第10話 異世界の飯


「よっ、災難だったな」


外で待っていると、ラッカスが話しかけてきた。


「まぁ、いい修行になったと思っておくよ。

他の奴らは?」


「あぁ、今日はギルドで解散した。今から1人で

依頼を受けたり、飯食ったりしてんだろ」


「そうか。この後時間があれば、宿を案内して

欲しいんだが...」


「あぁ、安心しろ。最初からそのつもりだ」


俺は思わず「おぉ...」と声を漏らしてしまった。


「俺のおすすめの宿に案内してやるよ」


俺は再びラッカスの後ろに付いて歩いた。



「着いたぜ。ここがオススメの宿だ」


丁度日が落ちるかどうか位の時、ラッカスの

足が止まった。


付いたのは、決してボロい訳では無いが

高級という訳でも無い、

正に民宿と言った感じの宿だ。


「ここは中々飯が美味いんだよ」


「そうなのか。それは楽しみだな」


そういえばこの世界に来てからまだ飯を食べて

無かったな。


「じゃあ、改めて今日はありがとな」


ラッカスが礼を告げた。


「嫌、礼をするのはこっち方だ。案内、助かった」


お互い礼を告げ、今日は解散となった。


暫くこの街に居るつもりだし、会う機会は幾らでも

あるだろう。


「すみませーん」


俺は宿屋に入る。

すると、中から立派な髭とお腹をした

店主が出てきた。


「いらっしゃい。飯か?泊まりか?」


「泊まりだ。取り敢えず1週間頼む」


「あいよ。1週間で銀貨2枚。飯は別料金で、

朝と夜で、1日銅貨2枚だが、どうする?」


「毎日朝と夜に頼む」


「飯は、朝は6~9時、夜は18~21時まで、

メニューは俺の奥さんの気分次第だ」


夫婦で営んでるのか。


「早速今から貰えるか?」


「ああ、平気だぜ。部屋は2階の203、

食堂はそこだ」


店主は直ぐそこにある扉を指差した。


「感謝する」


店主に金を渡して鍵を受け取り、特に置く荷物も無いためそのまま食堂へ向かう。


食堂は一般的な食事処で、今は俺の貸切だった。

適当な席に腰掛け、飯を待つ事にした。


2、3分待つと、美味しそうな匂いの料理を持った

ふくよかなおばさんがやって来た。


「今日のメニューは生姜焼き定食だよ、お客さん」


俺の目の前にホカホカと湯気を出す食べ物達が

置かれていく。


サラダ、生姜焼き、味噌汁、米。

メニュー自体は日本と変わり無かった。


礼を告げ、1口、肉を口に入れる。


(うっ..美味い!!明らかに日本の飯より!

こっちにいる生き物の方が美味しいのか!?)


貪る様に、けれどもしっかり味わって完食した。


「ご馳走様、凄く美味かった」


食堂を後にし、自分の部屋へと入る。


中は日本の一般的なホテルと対して

変わらなかった。


俺は一目散にベットに倒れ込む。


「疲れたぁ〜」


何だかんだで今日は色々あったからな。

かなり疲れた。


俺はそのまま眠りに落ちた。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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