配信映像【投稿者・大和灯里】
初心名村、画面が酷く揺れている、その後自分の顔を自撮り風に映す。その背後には十字架がある。
「どうも!!みなさん、こんにちは!!初心名村奥座敷管理者兼村治安部隊代表の大和灯里です!!皆さん、驚きましたよ!!この村にスパイが紛れ込んでました!!」
スマホで地面の血を映す。それは初心名村ダンジョン外部入口に続いている。その近くには欠けた狛犬が置かれている。
「噂に流れてましたが事実だったとは村のジジババに紛れ込むとは不届き千万ですよ全く。ですが同時にあの噂は本当だったと確信しました」
自分の顔を映す大和、背後には数人の女性、大和と同じ薄い作務衣を来ている。胸元には奥座敷部隊と書かれている。そして、その祈り方は基督教に近かった。
「蒼様は御戸開を撮影して流出させた、そしてそれがこのスパイを引き寄せる要因になった。やはりこれは許しがたいうぶなさまへの裏切りですよ。我々は蒼様を糾弾して人嫁の地位を放棄して貰おうと思っております。そうすれば我々が人嫁になれる。それがいいでしょ皆さん!」
「はい!!」
「そうです!!」
「大和さんの指摘が正しければそもそもそれが正式なこの村の習わしです!!」
大和の顔が映る。その目には錯乱が見える。背後には倒れかかった鳥居が見える。その他にも破棄された宗教モニュメント(銅像、石像、楽器等々)が大量に散らばっている。外部入口近くにある挿げ替え後の破棄施設である。
そして、手には教典と呼ばれる書籍がある。酷く古く少なくとも誰かが使用した形跡はない。
「そう、私はこの教典を信じます。うぶなさまへの信仰と同じくらい我々は三郎様を信じている。救世主への信仰がその母に向かって分岐する事は良くある話です。さあ、行きましょう皆様!!」
「ええ!!!」
「三郎様をお守りしましょう、日々弱ってらっしゃる」
「蒼様も近頃やせ細られた、自分は気にしていないつもりですが丸わかりです」
「そもそもこの前の床入れだって腰を下ろそうとしたらあんなにも震えて」
「ふふ、笑ってはいけないわ」
彼女に続く中、最後に大和が外部入口から見えるこの村を映す。
様々な宗教的モニュメントが所々に点在しており、その全てが社に向かっている。その社の形状は球体であり、扉が一つ存在する。一見すると繭のようである。そして、その繭のような社から糸が伸びており、全ての乱雑な宗教的モニュメントに括り付けられている。
糸は人にくっついている。
「蒼様は頑張り過ぎました。世代交代の時です、この教典にもそう書いてあります。奥座敷を用いて人嫁を増やし、この村の繁栄を末永く願う。茅葺剛太郎、なんと素晴らしい教え、きっと三郎様のお父様?お祖父様でしょうからね、それについてもお話が聞きたい!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます