第12話 お久しぶりです。コスプレイヤーです

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093077947868964


 ...誰?可愛い人...。


「ご、ごめんね...急に家にき...来ちゃって...迷惑じゃな...じゃない?」


「迷惑なんてそんな...。嬉しいよ」


 その声色に私の心が痛む。

それは...それは恋をしている人の声だ。


「...これ...女の子の靴」


「あっ、今、ちょっと妹が来てて...」


 そうして、お兄ちゃんが振り返ると私と目が合う。


 すると、「あっ、えっと...その...は、初めまして...。えっと...山之上やまのうえ...小夏こなつです...」と、挨拶された。


「...ども。お兄ちゃんとはどういう関係ですか?」


「お...お友達...です」


「お友達...」


 チラチラと助けを求めるようにお兄ちゃんを見つめる可愛い子。


「...も、萌ちゃん」と、明らかに私が邪魔だという雰囲気を出す。


 そう。この人がお兄ちゃんの...。


「...じゃあ、私帰るから」と、不貞腐れながら荷物を持ってキャリーバッグを引きずりながら玄関を通り抜ける。


「ちょっ!?


「お兄ちゃんはさっき私の裸を見ました」と、爆弾発言を残して家を飛び出すのだった。


「!?//」


 ◇


「ご、ごめんね...。いきなり家に来ちゃって...。コス仲間の人と話してたら盛り上がっちゃって...」


「それで終電を逃した...っと。相変わらずドジっ子だね」


「あはは...だねぇ...。てか、妹さん可愛いね...。アイドルみたい...」


「まぁ、血の繋がりはないんだけどね」


「え!?ぎ、義妹!?...それは...萌ポイント100は入るね。てか...義妹とお泊まりしてたの?」


「まぁね。けど、義妹も妹だから。俺はそういうまで見てないし」


「でも、裸は...見たんだよね?」


「それは事故だから」


「義妹にラッキースケベ...。主人公力高めだったんだね」と、クスクス笑う。


 向こうはあの告白のことなんて無かったことになってるのだろう。

実際、今後も友達として仲良くしようねと交わしたわけだからまぁ別に何も間違ってないのだが。


「...ねぇ、パジャマに着替えてもいい?」


「あぁ、うん。あっちがお風呂だから自由に使っていいよ」


「それじゃあ...」と、下着などをカバンから取り出してそそくさと脱衣所にいなくなる。


 ゴクリ。

今俺の好きだった人...否、好きな人が俺の家のお風呂に入っているなんて...。


 いや、馬鹿か。ここで変なことしたら余計に...。というか、今日はどういうコスしたのかな?あとで聞いてみよう...。とか考えている間もシャワーの音に聞き耳を立ててしまう。

馬鹿野郎。


 そうして、悶々としたまま30分ほど耐え続けると出てくる小夏。


 ...危ない。ギリ勝てた。やったぞ俺の理性。


「お風呂ありがとう...」


 お風呂上がりの姿に思わず見惚れてしまう。

おい、頑張れ!俺の理性!


「おう...。そ、そう言えば今日は何のコスプレしたの?」


「ん?えっとねー、五等分の◯嫁のみくちゃんだよ。知ってる?」


「勿論、知ってる知ってる。かわいいよね」


「...明日の朝でよければコスプレしてあげよう?」


「え!?いいの!?」


「うん...別にいいよ?」


「...お願いします」


 そうして、翌日の朝、コスプレした小夏を見てムラムラが止まらなくなるのだった。

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