第15話 蒼と紅
「てめぇ、やるじゃねぇか。名前は?」
赤髪の男が尋ねる。
「名乗る時は自分からじゃ無いのか?」
「そりゃ悪かった。俺はタリム。試験官だ」
「....碧 悠太、旅人だ」
「悪ぃが愛剣を使わせて貰うぜ」
タリムの右手から炎が出て来たかと思うと、
その炎が細長くなり、中から赤い剣が出てくる。
「次はこっちかは行くぜっ!」
タリムが剣を振ると、炎の波がうねりを上げて
迫ってくる。
『切断、スラッシュ!』
剣を両手で高く掲げ、右足を強く踏み込み、
剣を振り下げる。
炎の波に向けて、地面に一気に亀裂が走り、
俺の前にある炎が吹き飛ぶ。
―――だが亀裂は止まらず、タリムに迫るが、
亀裂がタリムに届く前にタリムが横に飛ぶ。
それを予測していた俺は【隠密】を使い、タリムの
回避場所に先回りしていた。
体の中にある血管、神経、全ての線に魔力を
通し、回して練り上げていく。
『斬鉄、自己強化、剣舞!』
俺は強化した身体能力で舞う様に斬り掛かる。
斬る、避ける、突く、止める、跳ぶ、回る、払う。
相手の剣を剣で地面に押さえ付け、その勢いで
ほんの少し宙に飛び、右足に魔力を込めて蹴る。
―――が、同じく魔力を込めた左手で止められる。
蹴る時に手の力が緩んでしまい、俺の剣が
宙に飛ばされる。そして、ほんの僅かに出来た
タリムの油断。その隙を俺の魔眼は見逃さない。
空中で逆さまの体勢のまま、右の掌を突き出し、
練り上げた魔力を撃ちだす。
『強化...魔弾ッ!!』
その勢いで俺の体は大きく後ろに跳ねる。
ドカアァァァァン!!!
物凄い風圧と爆音、青い光が辺りを包み込む。
(流石にこの超近距離からの魔弾...それも
練りに練り上げた魔弾だ。)
そう思いながらも俺は魔眼を使う。
が、魔眼はタリムを感知しなかった。
俺は即座に魔眼の力を空間把握に全振りする。
『魔弾ッ!』
俺は真上に魔弾を放つ。直後、俺の周囲は炎に
包まれた。
『斬鉄、切断、スラッシュ!』
「.......ふぅ」
眼を瞑り、大きく息を吐き、眼を開ける
俺は自分の後ろに全力で剣を振るう。
鉄と鉄がぶつかり合う音が響く―――!
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
近くの物が全て吹き飛ぶ程の風圧が巻き起こる。
剣と剣の間を中心に、魔力が炸裂し、結界が軋む。
かと思えば、魔力の渦が風を、空気を呑み込む。
蒼い閃光と、紅い焔が混ざり合い
爆ぜる
そして―――
―――そして。
「....俺の.....勝ちだ」
俺は剣を大きく天に突き出す。
辺りが一瞬の静寂に包まれる。
「.......す...」
「「...........すげぇぇぇぇぇ!!!」」
ドッ!と、闘いを見ていた冒険者たちから
歓声と拍手が巻き起こる。
《スキル 集中を獲得しました》
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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