第10話中型任務
(人探しねえ)
シーニーは呆れていた。人探しという確証のないもの、つまり、見つかるかどうかもわからない人間を追うのは時間の無駄だ。正直、やってくれるのならば勝手にやって下さいなのだが、どうもシーニーたちにも手伝えと言ってきた。
そして、シーニーのこの前までいた場所の
即ち、
(下手したら上級、、、、、、、いやいやいや、)
それは無いであろう、と否定する。まあどっちにしろ無礼を働いたことに違いはないので、申し訳ありませんでしたとしか言いようがない。
「誰探してんだろ」
ボソッと言うと、超耳の良いホワスが気づいて話してきた。
「知らねえけど、これになる位なんだから結構重要人物なんじゃないか」
ホワスは『これ』と言いながらチョキを出した。あの
「そもそも見た目教えてくれないと探しようがないんだけど」
「あ、それならもらってる。俺に渡してきたぞ。あの人」
(嫌われてしまった)
悪いのはわかっているが、なんか嫌だ。あとでどんな仕打ちを食らうだろうか。想像するだけでぞわぞわする。
(これからは穏便にいこう)
そう心に誓った。
「ん。」
「ん?」
「モールス」
「またか」
本当に好きだな、と思いつつも分かりやすいので感謝だ。
因みにほかの暗号はあまり得意ではない。モールスが一番手っ取り早いのである。そもそもモールス信号とは暗号ではないのだが、あちらでは知名度が低いのだろうか、ばれなくて良いらしい。
「なんて書いてある」
「んーとね、青い髪で、、、、、、青い、、、」
「どうした」
「にじんでて読めない」
「マジか。他には何か無いか?」
(いや、、、、、)
「全部にじんでる。かろうじて読めるところは、、、、、」
「、、、、、、、、。」
(うん!)
「無いね!」
「元気いっぱいに言ってる場合か!青い髪だけか!」
「そうだよ。」
(そんなで分かるはず無い)
「青い髪の人ならうち知ってるよお」
「ほんと?」
「うん!」
「見た目は」
「目が青くて、背が低くて、髪は降ろしたら長そうだけど、お団子にしてたよお」
(青眼、低身長、団子結び)
「あと、シーニーと喧嘩したよお!」
「「さっきの人じゃねえかい!」」
あの、さっきの馬鹿と馬と鹿しか言わない優秀なある意味のお偉いさんである。ついでに、ツッコミがハモった。
「自分で自分を探すわけないだろ」
「ってか、俺この任務誰とやってるかって話、全く理解できなかったんだよなあ」
「なんで?」
「口パクだから」
(なあるほどなあ)
まあ、そりゃ分からんだろう。シーニーもかろうじては読み取れたが、知らない名前とかは本当に全く分からなかった。どれだけシーニーたちが間に合わせ
「一人目はウウィーフ・ラナ。もう一人はわからん」
「ウウィーフ・ラナって、どんな奴だ?」
「魔術を扱う中級中の人だよ」
「じゃあ、さっきの人も中級位か」
「そうなるね」
出来れば中級下だと思いたい。別に憎いとか嫌いとかそういうのでは無いんだが、さっきの無礼に対する罰は位の低い人だった方が軽くなる。
「てか、なんで俺らが中級と一緒に任務なんだ?」
「さあ」
(私ら要るんかね)
もう、中級三人いる時点で十分な人員だと思う。歩きながら人を探すのは少々大変だ。
「ま、髪の青い人見つけたら捕まえて生い立ちでも聞いとくか」
「あと、知ってそうな人も一応突っ込んどくか」
「捕まえちゃだめだよお。突っ込んだら死んじゃうし」
「なんてワイルドな」
物理的に考えるとおもしろすぎる。
(やったら
現実的な方も考えておく。なお、やろうとは断じて思っていない。
「何かしら巻き込まれそうで怖いんだけど」
「人を探すのって楽しそうじゃない?見つけたら役に立てるよお」
チョウラの
「結局やる以外道はないけどな」
「この調子で行ったら二十年とか無理そうなんだけど?」
小型任務だったらすぐ終わる。足止めのうちには入らないだろう。だが、中型大型になると話は別だ。中型でさえ一ヶ月から半年はかかる。今回シーニーたちの役目は進みながらできる物だったのでまだいいが、その内足止めされる気がしてならない。
普通にいけば十五年で着くと計算したのだが、このままでは無理そうだ。
「五年以上任務で食われたら、俺らおしまいだな」
「縁起でもないこと言うな」
「どーにせよこーにせよ、結局やらなきゃいけない、、、、、ふああ」
ホワスが眠そうに
「とにかく寝よ寝よ」
「おやすみい」
「おやすみ」
そういいながら、ホワスとチョウラは部屋を出て行った。
エルフ✖️魂 弐戸羅 @nikora2013
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