第53話 夏の特別配信1 怖い話編

「枠替えにお付き合いいただきありがとうございます。

こっからは怖い話をしていこうと思います。」


:待ってた

:待ってた

:待ってた

:こっちには間に合った


「間に合った人も、この配信を後から見る人も

ぜひ楽しい配信になるように怖い話の内容が同行の感想を

SNSにあげるのは控えてくれるとありがたいかな。

まあ、自分たちのコミュニティで話すのは全然いいからね。

それが対面でもネットでも。知らない人への配慮だけは忘れないようにしてね」


:ネタバレ厳禁よ

:切り抜きもやめとけよ

:ツクヨミならみやすくしてくれるだろ


「今回の怖い話は全て僕の声で演じさせてもらうからよろしくね。

いろんな声が出てくると思うけどあんまり混乱せずにそういうものだと思ってみてくれるとありがたいかな。それと演技がどうこうみたいなのはあたたかい目で見てくれると助かるよ。わざわざ棒読みで読むみたいなことはしないし、

コメントでもそういうコメントは消されるとは思うんだけど、SNS等にわざわざそういうのを書くのは控えてね。流石に効くから」


:やっぱコメントは消されるよね

:徹底されているよね

:荒らしとか嫌な気持ちになるのがいないからコメント見ながら配信見る勢としては見やすいからマジで全配信者に導入してほしい

:あ〜めっちゃわかる

:コメントで萎えるのあるよね


「では長々した前書きは以上にして早速やっていこうか。

怖い話の解説なんて寒いことはしないからそこんとこよろしくね。

1話終わるごとに感想みたいなのは聞こうかなって思うのと、

慣れてきたら視聴者が参加して選択できるような内容のものにシフトチェンジしていくから、心していくように。まあTRPG風なやつね」


:お〜楽しみ

:そういうの待ってました!

:やっぱ視聴者参加型はあるんかい!

:何話あるんだろう

:普通にどんな声なのか楽しみ


「ではやっていこう!形式は紙芝居形式だから雰囲気も味わいながら

夏の涼しいひと時をお楽しみください。」


===ここからの怖い話は台本形式になっていきます===


『第一幕 月桂館』


夕暮れ時、雪がしんしんと降り積もる山奥の山荘。

外は静寂に包まれ、吹雪の音がかすかに聞こえる。

ロビーは広々としているが、古びた家具と埃の匂いが立ち込めている。

壁には古い絵画が飾られ、薄暗い灯りがロビー全体に微かな光を投げかけている。そこに一人また一人と館に集まってくる。男性三名、女性三名の計六人の男女がこの館も集まった。全員の手には招待状が握られており、この屋敷の主人に招待されたであろうことが伺える。

ロビーの真ん中にはシャンデリアが高い天井から吊り下げられ、その光が弱々しく揺れている。長い間誰も訪れていないような雰囲気だが、招待された六人がそれぞれ緊張した表情で互いを伺いながら誰かが行動するのを待っているようだ。


30代後半であろう筋肉質で無愛想な男性が喋り始める

?「……で、誰が俺たちをここに呼んだんだ?この館に招待状を送ったのは誰か、知ってる奴はいるのか?」


40代の冷静沈着で知的な印象がある女性が鋭い眼差しを持つ

?「明確に知っている人はいないみたいね。私たちは全員招待された、ということだけが共通している。でも、誰が、何の目的で?そこがまだ不明確。」


20代後半のやや痩せ型で神経質そうな青年が顔に不安が浮かび、落ち着かない様子で喋り始める

?「僕はただ、手紙が届いたから来ただけで…。理由なんて何も書かれていなかった。それに、誰が僕を選んだのかも、全く分からないんです…。」

震えた声でそう言うと、周囲からの冷ややかな視線が突き刺さる。

視線に耐えきれず目を伏してしまう。


30代前半のように見える美しい外見だが、常に周囲の目を気にしている様子で喋り始める

「私もそうよ。招待状が届いて、ここに来るしかなかった。でも…今となっては、ここに来たこと自体が間違いだった気がするわ。」


30代ほどの無精ひげを生やした粗野な男が冗談交じりの口調で喋り始める

「おいおい、まるで映画のシナリオみたいだな。古い館に集められた見知らぬ者同士…お約束のホラーじゃないか。どっかに化け物でもいるんじゃねえか?」


20代後半に見える華やかな外見の女性がどこか怯えたような表情で震えた声で喋り始める

「…冗談じゃないわ。こんなところで一晩過ごすなんて、ありえない…。誰が私たちを呼んだのか、本当に何も分からないの?」


その場の沈黙が深まり、誰も答えを持たないまま、お互いの顔を探るように見つめ合う。


”30代後半であろう筋肉質で無愛想な男性”

