最終話 みんなしってるやろ?うぶなさま
俺はコメント欄を見ている。
『うお、久しぶり!!』
『集まってきたぞ…カス達が』
『ってか、もう三郎様って読んだほうが良い感じ?』
『もう、俺達とは違う存在って感じ…』
『でもさ、さっちんと、俺達は…ずっともだろ!!!』
『舐めるな』
『劣化蒼が』
『死んでおくれなもし』
『言葉の暴力』
ここは初心名村ダンジョン、前回の続き、其れ道を攻略する。だが、それ以上にこうやってカメラとスマホで対話出来てるのがなんだか死ぬほど嬉しい。ずっと手を振っている。
「なんぞ、お前ら、なんか懐かしいわ。今、言葉を選びながら喋っとる。あんまり断言するとそれが正解になってしまうからな」
『神様じゃん、受ける』
『ウケるな、タコ』
『ってか、散々好き勝手お前らの事おちょくってたのに赦してくれるんか』
『人が出来すぎ』
『オフ会しようず!!』
『度胸ありすぎるだろ』
少しだけ顔を抑える。カメラを持ってる蒼にバレないように少しだけ顔を背ける。なんか、泣けてくるわ。
「はは、お前ら好きやわ。駄目で手のひらすぐ返すズルい奴ら。でも、俺はお前らみたいなんと話したかったんよ?」
『ふふ、照れるぜ』
『ま、散々話したしな』
『ってか、蒼ちゃんとうぶなさまはよ見せる』
『むさいぞ』
『臭いぞ』
『臭さは分からねえだろ』
『鼻を電脳化してんのか?』
『臭いに敏感なオタク』
「どしたん?そんなに懐かしいみたいな顔して。これからいつもやる事やろ?」
うぶなさまがにゅっと顔を出す。
『かわいいい!!!』
『ワンピースに麦わら帽子!!』
『八尺だぁああああああああああああ』
『紅だぁああの雰囲気』
『でもマジで似合ってる。ウエディングドレスとかも良かったけどなんかこれもいいな』
『わかる、着たい服着てる感じ』
『俺も着てるぞ』
『親から買って貰った服だろが』
『ジャージ着てろハゲ』
俺は蒼を手招きする。スマホを三脚に設置してすぐさまやってくる。
「ども、蒼です。へへ、なんか照れますね。そう言えばこの前のサイン入りの毛皮どうでした?もし評判よかったらもっといろいろ作りたいと思います」
『へへ、しょうがねえな、買ったぜ、二つ。記念用と使用用』
『お、やるなクソオタ』
『おれはお前が好きだぞゴミオタ』
『活力出して偉いぞカス』
『あーーーこいつら全員消してーーー』
俺が笑うと蒼もうぶなさまも笑ってくれる。既に全ては完了している。最早、望むことはこれの継続のみである。昔のように蒼は松明をもっている。俺は手を軽く振って刀を呼び出す。既にこんな事が出来る。
最早、面白みがないダンジョン配信になるやと思う。でも俺にとってはこれだけが俺にとってのこれだけが唯一人間になれる瞬間なんぞ。だから、どうかこれだけは奪わん取ってくれ。
「よっしゃ、準備完了!!」
蒼がスマホを持っとる。もうドローンはいらん。それがこっちを向くと俺は顔横にピースを付ける。これが流行りなんやろ?
「ほな行こか」
「ええ、かっこええよ。三郎」
「そですよ、さっちゃんは私の自慢の神旦那やもん!!」
俺達は其れ道の洞窟にゆっくり入って…そして、消えていった。
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