第7話普段の日常
「あーーーーーーーーーーもうっ!なんだよあれ!嘘にも程があるっつーの!ったくもー!」
率直に言う。シーニーは今、ブチギレている。そしてホワスは、怖がっている____
「え?本当じゃないのか?」
____訳ではないらしい。
「んなもん嘘に決まってんだろ!黒の世界がやってんのは、こっちの文化を自分たちの文化にしようとしてるってことだよ!」
「どういうことだ?」
もう、ブチギレよりガチギレのほうが正しいのかもしれない。怒り過ぎてやばい。
「説明する気にもなれん」
「、、、ケチ、、、、」
「今なんか言ったかなあ。ホワス?」
笑顔で言ってやる。ついでに、ホワスの頭にぴょこんと生えている耳を思いっきり引っ張ってやった。
「いっで!!何でもないですから耳引っ張るのやめろ!」
「ぶふっ」
ちゃっかり砂糖水を飲んでいたチョウラが、めっちゃくちゃすごい勢いで吹いた。勢い余ってむせている。
「ゲホッゲホッゲホッ、、、、、、ふう。」
「大丈夫?チョウラ」
シーニーも何か飲んでいたら吹いていた気がする。因みに、今の敬語とタメ口のまじりあった意味の分からん一文で怒りはどこかへ吹っ飛んだ。
「はいはい。説明してあげるから。」
「うん」
「黒の世界のやつらがこの世界の文化を自分の世界の文化に変えようとしてるっていうのは、例えばチョウラが着てる服は『
「ってことは、俺とシーニーは黒の世界の服を着てるってことか?」
「作ったのは白の世界の人だけどね」
「でもその文化を変えるって、どうやってやるんだ?」
「今は言わない」
「えー?」
「しょうがないじゃん」
正直今は言いたくない。なぜ言いたくないかというと、チョウラに聞かれたらヤバイ内容だからだ。
「ねえねえ。それよりも、うち、あの
「あーあのブローチとのこと?」
「そうそれえ」
「一回やってみてもいいんじゃねえか?面白そうだし」
二人ともブローチが気になるらしい。確かにあれはシーニーも気になった。
「じゃあ、やってみよっか。どうせならみんなやったら?使いたいときに使えないんじゃあ困るでしょ?」
「そうだな」
「えーっと。確か、チョウラがマイ・フリルちゃんとユイ・フリルちゃんだっけ」
「うん。そうだよお」
確認した後、チョウラに二つのブローチを渡す。
「んで、私が
また二つ、今度はホワスに渡す。
「誰が最初にやる?」
「はいはーい!うちやりたい!」
「じゃ、やってどーぞ」
「どうやってやるのお」
(わかってなかったんかい)
「額の絵に合わせるの!わかった?」
「おっけー」
チョウラは、右手に持ったブローチを自分のちょうちょ型のマークに押し当てた。すると、いきなり白い小さな光がブローチから飛び出してきた。
「なにあれ」
「えー?なにこ____。」
「わあ!初めて呼び出された!」
「え?」
チョウラの前には正真正銘、ブローチの絵そっくりの女の子が出てきた。あの光からできたのだろうか。不思議すぎる。
「じゃあ、こっちの
今度は左手に持ったブローチを額の絵に押し当てた。すると、やはりさっきと同じように、白い光が出てきたかと思えば、そこにはもう一人女の子が出てきた。
「あ、、、、あれ?ここどこ、、、、、、って、ユイ!」
「マイ!私達ついに呼び出されたよ!」
「え!?やったあ!」
なんか知らんが、二人は知り合いらしい。というか、めっちゃくちゃ外見が似ている。双子なのだろうか。
「やっと、三級合格できる!」
(三級?合格?)