「とにかく、落ち着こう。無駄に騒ぐのは得策じゃない。それにお互いを知らないのも不安になっている一因だと思うんだ。

俺の名前は村上忠司(むらかみ ただし)警察官だ。よろしく頼む」


”40代の冷静沈着で知的な印象がある女性”

「私は斎藤彩里(さいとう いろり)探偵よ」


”20代後半のやや痩せ型で神経質そうな青年”

「ぼ、僕は渡辺徹(わたなべ とおる)です。一応、起業家です」


”30代前半のように見える美しい外見の女性”

「私は高田紀乃(たかだ きの)よ。まああなたたちとよろしくするつもりは無いけどね」


”30代ほどの無精ひげを生やした粗野な男”

「なんだよお前ら、俺は仲良しこよしをしに来たんじゃねーよ。

.......っち!わかったからそう睨むなよ。

俺は田中秀利(たなか ひでとし)元軍人だ」


”20代後半に見える華やかな外見の女性”

「......藤本真澄(ふじもと ますみ)、女優よ」


斎藤「食堂のほうに移動しない?この招待状の最後の文にご丁寧に

我、食堂にて待つ。そこで全てを話す。と書いてあったのはあなた達の物にも書いてあるんじゃない?」


村上「ああ、そう書いてあるな。皆に同じ話をするのか?

ここにいる人たちとは面識がなかった気がするのだが」


斎藤「安心して私も面識はないわ。早く移動しましょう。

私たち二人と違って周りを気遣う余裕もその気もないようよ」


村上「ああ、そうみたいだな」


話をそこで切り上げ斎藤の後を追い全員が食堂のほうに移動する。

六人は食堂に集まり、豪華な食事が並べられたテーブルの前に座る。

しかし、誰一人として食事に手をつける者はいない。外では吹雪が強まり、館は外界と完全に切り離された孤独な存在となっている。


食卓の上のワイングラスを見つめながら喋り出す。

高田 「これ、本当に大丈夫なの?誰が用意したのかも分からない食事に手を付けるなんて…。」


斎藤 「どちらにせよ、私たちはここに閉じ込められている。食べないという選択肢はないわ。何かが仕組まれているかもしれないけど、疑いすぎても仕方がない。」そう言い終わると静かにワインを手に取り、一口飲む。


渡辺 「でも、本当に何が起こるか分からないよ…。誰が僕たちをここに集めたのかも分からないし…。」不安そうに食事を見つめ、手を動かせない。


田中 「そういうのはな、怖がってると余計に運が悪くなるもんだ。俺はいただくぜ。」そう言うと大胆にナイフとフォークを手に取り、肉を切り始める。彼の動きに少しでも安心感を得ようとするように、他の者たちも食事を開始するが、雰囲気は依然として張り詰めたままだ。


村上 「全員、招待状を受け取ってここに来た。だが、その共通点だけじゃ何も分からない。もっと具体的な理由があるはずだ。」じっと食事を見つめた自分に言い聞かせるように言う。


斎藤 「もしかしたら、私たちは何らかの共通点を持っているのかもしれないわ。過去の出来事とか、知り合いが共通しているとか…。」と冷静に分析する。


高田 「それって…私たちの過去を誰かが知っているってこと?そんなの、考えたくもないわ…。」と急に顔色を変えて言う。


一瞬、全員が沈黙し、各々が自分の過去に思いを馳せる。その視線はどこか怯えと疑念を含んでおり、誰もが不安を抱えていることが明らかだ。

その空気のまま食事が終わり食器を各々が厨房に持っていき、

自分の招待状に書いてある自室に向かう。その顔には共通して疑念と恐怖がありありと伝わってくる。


深夜。六人はそれぞれ自室に引き下がるが、館の不気味な雰囲気に包まれて眠ることが出来ずにいた。風が窓を叩き、時折聞こえる足音に、全員が神経を尖らせる。渡辺はこの張り詰めたような不気味な空気に当てられ気を張り詰めていたがいつの間にか眠ってしまっていたようだ。しかし急に目を覚ます。枕元に置いた時計を見つめるが時刻は真夜中。館内が静寂に包まれる中、廊下を歩くような足音が響いてくる。その足音はだんだんと自分の自室に近づいてくるように錯覚する。


