第4話 観察力 *(英)



世にも奇妙な事に、もう夢ん中みたいになってるけど、、

どこ?ここ。夢かとも思うけど、和香も相当混乱してるらしいし、今朝学校へ向かって、体育の授業をうけてたのは、事実だ。絶対。

その後、寝たか?

落ちてきた空間も、普通に現実とは思えないし。

いや、ボール取りに行って、寝るなんて、おかしい。

手に取る棒を持ち、

「なぁ、これーー」と言いかけて、慌てて口を紡ぐ。

だめだ、和香とはこんな関係じゃない。

というか…どういう関係なんだ?

改めて考えてしまった。

けど、いまオレの手にはなっがい某。

周りは瓦礫。なんとも可笑しな場所に来ているんだ。

そういう違うことに頭を使うのはやめとこうか。違うこともないけど。

「ねぇどうする?」

いきなり此方へ声を響かせた和香。

思わず身構えるも、その声色の柔らかさにポカンとなる。

なんか、やわらかい?優しいっていうの?

兎に角、なんだか普段と雰囲気が違う気がする。

「どうって…?」

自分でも自分らしくないと思う程不安げな声で返してしまった。

ううぅ…色々精神的に潰れかけてくるぞ…。

「ん〜今、天気良いからいいけど、雨降ってきたらまずくない?まぁここがどういう空間かわかんないけど。」

和香はテキパキ言う。

まぁ、二人しかいないところで、ギスギスしててもだめだと思ったのかな。

普段俺になんかいう時って大体注意だからな。そりゃ柔らかく言わないか。

っていうかほんとここどこ?

怖い…… 。

うわぁぁぁ、なんか今になってゲンジツが見えてきた。現実かどうかもわからないけど!

ダメなところなんだよな、そうなるまで、っていうかなっても、時間が経たないとちゃんと状況を掴めない所。だから理解しているつもりでも、ギリギリまで遊んじゃったりするんだ。

ここも、いて良い場所じゃないよな…?

ガサっ。

「うえっ?!」

な、なんか動いたァ?!

虫とか超苦手なんだけど!

「虫かな?」

なんで和香落ち着いてんの!音のした方チラ見して呟くって!

「和香って虫とか大丈夫な方だったんだ?!」

つい口を滑らして大きい声を出してしまった。

虫も結構危ない種類いるんじゃ?

っていうかこんなとこに安全な虫っていないよな…?

「え?」

和香に苦笑を向けられる。続きを言いかけたけど、口をつぐんでしまった。

いや、ちょっと待て。今ここ瓦礫だけど、うわっ!

中心近くに大きな巨大な木が!

「木っ?!」思わず声を上げると、

「え?」またもや和香に苦笑された。

「今気づいたの?」って。

え、いや逆に気づいてたんか。でも壁の絶壁の方しか見てなかったから…。今気づく方がおかしいのかな。ちゃんと周りを見れてない、から。

でも木がある…、ってことはここ、結構自然豊かなのか?落ちてきた時も結構緑、綺麗だったし。瓦礫だらけて枯れ枯れな感じかと思ったけど。

しかしよく見ると、ボッコボッコになってる崖も木も手や足を掛けれそう。

言おうか迷っていたら、

「登る?」

まさかの和香から提案が。

「んん、あぁうん、今それ思ってたところ」

正直に言うと和香は小さく笑った。

「やってみようか」

そういうと高く見上げて何やらぶつぶつ呟き始めた。

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