何かの階級なのだろうが、話に全然ついてゆけない。
「ねえ。二人はどういう関係なの?」
「あっ、私たちは一卵性の双子です。似てるので、青がマイ、ピンクがユイって覚えてください!」
めっちゃ元気に応答してくれた。ついでに見分け方も教えてくれたので、助かった。因みに、今説明してくれたのはマイちゃんのほうだ。
「うちはチョウラだよお。よろしく!」
チョウラは、早々に自己紹介をしていた。
「俺はホワス。よろしく」
続けてホワスも自己紹介をしたので、当然、
「私はシーニー。よろしくね」
シーニーも自己紹介をした。なお、三人共、『
「じゃあ、私もやってみようかな」
言いながら一つ、額の絵に押し当てた。
「あ!呼び出されたのです!初めてで嬉しいのです!」
(わあ。しゃべり方個性的だなあ)
癖の強そうな人が出てきた。兎の耳がついたパーカーを着ている。服装もすごく個性的だ。
「ホワスもやってみたらあ?面白いよお」
「ん。」
無言でシーニーたちとおんなじことをやり始めた。すると、
「呼び出されたのだ!やったあなのだ!」
おんなじことが起きた後、また癖の強そうな人が出てきた。なお、こっちも猫耳付きのパーカを着ていて、服装まで個性的だ。
「
雰囲気がめちゃくちゃチョウラっぽい女の子も出てきた。どうやらホワスは二つともやったらしい。
「そこの方。早く
空とは、シーニーの持っているもう一つのブローチの子だろうか。というか、さっきから話がぶっ飛びまくっている気がする。
「なんでそんなに急いでんの?」
「自慢したいのです!空さんはいつもぼくのことを煽ってくるのです!一度はぼくも煽ってみたいもんです!」
(煽ったらなおさら煽られるのでは?)
と、362年生きてきたシーニーは思うのだが、まあ考えは人の自由なので、好きにやってもらおう。
「じゃ、呼ぶね。」
おんなじことをし、おんなじことが起き、予想道理、ブローチとおんなじ人が出てきた。
「ほう。また呼び出しか。何度、
(うわあ。めっちゃ
もうなんか、癖の強い人をわざわざ選びました、
「
(また出てきた。三級。)
「まだ一回目じゃろ?そんなもので我に勝てると思っておるのか?
「四回目だからって
(やっぱ、煽られ返されてる)
ついでに、空というやつはベテランらしい。呼び出しの回数、というのは、こいつらの職業的には多い方が有利なようだ。
(こいつらの職業は、黒の世界への出入り口を閉めることだよな。)
昔からどうやっているのか気になっていた。
「なあ。さっきから言ってる、三級って何なんだ?」
聞きたかったことをホワスが聞いてくれた。気になっていたところは同じだったらしい。
「私たちの職業には級があって、出入り口を閉めることができたら五級、自分で見つけて閉めることができたら四級、そして、誰かに呼び出されたら三級って感じで、二級、一級、その後一人前になれるんです」
ユイちゃんがしっかり説明してくれた。
「ほえー」
「なるほどな」
二人も納得しているようだ。が、
「私まだ呼び出されるってのがよくわかんないんだけど」
私は一つ引っかかってしまったので聞いてみた。
「それは
今度は
「呼び出しは、冒険者さんとか旅人なんかについて行って、その道中で出入り口を閉めていくことなのだ。要するに、誰かについていくことになれば呼び出されたってことになるのだ。」
「なるほどねー」
(うーん、、、、)
「ねえ、皆に帰ってもらうにはどうすればいいの?」
「ブローチを本人に当てるだけで帰れるなのだ!」
「やってみていい?」
「もう遅いのでみんな返しちゃっていいですよ」
マイちゃんがそう言ってくれたので、やってみることにした。
「じゃあ、
そっとブローチを当てる。『シュン』という音とともに二人がブローチに中に入っていった。
「踊ちゃんと華ちゃん」
また、ブローチの中に入っていく。
「マイちゃんとユイちゃん」
お決まりのように、シュンっと入っていく。部屋に居るのが三人だけになった。
「ふう。」
「なんか情報量めっちゃ多かった気がすんだけど」
「まあね。てか、それよりもう寝よ。疲れた」
「そうだな」
「うん」
「じゃあ、また明日」
「「また明日」」
普段のような会話をし、各々自分の部屋へと戻っていった。
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