渡辺「だ、誰かいるのか?」

扉をそっと開けると、廊下には誰もいない。ランプの明かりがかすかに揺れているだけだ。彼は不安げに周囲を見渡し、再び部屋に戻る。


翌朝。食堂に集まった面々は、一人が欠けていることに気づく。村上が率先して部屋に行くと、そこには渡辺であったであろう冷たい遺体が転がっている。彼の首には深い傷が残され、部屋中を激しく荒らされており抵抗の跡が見られる。


藤本 「こんな…誰が、こんなことを…。」震えながら痛ましい死体を見ないように顔を覆う。


村上 「俺たちの中に、犯人がいる。誰かが、渡辺を殺したんだ。」真剣な表情で周囲を見回しながら言う。


田中 「おいおい、待てよ!俺たち全員、ただここに呼ばれただけじゃねえのか?何でこんなことになるんだよ!」自分の焦燥感を隠しつつ言う。


斎藤 「招待状を受け取った時点で、私たちは誰かの計画に巻き込まれたのかもしれないわ。それとも、私たち自身がこの館に来ることを強く望んだのか…。」自分の探偵としての経験を駆使しつつ冷静に分析し、今の状況を推測する。


渡辺が殺され、館内には張り詰めた緊張が漂う。誰もが次に狙われるのではないかという恐怖を感じ、互いを疑い始める。皆の視線には疑念と恐怖しか写っておらず、この状況を解決するように協力することもなく警戒しながら1日を過ごす。そして、その夜に再び事件が起こる。


館の薄暗い廊下に、何かが割れる音が響く。全員が音のする方向に駆け寄ると、そこには田中の無残な姿があった。彼は手に持っていたナイフを自らの胸に突き立てたかのように見えるが、その表情には何か異様な驚きが残されている。


藤本「また…また誰かが…!どうして、こんなことが次々と起こるの…?」

叫び声を上げながら冷静になれないでいる。


村上

「これは自殺じゃない。誰かが田中を襲ったんだ。この館には間違いなく、殺人鬼がいる。」厳しい表情で田中の死体を見つめている。


高田「もう…誰も信用できないわ。私たちの中に犯人がいるなんて信じたくない。でも、事実は変わらない…。」と恐怖に震えながら言い放つ。


斎藤「まずは田中の部屋を調べるべきね。彼が何かを見つけたか、あるいは誰かに脅された可能性が高い。全員で部屋に行きましょう。」心のうちは分からないが、探偵の意地なのかいたって冷静にそう推理する。


斎藤の指示に従い、残された三人は田中の部屋を調べ始める。しかし、特に目立った証拠は見つからないと皆が口を揃えたように言う。


村上「田中は何かを隠していたかもしれない。だけど、こんなに簡単にやられる男じゃなかったはずだ。何があったのか…。他の部屋も調べてみよう。

ここには何もなかったが他の部屋なら何か手掛かりになるものがあるかもしれない」そう言うと、部屋の外に出ようと皆を外へ行くように誘導する。


高田「ここにいる誰かが嘘をついているとしか思えないわ。だけど、誰が…?」

不安な顔でそう呟き、皆に従い他の部屋の探索の跡を追いに行く。


館の中の部屋を四人で調べるが、めぼしいものはなかった。

どの部屋でも埃が溜まっており人がいないことぐらいしか分からなかったのである。印象に残るのは部屋の壁紙の模様が違かったこということくらいである。

しかしそれは今回の事件には関わりがないことはその部屋に積もっていた埃が証明していた。


食堂に戻りそこでこの館から出ていく方法を話し合おうと村上が話すが、

皆硬い顔でなぜか頑なにこの館から出ていくことに協力してくれないでいた。


村上「なぜ、この館から出たがらないんだ!命以上に大事なものはないだろう!」


各々の疑念と不安が次第にエスカレートし、ついに感情が爆発する


高田「あんたたち全員、何か隠してるわね!こんな状況になるのはおかしい…私たちは騙されてるのよ!」怒りを露わにして急にそう叫ぶ。


藤本「私だって、あなたが怪しいと思ってる!最初から不安そうにしてたくせに、裏で何か企んでるんじゃないの?」と震えながら反論する。


斎藤「ここで無意味な争いをしても状況は変わらないわ。むしろ、私たちは互いに協力してこの状況を打破するべきよ。それをすれば私はこの館から脱出するわ」といたって冷静に言い放つ。


