村にダンジョンが出来たので【うぶなさま】と一緒に配信したらなんかバズってる

配信者コウの配信映像（これ以降配信は途絶える）

「どうも！突撃系ダンジョン配信者のコウです。今回は今話題になっている初心名村ダンジョンについて調査しに来ました！！」

　画面いっぱいに自分の顔を映しているユーモアな映像。25歳程度、茶髪、両手両足胴にはダンジョン協会製の防具が付けられいる。

　場所はうぶなむら洞穴の入口、顔を離すと周囲が確認できる。木々生い茂る中、幾つかの人影がある。

「この村に来てからまだ人と会ってませんがまあ良いでしょう。会って話すことも無いですし。それよりも早く蒼ちゃんと会いたい！！めっちゃかわいいし、色んな意味でコラボ配信したい！！！」

　腰を振る下世話なジェスチャーな映像。その後ダンジョンに入っていく。腰に下げてた棒を抜く。光を出して辺りを照らす。何らかの残数が表示されている。

―――

「ネットで調べたんですがどうもこの村は存在してないらしいですね。俗に言う因習村？ってやつですかね。面白くなって来ましたよ」

　照らしながら前に進む映像。周囲にはモンスターの亡骸が落ちている。

「うお、キッショ！なんやこれ！！」

　亡骸にアップ、配信映像にモザイクが自動的に掛かる。噛み傷、ひっかき傷が多く、人の力では不可能なほど深い溝を作っている。

「こっわー、ってか初心名村チャンネル見たんすけどどうもこれをやってるのがうぶなさまらしいですね。やっば、怖すぎっしょ」

　どんどんと進む中、雑談が続く。一部抜粋。

「いや、マジで編集の仕方が芋臭い感じなんですよね。俺が手とり足取り教えるって」

「正直、田舎の風習かなんか？で結婚した感じだと思うんすよね。もったいないわー。あんな美人なのにわざわざこんな村いるのって馬鹿みたいしょ」

「ってか村長だっけ？なんで学生が村長？笑うわ。完全に人生を棒に振ってる。でもま、好きな生き方すりゃいいしょ」

　雑談が続く中、言葉が止まる。

「明かり、見えてきました。遂に初心名村チャンネルとのコラボが実現しますよ。是非、高評価、グッドボタンをお願いします。それでは突撃！！」

　そのまま明かりに向かう。

―――

　映像の乱れ、その後に咀嚼音。

　以降は音声のみ。

「ありがたいわ、ほんまありがたいわ」

「私頑張ったやろ？」

「ほんまありがとな、ええ子やな」

「嬉しいわ、もっと褒めて」

「蒼は可愛い俺の嫁や。ほんま綺麗やし、頭もええ」

「えへへ、嬉しいわぁ」

「うぶなさまも頬張っとる。これで村も安泰や」

「やね、でも村人も増えて貰わんとあかん」

「そやな、お供えばっかして村デカくしても駄目や。良い人が村に住み着いて欲しいわ」

「ふふ」

「どしたん？」

「いやね、ようやく村を大きく出来ると思うとワクワクするんよ。きっともっともっと幸せになれる」

「ああ、茅葺家の悲願や」

「あああああ」（うぶなさまと呼ばれる存在の声）