第47話 お見舞い

太陽が少し落ち、空が橙色に染まり始めた頃

病院内ににつかわしく無いドタドタと走る音が

廊下に響き渡る


「廊下を走らないでくださいね!」


「「「「すみません!!」」」」


目的の病室まで一直線で走ってくるが、

注意されたため全力の早歩きで1秒でも早く向かう


目的のフロアの病室は普通の病室と違く、

男性やお偉いさん用の個室の病室しかなく

ほとんどの病室が空いておりまた、巡回する看護師も多く

目的の病室の前だけ黒いスーツを着たガタイの良い女性が立っており


二次被害が起きぬようにしっかりとした警備体制が敷かれている。

彼がいる病室に向かっている4人はその警備体制に安心するが

全員早く無事の彼の顔を見たいと全力で向かう


1番奥の角の病室の前にいる警備の女性に

自分たちの身分証を早々と見せノックもせずに入っていく


「「「「??!!!」」」」


そこには、シャワーを浴びたのか髪が少し濡れており

今から服を着ようとしている上半身裸の月白 桜が

少しびっくりした顔で四人を見ている


「ノックしましょうよ、まあ直前にシャワー浴びてる僕も悪いでしょうけど」


「「「「...............」」」」


不意打ちラッキースケベを目にした四人は

赤面させ意識がどこかに飛んでしまったような

悟った顔になった四人の再起動には時間がかかるだろう

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時は少し遡り、明日の特別配信をどうしようかと頭を悩ませている桜

お見舞い後の謎の組織への接触のこともあり

色々考えを詰めているところである


「特別配信ってどうしようかな〜

夏休み初っ端なの怖い話配信でいいんだけど

せっかくならなんか大きな企画やりたいよね〜」


『そうですね、配信をし始めてまだ2ヶ月ほどですから

コラボ配信は少し早い気もしますし、

最初の一人は批判がすごいと思われますから

そこも要検討ではありますね』


そうよね〜なんかでかいイベントごとで

一気にコラボで、それを機にコラボ配信とかをやり始めればいいかな

リアルコラボじゃない方がいいし


まあリアルコラボでも終始、鎧着ていればいいかな

それが了承できないならコラボ無しくらいの気概でやらないとね


今回の事件でわかったけど迂闊にも程があるよな〜

チートがあればとかそういう問題じゃ無いよね

だから、逆にツクヨミ方はもっと活発に配信していこうと思う


身バレしてないツクヨミでもっと知名度を上げて

僕とは別人物であると分かれば、注目も分散されるだろうし、

なんならそっちに注目がいってくれるとありがたいんだけど


「それよか、この部屋やっぱすごいね。

普通に豪華なホテルの一室じゃん」


『ここのフロアはすべてこのような部屋になっているようですよ。

入ってすぐにトイレで、その奥にベットまでは同じようですが。

奥にはバスルームがありますね』


いやそう聞くとちょっとしか違わなく感じちゃうけど

そもそも部屋自体がでかいし、ベットの正面にでかいテレビと

高そうなソファーと机まであるし


病院に入院したことないから詳しくはわからないけど

これがこの世界の男性の普通なのかな?

ありがたく享受しましょう


みんなが来る前にシャワー浴びるかな

さっぱりしたいし、着替えとかタオルってあるかな?


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そして最初の場面に戻る。

なぜ上半身裸だったのかというとドライヤーをしようとしていたからである。

ドライヤーのあっつい風でもう一回汗をかきたくなくて

脱いだままだったのである。


また、ノックがなかったのもその要因であるし

ベットがある部屋はクーラが付いていて適温であるため

シャワーを浴びて温度が上がった浴室の洗面所の方で

ドライヤーをしたくなかったのであ〜る。


とりあえず服着て髪乾かそう。

再起動には時間かかりそうだしね



「「「大丈夫だったの桜!!!」」」


すごいハモリの信号機組。

ちなみに、髪を乾かす5分弱くらい4人とも昨日停止していた。


「うん、怪我とかは特になくて。

今日の検査で特に身体的なダメージもなかったって太鼓判を押してもらったよ」


4人とも心底安心したような表情になる。

不安にさせた負い目はあるものの、心配してくれる人がいることに

なんだか心があったかくなる。


「桜に何もなくてよかった。佐武島はマジで許さない!」


「それに桜は警戒心が薄いから、あたしたちが守ってあげないとだね」


「そうそう、おんなじマンションなんだから。

買い物行くのだって私たちが暇だったら付き合うし、

今の時代ネットで買えるんだから、

受け取るのもコンシェルジュの人が受け取って届けてもらえれば

安全だから不自由かもしれないけどもうちょっと警戒心を持って欲しいな」


カラーズの三人から心配され、ぐうの音も出ない正論で諭される。

そりゃそうだよな〜カレンが必要なものをネット注文してくれていたし

気分転換で散歩ついでに買い物しようっていうのは

この世界じゃそこそこ危険なことだし

ましてやちょっと注目されていた一般人が警戒心なく街を

普通に歩いてたらやっぱ犯罪者的には美味しいかもなんだと思うし


「月白くん、同じ俳優が迷惑をかけて申し訳なく思うわ」


「いえいえ、石動さんが謝ることではないですよ。

僕もあの時煽っちゃったのが最初の原因ですから。」


「本当に月白くんに何もなくてよかったわ」


本当誘拐されただけで済んでよかったよ。

誘拐されただけっていうのも変だろうけど


「それより映画ってどうなるんですか?

確か好評だからまた番宣するためにクイズ番組出るって入っていたのは?」


確か佐武島はセブンたちのところを無能って罵っていた

違う部署の刑事役でそこそこ出てきていたし、

全カットだとストリー的にも色々支障をきたしそうだけど


「それは今監督と製作陣で協議中で、

私たちのクイズ番組も一旦なしということになったわ」


「それは........」


なんとも迷惑極まりないなマジで

演技は良くても人間性がなってないとこういうことが起きるのね

前世でもそういうのあったけど、こっちだと初めての友達が

芸能人だし感覚麻痺ってたのがあるけど


芸能界は魔窟なんだろうな。

あの証拠群も相当な量の芸能人も混ざっていたし

もっと偉い人たちもいたからそれが普通なんだろうな

なんとも終わっている業界だぜ


あの証拠でどうにかクリーンになってくれることを願うばかりだな

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