村上「だが、誰かがこの館に呼び寄せられた理由を知っている。お前たちの中に、その全貌を知る者がいるんだろう。だが!警察官としてこの館から出て殺されてしまった二人のことについて警察を呼ぶべきなんだ!そのためにはこの館から出ていくべきなんだよ!」他三人の行動が支離滅裂に写り声を荒げて説得しようとする。


高田「うるさいわね!!私は真実を知るまではここを出るつもりはないわ!」

声を荒げてそういうと席を立ち自室に戻っていく。


藤本「村上さん、あなたも何か知りたくてここに来たのでしょう。白々しい」

そう言い放つと藤本も自分の部屋に戻っていく


斎藤「あなたには悪いけど、協力できないわね」

そう言うと斎藤も自室に戻っていく。


食堂に一人取り残された村上は田中の部屋で見つけた手紙をもう一度見る。

そこにはこう記されている。

”復讐に囚われた哀れな軍人へ

戦場を忘れられぬ哀れな軍人よ。その原因である裏切り者の情報が欲しくば臆病者を殺し鍵を奪え。さすれば我が元へ来れるだろう。

その時あなたが知りたい真実をお教えしよう”

真犯人がこの殺人劇を仕組み楽しんであるのだろう。

しかもそれはまだ終わっていないのだと村上は予想し、これ以上誰も死なないようにこの館からの脱出を提案したのである。だがそれは失敗に終わる。

それほどに他の残っているもの達の知りたい願いは重いのだろう。

次は自分が殺しのターゲットにされてしまうと言う不安を押し殺し、

自分の服の内側にしまっている拳銃を確認する。

その目にはもう恐怖は映っていなかった。


村上の予想通りその夜、殺人は起こってしまう。

女性の悲鳴が聞こえ眠らずに待っていた村上は急いでその現場に向かう。

だが時すでに遅く高田のお腹にナイフが刺さっている。

その高田に馬乗りになるように藤本が乗っている。


村上「藤本さん!あなたは何をしているかわかっているんですか!」


藤本「私は正しいことをしたのよ!これであいつらに復讐できるんだから!」


村上「復讐がなんです!それで関係もなかった人を殺す理由にはならないでしょう!あなたは人の命を奪ったんですよ!顔も知らない奴に唆されて正気じゃないんですよ全員!」


藤本「うるさい!あなたに私の絶望なんてわからないでしょう!これでいいのよ、これで」

焦燥し切った顔で言う。自分に言い聞かせるように自分の行いが正しいことであると信じ込ませるように。


しかしそこで予想外のことが起きる。刺されていた高田が半身を起こし放心している馬乗り状態の藤本の喉元を掻っ切る。


高田「調子に乗るんじゃないわよ。」


息が吹き返したかと思った高田だったが鼬の最後っ屁だったのであろう。

藤本の喉を掻き切ったことで生命を使い切ったのかそのまま息を引き取る。

そこに残ったのは呆然とした村上一人だった。


コツコツコツコツと靴を鳴らしながらゆっくりと村上の元へ近づいてくる。

自分を殺すであろう死神がゆっくりと近づいてくる。


村上「あんたが俺を殺すように唆されたのか?ああでもそれならわざわざ俺にバレるように来ないか。.......なぜこのような殺人劇を?」


斎藤「あなたたち全員には共通点がある。それは、誰かに復讐を望んでいるということ。そして、その恨みや欲望に取り憑かれている。それを利用して、私はあなたたちをこの館に集めたの。」全て知っていたように冷静に話し始めた。


