第1話狐
(あーやだ)
シーニーは、この女のことを『クソぎつね女』と言っている。こう言っている理由は、色々ある。
(見るだけでイライラする)
そもそもシーニーは、隣にいる二人と一緒にクソぎつね女に
(多分それもあって私たちが集められたんだと思うけど)
でも、集めといて色々やらせるのは気に入らない。クソぎつね女にクソをつけるのもそれが理由だ。やらなかったら名前をそのまま言うか、きつね女と言うか、だっただろう。
ちなみに名前はルーラ・フォックスらしいが口にはしたくない。
シーニーがそんな事を考えていた時、クソぎつね女からすごい言葉が発された。
「それで、
その言葉を聞いた
何と言っているかは分からなかったが、シーニーにはとにかくすごい声に聞こえた。 ついでに左隣にいるチョウラがドン引きしている。大体温厚で通されているホワスがあんな声を出したのだから、無理もない。
そしてそのすごい声を出した本人と言えば、「何言ってんだ無理に決まってる」という目をクソぎつね女へ向けていた。
周りの目線は気にしていないようだ。
まあでも、しょうがない。
その後、さっきの言葉に追い打ちをかけるようにクソぎつね女が言う。
「出来れば10から20年くらいでやって欲しいわ。」
凛としてかつずっしりとした声ですごいことを言ってのけた。
シーニーは、心の中でこう思った。(いやいや、もっと無理!10年とか、マジで無理やって)
今度はシーニーも「何言ってんだ無理に決まってる」という目をクソぎつね女に向けた。
その隣でただ一人、チョウラだけは
チョウラはシーニーより200歳くらい年上なのに、一緒に暮らしていると妹に見えてくる。年上なのに。
後で地図を見せて説明してあげよう。そうすれば分かるだろう。いかに無理な
「そうね、
クソぎつね女が、いきなり言い出す。いきなりすぎると思いながらクソぎつね女を見る。その手元には、
(こんな大金が渡せるなら魂石くらい手に入るだろ)
心の中で出てきた言葉はこれである。クソぎつね女の耳が動いた気がしたので、思わず口をふさいだ。変な目で見られてしまった。
そして思う。(うちらは何でも屋じゃないっつーの)
「だから報酬を渡すのよ」
考えていたことが口に出ていたのか、普通に答えられてしまった。
だが、いろいろ言われなかったことには拍手しよう。今まで心の声が出るたびにいろいろ言われていたのだから、今回何も言われなかったのは素晴らしい。
そして、クソぎつね女が続けていった。
「いい返事をまっているわ。また三日後によろしくね。」
「あっそうそう、旅費は出せないけど、必要なものは用意してあるわ。」
言うだけ言うと、クソぎつね女は部屋を出て行った。
行く
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