首のない鳥

首のない鳥

「死は肉体の中にあり、生は意識の中にある。」

―ある戦場にて

脳天をぶちまけられた時、まだはっきりと意識があった。

左脳の頭蓋骨の奥側の部分に弾丸があり、首を傾げると動くのが分かった。

自分がなぜ生きているのかがわからなかった。

ふと、豪を飛び出してみた。

鮮血にまみれた兵士達の積み重なった死体の上に、首のない鳥達が列を成して立っていた。

―男と首のない鳥達の対話

男は、言った。

「生きているのか、死んでいるのか。お前たちは果たしてどちらなのか」

首のない鳥達は、それぞれに答えた。

「死は肉体の中にあり、生は意識の中にある。」

「頭なんて無い方がいいんだ」

「頭があるから傲慢になる」

「争いも起こる」

「誰かを傷つける」

―男の気付き

そうか。俺は死んだことに気付いたから、生きている意識があるのだ。

ならば、頭などは必要ない。

男は、自分の首を切り裂いた。