村上「なぜ?」

その目にはこの殺人劇を起こしたものへの怒りなどはなく、自分の無力さを悔やんでいるようだ。


斎藤「それは、あなたたちの中に答えがあるわ。私はただ、あなたたちの本性を暴いただけ。人間の汚い欲望や憎しみ…それを暴き出すために。」


村上「そんな理由で!」

その目に怒りを取り戻し、斎藤を睨みつける。


斎藤「生き残った貴方に貴方が知りたかった真実を教えてあげましょう。

自身が追っていた犯人が無罪放免となり、その後も犯罪を繰り返す様子を見て、無力さと怒りに苛まれていた貴方はその犯人を捕まえるべく事件を追っていたわよね?」


村上「あ、ああ」

自分のことを本当に知っていた斎藤に困惑を隠せない。


斎藤「貴方は思った、なぜ無罪放免なのか。なぜ証拠不足に毎回なるのか。

薄々わかっていたんじゃない?警察側に事件を隠したいものがいると言うことに。だからこの館に来て背後に誰がいるのかの手がかりになるのではないかとそう思ってここを訪れた。」

淡々と事件の真相を言い始める


斎藤「貴方が追っていた犯人は、警察にとって不穏分子になるものの殺害をしていた。それは他の警察側に不利益になる事件を追っている刑事を殺すのではなくその家族を殺すことで事件を追わせないようにした。そして次のターゲットになったのは貴方の家族。貴方がここにいるおかげで犯人は助かったでしょうね。

1番警戒しているものが出はらっていて奥さんと娘しかいないのだから」


村上「う、うそだ!」

酷く動揺し、そう叫ぶ

しかし無慈悲にその証拠を斎藤は突きつけてくる


斎藤「ほら、これが証拠よ。残念だけど貴方が犯人にされている今日の新聞よ。御愁傷様、貴方の無駄な正義感が1番近しいものを殺してしまったわね」

その新聞にはこう記されている

”元警察官、錯乱し自分の家族を殺害する。

元警察官の嫁と娘が無惨にも殺されており、落ちていた凶器の包丁には犯人の指紋がベッタリとついていたという。警察はこの事件を早急に解決すべく

警察総動員で犯人を追うと表明”


村上「........」

その目にはもう何も映っていなく、力無く膝をついてしまう。

それを見た斎藤はその場を離れる。


朝が訪れ、吹雪が止んだ中、斎藤は静かに館を後にする。彼女の背後には、死体と荒れ果てた館が残され、不気味な静寂が広がる。

斎藤は冷たい風を受けながら、険しい山道を一人で歩き出す。足元には降り積もった雪が踏みしめられ、彼女の歩く音だけが響く。彼女の表情は平然としており、何の感情も見せない。


「人は皆、憎しみや欲望に囚われている。それを覆い隠し、誰もが善人のふりをするが、いざ本能がむき出しになれば簡単にその仮面は剥がれ落ちる。私がしたのは、ただその隠された本性を表に出しただけ。彼らは、最初から互いに破滅の道を歩む運命だったのよ。」

その言葉は誰に言ったのか、吹雪が止んだこの山の冷たい風がその言葉を伝播していく。パァンと乾いた音がその言葉を消すように鳴り響く。

斎藤は館を振り返ることなく山を降りていく。

雪の中に徐々に消えていく。館はまるで、次の犠牲者を待つかのように、不気味な存在感を放ち続けている。次の復讐者を探して

”この手紙を読んでいる者へ。私は、すべての真相を知る者だ。この館で何が起こったのか、何人が犠牲になったのか。それは全て私の計画の一部だった。しかし、私は一つだけ後悔している。それは、この復讐の連鎖が終わらないことだ。私が仕掛けたこのゲームは、決して終わることはない。そして、次はあなたがそのゲームに巻き込まれるかもしれない…。”

=================================================

「いかがだだったでしょうか。ホラーと言いながら最初っからミステリーチックの怖い話でした〜」


:いや聞き入っちゃったけど全然幽霊とかじゃないやん

:最初は前やった呪いとかかと思ったのに

:めっちゃよかった

:月桂館の意味は?


「いや〜そこそこ好評でよかったよ。最初は王道で!とも思ったけど

自分の声を生かすためにいろいろ人を登場するために、と言うかこんぐらいできるんだぜって言うのを伝えるためのチョイスでもありますね。」


:女性声の違和感がないのがやばい

:本当に一人6役?

:ナレーション入れたら7役やん

:紙芝居の絵が良かった!


「ふっふっふそうでしょうそうでしょう。

では、こんな感じで今日は行くのでよろしくお願いします。

では第二幕にいきましょう。そうそう明日くらいに一幕一幕区切った動画が出るから、もう一回聴きたい!とかの人は明日の動画をチェックでお願いしますね。

くれぐれもネタバレはなしで」


:仕事が早い!

:りょ〜

:了解!

:あざす!



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