◆第四章 行き着いた先
ごった返す人混みをかき分け、ようやく中に入る。そこは見渡す限り一面のガラス張りで、円柱の形をした大きなラウンジのようだった。天井は高く観葉植物やオブジェ等のインテリアが配置され、ゆったりとくつろげる大型のソファも数多くあり、大勢の人で
しばらくするとベルが鳴り、子供達が
大陸や海を
ステーションからは細い二本のリングが星を囲うように伸びている。細いと言っても星と比べての話なので、それなりの大きさがあるようだ。目を
ラウンジ内から人が
ここで移住に関するもろもろの手続きを行った後、エレベータで
店の窓側に案内されて席に着く。店内は人工重力が作動しているので、一時的に
太陽は老いると内部の圧力が弱まり
目の前で赤く輝く太陽は、最後の
ようやく高軌道ステーションに到着する。
ここは正真正銘の無重力だ。だからと言って僕の
船に乗り込み、その中にある居住区へ向かった。
迷路のような船内を進み、やっとのことで居住区に到着した僕は、地に足が着く安心感にホッと胸を
しかし、人の多さに
街には活気が
まだ先のこととはいえ、
この船はそれを見物してから七百光年先にある新しい母星に向かうことになっている。出発してからは、数年程で着いてしまう。
新しい母星の開発は
星間ゲートは前者の応用で両方向から重力場を形成し、共振現象で大きく波打った空間を固定してしまう技術である。一方向から波立たせるよりも大きく波打つ為、その分距離が短縮できる。と
乗り物を降り、この移動距離も短縮できなかったのだろうか、そんなことを思いながら目の前にある新しい寮へと足を運んだ。
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何度もワープを繰り返し、何百万光年もの距離を旅して来た。
無限に広がる暗闇を
その光が指し示し、行き
その上、地表から百キロメートルにわたる大気が存在している。地表付近の大気分布は、窒素七十八パーセント、酸素二十一パーセント、アルゴン〇・九パーセント、二酸化炭素が〇・〇三二パーセントという構成であり、我々の星の大気と
小ぶりな星ではあるが、内部は冷え固まっていない。高温高圧で溶けた
また、この星の規模にしては巨大すぎる衛星を一つ
奇跡としか言いようがない。
水があり、大気があり、
この星の年齢から
生命を
そう言っても
この青く輝く星は生命の
月の光と小柄な少女。
何かを
消え入りそうな声で、アモル ―― と彼の名を口にする。
強く頭を振りノイズをかき消す。
私の
ジェットの
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新しい寮に着き、
この端末で通話等の連絡やデータベースへのアクセスができ、身元の証明にも利用できる。僕の端末は型も古く、あちこち傷が付いていた。これは渡りに船とばかりに、新しい端末にデータを転送する。転送が開始されると進捗バーが現れ、見覚えのあるプログラムがコピーされていく
突然、転送の終了音が鳴った。その音に我に返り、自分が
端末以外にも用途が分からない謎の物体や、どうレイアウトしても
結局手元に残ったのはバンド型の端末だけだった。
あれから何度か丘に足を運んだが、あの時の晴れやかな気持ちにはなれなかった。あれは夢だったのだろうか。
自由とは何だろう、解らなくなる。
あの時は確かに感じ取れたのに。
なぜか満たされない。
それどころか ――
同時に後悔と
すぐさま
それからベッドに
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手をかざして、白い日差しを
僕はあの時の晴れやかな気持ちを思い出す。
歩みを進める度に洗い流される
もう一度、あの晴れやかな気持ちを
街には誰一人としておらず、
丘の風を身に受けながら大樹の
だけど、あの時の気持ちに戻ることはなかった。
自由って一体何なんだろう ――。
ゆっくりと
そこには誰もいない。
無意識に泳ぐ視線が、教会へと向いていく。
教会を目にした時、
―― あそこに彼女がいる ――
そう思った瞬間、勝手に足が走り出した。
―― 彼女を苦しめたのなら、僕に責任があるのなら、僕は会わないといけないんだ。会ってちゃんと謝らないといけないんだ ――
息を切らしながら、やっと
―― 反応がない、
その時、
これは
先程の
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気を
彼を
やせ細った体。食べ物もろくに口にしようとしない。ずっとうなされ、一緒に行こう、と
実の所、本人でさえ何をしているのか分っていないのではないか。
このままではいけない。
私は面と向かって話すべきだ。彼が自分自身と向き合う
そして、彼の名を口にする。
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気が付くと僕は倒れていて、目の前に一枚の紙と割れた陶器の破片が散らばっていた。突然走る頭の痛みに身がすくむ。頭に
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