第41話 不穏な空気と不明な原因
犯罪者のアジトにしては小綺麗な
普通の人ならただのコテージと見まごうほど
普通のコテージ不釣り合いの黒い服を着た者たちが複数人集まっていた。
「どうだ、ターゲットの状況は」
「下でぐっすりおねんねさ。それより依頼人はまだなのかよ。
こっちも我慢の限界ってもんがあるんだが?
あんな美少年お目にかかることなんてないから味見でもしたいんだが?」
興奮しているのか早口で捲し立てるように喋り出す、
軽薄そうな女に、大柄で真面目そうな女が
少しイラついたような口調で反論する。
「お前ボスの話聞いてなかったのか?
報酬も相当な額で、使い終わったらこっちにも回してくれるって
いっていただろ、それで我慢しろ。」
「でもよ〜、お前も見ただろ?
あんなん見て我慢できるのは女として終わってるぜ?」
「は〜ターゲットの見張りから外すぞ?
私たちはこれでもプロだ、信頼で成り立っているんだぞ。
それに今回は捕縛チームが失敗しかけてボスが尻拭いしたんだ。
私たちまで命令違反なんかしたら殺されるぞ」
「ッチ!男一人になんで失敗するかな〜
真面目にやってボスの心象でもよくして回してもらうの早くしてもらうかな。
てかボスはどこにいんだよ。捕縛チームはもう帰っているんだろ?」
「ボスは依頼人のところだな。計画通りだと明日の昼頃にこっちに来るな。
捕縛チームは本国で訓練のし直しだとよ。
私たちはこのまま日本で仕事だと思うがな。」
「はっいいきみだぜ。順番待ちが少なくて済むな」
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薄暗く窓ひとつないコンクリート剥き出しの
地下の部屋らしき場所で目が覚める。
ポツンと置いてあるランタンが一つに
乱雑に置かれた荷物があることから、
荷物置き場のように使われていたことが窺えるが
埃をかぶっていることからここが
ほとんど使われていないことがわかる。
「まあ、だからなんだって感じなんだがな」
手は後ろで縛られて、足にも縄が巻かれている。
相当キツく縛られていることから、抜け出すのは容易じゃない。
『カレン!いるなら返事をしてくれ!』
反応は無し。いつもなら間髪入れずに反応してくれるのに
この世界にきてからこんなことが起きたことなく
いつもいる相棒が急にいなくなってしまった
「..........ふ〜パニックになっちゃだめだ。
こういう時こそ冷静に、現状確認これ大事!」
まず、ここがどこだかわかんないし
よくある使わなくなった倉庫の地下とかなら
抜け出すことさえできれば人がいるような場所で
助けを呼べるはず...
でもここが森の中の小屋とかの地下なら
ここを抜け出せたとしてもカレンの道案内がないかつ
携帯電はも何も持ってない現状
食料もなく逃げながら彷徨うのは不可能に近い
しかもカレンがいないってことは他のギフトが使えるかも怪しい
逃げる時には身体機能はアクション俳優さながらの動きができていたけど
捕まる時は気配がわかんなかったし、感覚器官が普通に戻っていた可能性がある
もしかしたら、カレン無しの感覚器官のみだからプロのような身のこなしの
隠密を見抜けなかった可能性があるが、
多分気絶したのはスタンガンだったはず
普通に考えて麻痺の状態異常だよな
状態異常にならないギフトはあまり検証をしっかりしていなかったけど
風邪も引かなかったし、お酒での酩酊状態を解除?することはできたし
カレンにはこちらから解除と言わない限り
常時状態異常無効は発動していたはず
しかも、インベントリが発動しない。
このロープを直接インベントリ内に入れられれば
抵抗できるとも思ったんだけど
全部使えなくなってる?
「最悪の状況じゃないか?」
打開策ゼロ?
身体能力が普通の男が大人のそれもプロを何人も相手取るなんて
現実的じゃない。
それに銃とか出されたらその時点で一貫のの終わりだ
運よくここから出られたとしてここが森の中なら
餓死エンドかもう一回捕縛されるかの二択だ
「どうしろっていうんだよ」
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軽薄そうな女に、大柄で真面目そうな女が
桜がいる地下のドアの前で見張りをしている。
どこか緊張感がなくそろそろ交代の番だなと思った頃
すぐそばの階段から誰かが降りてくる音がすると
2階からまだ眠たげの小柄な女性とすらっとしたモデルのような女性が降りてくる
「時間、外の二人を呼んでくるから待ってて」
小柄な女性の方が外にいる今回の監視チームの残り
二人に交代を言い渡しに外に出ていく
「はいはい、了解で〜す」
軽薄そうな女が眠たげな目をこすりながら適当に答える。
モデル体型の女性が忌ま忌ましげに軽薄そうな女を睨む
「なんだよ、その目は!」
「別に、味方に緊張感のないお荷物のせいで
連帯責任になるのは勘弁願いたいなと思っただけよ」
酷く呆れた口調で挑発する
しかし同じヘマをしたらと先ほど話していたため
これ以上噛み付くのは良くないと思い引く
「ッチ!わかってるよ。
捕縛チームみたいにヘマはしない。
早く外の二人を呼んできてくれよ。」
「私はいいのよ。そろそろご飯の時間だから
それを持ってきたのが見えないかしら?」
と、手に持ったおにぎりと何かのスープに
水の入ったコップが乗ったトレーを主張するように見せつける
「お前一人で入るのか?」
「そうよこれはボスからの命令よ。
あなたみたいな獣じみたバカが入ったら
ターゲットを傷物にしかねないからね。
お分かり?」
「お前だって一人だったら何するかわからないじゃねーか。
だったら俺も中に入ってお前の監視をしてやる!」
「は〜大変ね、あなたも。
今回のペアがこんなバカで、ボスからの命令と言っているのがわからないの?
退きなさい駄犬、それとあなたたちも何か食べておきなさい
リビングにある携帯食料は勝手に持っていっていいわよ」
「ああ、そうさせてもらう。
そちらも監視を怠らないように気をつけてくれ」
「ええ、そうするわ。せっかく気づいた私の貢献度を
連帯責任でドブに捨てたくないからね」
玄関口の方から3人の女性が歩いてくる。
「私たちは寝させてもらうわ。四人とも後の監視は任せますわ」
「呼んできたから、お前ら二人は外の監視に出て。
ドアの監視は私たちでやるから」
小柄な女性がそういうと、
元々ドアにいた軽薄そうな女に、大柄で真面目そうな女が
外に出ていく
「外で待っているからさっさとご飯あげてきて」
「ええ、任せてちょうだい」
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