第13話 久しぶりの一人

 さて...。今日は何をしようか。


 朝になると小夏はコスプレをしてくれて、その格好のまま帰っていくのだった。


 そうして、久々に迎えた1人休みの日。

ここ最近は常に誰かと一緒にいたから、だいぶ久しく感じる。


 とりあえず、昼まで寝まくって...気が向いたら起きてゲームでもしようか。


 そう思っていると、一通の連絡が入る。


『ね、今日暇?ゲームしに行っていい?』


 それは凪からのメールだった。


 うーん...今日は1人でゴロゴロしたいし...。

凪には悪いが断らせていただこう。


 そう思っていると、インターホンが鳴り響く。

嫌な予感がする...。


 ややため息をつきながら、ドアスコープを覗くとそこに立っていたのは...案の定、凪だった。


「...」


 少しドアから離れるが、「おーい。メーター回ってんぞー。居留守すんなー」と、ドアを叩かれる。


「おい、やめろよ」


「何で出てくんの渋ったん?」


「...今日はゴロゴロしようと思ってからだよ」


「そっ。それは残念」と、当たり前に部屋に上がり込んでくる。


「よーし、今日はこの魔界市やるぞー」と、勝手に俺の家に置いているレトロゲームをセットし始める。


「てか、他の女の匂いがする。誰連れ込んでたの」


「...高校の同級生。てか、...あのなぁ」と話していると、またしてもインターホンが鳴る。


 そうして、ドアスコープを覗くとそこには瀬崎さんが立っていた。


「...」


「お、おーぃ...」と、自信なく俺に声をかける。

そんな姿に思わずドアを開ける。


「あっ、ごめん...いきなり家に来ちゃって...。その...ひ、暇だったからその...ほら!この前に暇だったら遊ぼうって言ってたから...」


「あっ」と、先に部屋の中にいた凪がこちらを見ながら小さくそんな声を上げる。


「...あっ、お邪魔だったかな...?」と、話をしているとその後ろから萌ちゃんが顔を覗かせる。


「妹を追い出した瞬間女連れ込むとか」


「も、萌ちゃん!?何で...」


「別に家に帰っただけで、もうここに来ないなんて言ってないし」


「...そうだけどもさ」


 そうして、男1人女3人の構図ができる。


「さっき、女連れ込んだでしょって言ったら本当に連れ込んでたみたいで。ほら、この髪とか絶対女ですよ」


「間違いない。この長さはそうだよね。え?誰?この前のもう1人の人は黒髪じゃなかったもんね」


「...ベッドに女の子の髪の毛...」


 全員から疑いの目を向けられる。


「...そういうのじゃないから。高校の友達...だから」


「目を逸らしてるところがなお怪しい」


「ま、そんなことより4人いるんだし、ゲームでもしようよ。てことで、負けた人がコンビニに飲み物を買いに行くってことで」


 1時間後


「みんな絶対経験者じゃん!私だけ初心者じゃん!」と、可愛く手をジタバタされる瀬崎さん。可愛い。


「てことで、雛乃さん。お買い物よろしくお願いします」


「よろしくでーす」


「もう!ずるいよぉ!」と言いながらもちゃんとコンビニに行こうとしていたので、「俺も行きますから大丈夫ですよ」と声をかける。


「ちょっと、それじゃあ罰ゲームじゃないじゃーん」


「あのなぁ...。瀬崎さん以外全員経験者だろうが」


「...そうだけど」


 そんな言葉を無視して俺は瀬崎さんとコンビニに行くのだった。


「...ごめんね、ついてきてもらって」


「別に大丈夫ですよ。誰が負けてもついていくつもりでしたし」


「...優しいね。本当...。そ、宗也...くんは...//」と、頬を赤くしながらそんなことを言う瀬崎さん。


 突然の名前呼びに少し驚きながらも、「雛乃さんも...優しいですよ」と返す。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093078022332648


 ふと、目があってしまう。


 何だか2人とも照れ臭くなり、笑い合いながら飲み物を買うのであった。

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