第10話 交友関係

交友関係とは非常に大切なものだ。

人間という生き物は大半が寂しがり屋であり、一人でもいいから心を許せる相手を作るべきだ。

その一人がいるかいないかでは大きく異なり、いないと自殺する可能性も出てくる。


そこで友達という存在は必要であり、その友達を作る技術も人には必要である。


ではその技術が足りていないとどうなるのか。技術がないにも関わらず友達を無理に作ろうとするためどんどん嫌われていき、やがて取り返しのつかないところまで来てしまうだろう。


今、翔雲はそんな取り返しのつかないとこまできてしまった哀れな王様との接触を試みていた。


「翔くーん!一緒にご飯食べよ!」


入学から1週間たった現在。クラス内ではある程度のグループが作られてきており、各々がそのグループでご飯を食べたり放課後遊んだりしている中、この男は永遠にグループに入ることが出来ず、懸賞金58億の化け物に付き纏われていた。


こうして今日もご飯に誘われたわけだが、断る理由も特にないし、普通の女の子の暮らしを知らない彼女にとっては仕方のないことだと考え、なんやかんや行動を共にしている。


「あぁ、いいぞ。でも今日は学食だ」


「あ、そうなの?じゃあ」


教室の扉付近にいた彼女は、扉のすぐそこの席に座っていた菓子パンを食べている男子に自身の弁当を差し出した。


「はい!私今日学食になったからこのお弁当あげる。食べ物を無駄にするのはよくないって翔くんに教えられたからね。洗って返してね〜!」


「えっ!?ほ、本当に!?ち、ちなみに手作り?」


「え?うん。(使いの人の)手作りだよ」


「やったァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


女子から手作り弁当をもらったこの男子は突然のことにも関わらず喜びまくった。まぁ胡桃ほどの美少女に弁当を渡されたら興奮するのも無理はないが、突然のことすぎて周りの友達は唖然としている。


翔雲は何やら盛り上がってるなと思いながら席から立ち上がり、胡桃を連れて学食に向かった。


学食に向かっている最中、胡桃はいつも弁当を持参している翔雲が今日学食である疑問を口にした。


「ねね、何で今日は学食なの?」


「とある人物に接触するためだ。そしてこれはミシェル暗殺のためでもある」


「お?ついに動き出したか!んで、そのとある人物ってのは誰?」


「霧島聡太。霧島財閥の御曹司だ。高校二年D組で、いつも学食で付き添いのメイドと昼食を共にしているらしい」


「へぇ〜。メイドと学食って、結構目立つんじゃない?」


「いや、その付き添いのメイドは霧島聡太と同い年で、この学校に通っている一般生徒だ。家ではメイド服かもしれないが学校では制服を着ている」


「なるほどね。私がなんか手伝うこととかある?」


「そうだな。一つ頼みたいことはある」


翔雲がそう言うと、初めての頼み事にワクワクする胡桃。


「なになに?何でも引き受けるよ!」


「静かに黙って飯を食っとけ」


「…………へーい」

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