第3話旅の出会い
「サラ!今日も楽しい一日にするわよ!」
「シエラは朝から元気いっぱいですね。」
「まあね!とりあえずキャンプ場へ出発よ!あっでもなんか買っていくものとかある?」
「いいえ、特にないですよ。」
「そう、なら早速行きましょう!」
泊まった宿から出て二人歩きながら話す。シエラはキャンプが楽しみで仕方ないのか嬉しそうにニコニコ笑いながらサラに話しかけそれにサラはいつもの調子で答えていく。
そんなこんなで町から出て草原へ、そこでサラが寄るところがあると言うのでしばらくついていくと草原に巨大な何かがあった。
「ねぇ…サラあれなに…」
「なにって私の友人のハリモグラですけど。」
シエラは口をポカンッと空けたまま草原に突如現れたその巨大な何かを指指すがその横からサラが見たまんまですがなにか?みたいな口調で答えてくる。
「いや、そもそも友人のハリモグラってなに?あとなんでこんなところに友人のハリモグラがいるのよ。しかも大きくない?」
シエラが隣にいるサラの方へガバッと向き直って早口で質問を重ねていく。
「シエラ、そんなに一気に質問しないでください。簡潔に説明すると彼がここにいる理由はキャンプ場まではここからだと距離があるので背中に乗せて行ってくださいと私が頼んだからです。あと大きくないと乗っていけないでしょう?」
答えたサラはシエラの方を向かずに大きなハリモグラを眺めている。
「なるほどねってあのトゲだらけの背中のどこに乗るのよ!」
「ああっそれなら後ろのほうのトゲにしがみついて行けばいいんじゃないですか。」
シエラの真っ当な指摘にサラはパンッと手を叩くとめちゃくちゃな提案をしてくる。
「いやいや、良いこと思いついたみたいな顔して言ってるけど無理だからね!前から思ってたけどあなた割と考え方が無茶苦茶だわ!」
そんなサラの提案に腰に左手を当て空いた方の右手でサラを指差し少し注意するように言う。
「そうですか?」
シエラの注意にサラは小さく首をかしげながら小さな反抗をする。
「首をかしげない!そうなの!」
二人がそんなやり取りをしていると、後ろからおそるおそる声がかかる。
「あのー。お取り込み中申し訳ないのですが師匠には馬車の荷台を引いてもらうので心配しなくて大丈夫ですよ。」
シエラは声をかけてきた黒髪の女の子の手を取りサラに対して勝ち誇る。
「ほんと!ありがとう!ほら見なさい、みんなあなたみたいに脳筋じゃないのよ!」
サラは自身の大きな胸に手を置き、シエラの脳筋発言に全力で講義してくる。
「シエラ、取り消してください。私はか弱い乙女なのですから。」
「あなたなんでこの期に及んで自分自身を乙女扱いなのよ!あなたみたいなか弱い乙女がいてたまるもんですか!」
シエラはサラのなぜか自分が乙女であることを疑っていない態度に腕をブンブンさせながら言う。
「そうですか?私まだ行けると思うのですが。」
シエラの言葉にニヤリと笑みを浮かべると変わらずの自信満々に答える。
「なんで自信満々?ところで今思ったけどこの子誰?」
サラの説得?を諦めたシエラは握ったままにしていた女の子の手を離すとそれ始めた話を軌道修正する。
「あっごめんなさい。名乗るのを忘れてました。私はエイナです。この度師匠とともにキャンプに同行させていただくことになりました。よろしくお願いします。」
その女の子はペコリとおじぎをすると自己紹介をしてくれる。
「エイナね、わかったわ今日はよろしく!えっとエイナ呼びで良かったかしら。」
シエラはエイナに優しく笑いかける。
「はい!」
「じゃあ私のことはシエラって呼んでくれると嬉しいわ。」
そして自身の自己紹介も済ませる。
「わかりました!シエラさん!」
エルナはニコニコしながらシエラの名前を呼び、答えてくれる。
「うんうん!あっでも別にさんはいらないわよ。まあつけたいならそれでも構わないけど。」
それにシエラは満足げに頷き、そして一応、さんはいらないと付け加えた。
そんな二人を見ながらサラは大きなハリモグラに近づき話しかける。
「ハリー、弟子なんかとってたんですね。」
大きなハリモグラことハリーはモゾモゾと動きながらサラの方へ顔を向けて答える。
「そうだねボクも弟子を取るとは思ってなかったんだけど、あの子があまりに頼むから折れてしまったんだよ。そういえばサラはボク達と別れてから王宮で働いてるって聞いたけど仕事はいいのかい?」
答えたあと次はハリーからサラへ質問が飛んできた。
「これが半分仕事なんですよ。あそこにいるシエラが姫様なので。」
それにサラは腕を組み、シエラとエイナが楽しそうに話しているのを眺めながら答える。
「へぇ、そうなんだ。」
「あれあんまり驚かないんですね。」
「まあ別にボクは人間じゃないし、そもそも身分とかそんなのには興味ないしね。でもあの子自身には興味あるかな。」
「シエラにですか?」
「うん、ボクは楽しそうに笑う人間が好きだからね。」
「そういえばあなたは昔からそうでしたね。」
ハリーの言葉にサラは懐かしそうにつぶやく。
ちょうど話題の中心だったシエラがこちらにブンブンと手を振ってくる。
「ねぇーサラ!この子エイナって言うんだって、私達のキャンプに同行してくれるらしいわよ。」
「そんなに大きな声で言わなくても聞こえてますよ。」
「さてそろそろ出発しようか、さあ3人とも馬車に乗ってくれ。」
ハリーはムクッと起き上がると三人に話しかける。
「サラ、このトゲトゲ喋ったわよ!」
シエラはハリーとサラを交互に見ながら驚いたような反応を示す。
「シエラ、トゲトゲでなくちゃんとハリーと呼んでください。」
「わかったわ!キャンプ場までよろしくねハリー!」
サラに呼び名を注意され素直に呼び名を改めたシエラはハリーに向かってサムズアップする。
「うん任せといて。」
そんなシエラの様子にハリーはニコッと微笑む。
「さあサラとエイナ行くわよ!」
「はいっよろしくお願いします。」
「はぁシエラそんなに急がなくてもすぐいきますよ。」
シエラの言葉にサラとエイナが続き、三人は馬車に乗り込む。
しばらくして馬車はキャンプ場に向かってゆっくりと動き出した。
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