頑張っているんだからそれを裏付けする自信があるだろ普通に。それに男性が少ない関係上女性は容姿に力を入れているから街であった女性のほとんどが美人だったよ。変だったのはナンパしてきたけバイギャルだけだよまじで!


「月白君、これから現場入りするけど心の準備は大丈夫?まだ演技初心者のあなたには酷だろうけどまだ演技に慣れていないから映画が撮り終わるまで役を抜かないようにしているということで通してあるからね。そこのところをよろしく頼むわね。これから現場とかその姿の時は月影 椿(つきかげ つばき)という名前で活動してもらいますからよろしくお願いします。」


「わかりました細枝監督。月影 椿ですね。はい、大丈夫です」


しっかり声も変えて挑んでいこうと思います。月影ね、あったことあるセブンと石動さんにバレないようにしないと、あちなみにですが、今の容姿は黒髪で顔の横に髪の毛がこう触覚みたいにあって、ポニーテールのちょっとキツめの女性って感じだ。髪型の正式名称は知らん!


今日からもう撮り始めるかもって言ってたから気合いが十分でございますとも。台本も頭にバッチリですし、いざという時のカレンでカンニングもできますからね。僕に資格なしでございますよ。

主要メンバーの新入りは僕だけらしいから緊張も一入ですね。


「エヴァ・ヴァレンタイン役、月影 椿です。よろしくお願いします。」


今この場にいるのは主要キャラのセブンに石動さん、それに舞台挨拶にもいた五十嵐さん。他は監督と助監督にメイクさん方とカメラさん方がおります。


「演技初めてなんですよね、失敗を恐れずに頑張りましょうね。私含めて他の皆さんもサポートしてくれるので緊張しすぎないように頑張っていきましょうね」


「はいよろしくお願いします。赤星さん」


「セブンでいいですよ。みんなそう呼びますから。」


「私も椿でいいですよ」


なんか仕事しているセブンが新鮮すぎてやばい。あるよねこういうギャップで惚れちゃうね。普段クラスではおちゃらけてるけど部活では真剣でほの字になっちゃうなんてよくある話だね。知り合いがいるのに他人じゃなきゃいけないのってなんかモヤモヤします!


「では早速撮影を始めます。足早になると思いますが手は抜きませんのでよろしくお願いします。今日は特殊捜査班第0係の三人との初会合のシーンと、竜胆輝夜との初シーンを撮ります。」


早速出番ですね。では行ってまいります。


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ビルの屋上から双眼鏡で、ある事件に関わっているであろう犯人を見ている輝夜は不満そうに本部にいる宇佐美先輩に愚痴をこぼす。


「対象を確認。このまま見てればいいんですか先輩。あいつが今回の事件の犯人に繋がるっている証拠はあるんでしょう。ポッと出のニュークの調査員に手柄をわざわざ譲る必要はあるんですか?」


『あちらさんは虎の子を出してきているし、今回のホシはあのニュークでの事件に関わっている可能性があるため譲るしかないって櫟川(くぬぎがわ)本部長が言っていたわよ。大人しくそこで見ていろって上は言われているそうよ。私たちはその虎の子のサポートに徹してくれとのことよ』


輝夜の顔がどんどん不機嫌になっていく。もっている双眼鏡にも力が入りミシミシと音を立て始める。それも当然だろう、ニュークで起きた大事件の尻拭いをさせられているのが事実であるにもかかわらず、あちらは上から来て協力を要請するのではなくサポートしろときた。


「これあっち側が失敗すればこっちの責任にしてきたりしますよね絶対。面の皮厚すぎません?これだから嫌なんですよ。私たち第0係の仕事なんですか?事件の規模なら私たちの案件ですけど尻拭いさせられているのが腹立ちます。」


『は〜愚痴が多い!集中しなさい。そろそろ接触するらしいわよ』


「らしいって連絡取り合えてないんですか?』


『今監視しているホシを捕まえた後で私たちの本部に来るそうよ。輝夜は捕まえた星とニュークの虎の子と一緒に本部に来てくれるかしら。顔合わせは、私と如月しかいないのよね。櫟川本部長は今回の事件で上戸の会議中だし、東野木(とうのき)のバカはいつも通りこもっているわ』


特殊捜査班第0係は5人の優秀な捜査員で構成されている。

本部長で警察との協力や情報などのすり合わせをする櫟川鞠子(くぬぎがわ まりこ)、本部から情報を精査し座る人担当如月蒼(きさらぎ あおい)、本部にこもっている凄腕ハッカー東野木涼愛(とうのき すずめ)、元軍人で日本を影から守るためにスカウトされた先輩刑事宇佐美夜白(うさみ やしろ)、そして主人公頭は回るし身体能力も抜群で警察ないでも一目置かれるような刑事だったが警察の不正を許すことができずに反抗したが警察内部で爪弾きにされた凄腕の元刑事竜胆輝夜(りんどう かぐや)の5人で構成された組織である。


ビルの屋上から見ていると現場に変化が起きる。監視していたホシが急に眠るように椅子に倒れる。その横に黒髪の黒いスーツを着た女が座る。その女は輝夜がいる位置がわかっているかのようにこちらに向かって手を振ってくる。


「どんな手際なのよこれ。それより早く下に行かないと。先輩、ホシは確保しましたので今から連れて帰ります。」


『了解したわ』


急いで階段を駆け降りる。すぐに現場につきその女に話しかけようとすると相手側から話しかけられる。


「この荷物を車まで運んでくれませんこと?わたくしでは肩が凝ってしまいますから。早く本部の方にいきましょうか?あなた達がどれだけ情報を手に入れているのかの確認をしておきたいのですよ」


「はいはい。なんですその口調?気取ったお嬢様風で、まあ似合ってますけどね。あなた達高飛車なニュークには」


「無駄話は嫌いですの。それにこの口調はただの趣味からの影響ですわ。日本語を話すためにサブカルに手を出したのが原因でしょうね。さあ疑問は答えたのです早くいきましょう」


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