第10話 異世界の飯
「よっ、災難だったな」
外で待っていると、ラッカスが話しかけてきた。
「まぁ、いい修行になったと思っておくよ。
他の奴らは?」
「あぁ、今日はギルドで解散した。今から1人で
依頼を受けたり、飯食ったりしてんだろ」
「そうか。この後時間があれば、宿を案内して
欲しいんだが...」
「あぁ、安心しろ。最初からそのつもりだ」
俺は思わず「おぉ...」と声を漏らしてしまった。
「俺のおすすめの宿に案内してやるよ」
俺は再びラッカスの後ろに付いて歩いた。
◇
「着いたぜ。ここがオススメの宿だ」
丁度日が落ちるかどうか位の時、ラッカスの
足が止まった。
付いたのは、決してボロい訳では無いが
高級という訳でも無い、
正に民宿と言った感じの宿だ。
「ここは中々飯が美味いんだよ」
「そうなのか。それは楽しみだな」
そういえばこの世界に来てからまだ飯を食べて
無かったな。
「じゃあ、改めて今日はありがとな」
ラッカスが礼を告げた。
「嫌、礼をするのはこっち方だ。案内、助かった」
お互い礼を告げ、今日は解散となった。
暫くこの街に居るつもりだし、会う機会は幾らでも
あるだろう。
「すみませーん」
俺は宿屋に入る。
すると、中から立派な髭とお腹をした
店主が出てきた。
「いらっしゃい。飯か?泊まりか?」
「泊まりだ。取り敢えず1週間頼む」
「あいよ。1週間で銀貨2枚。飯は別料金で、
朝と夜で、1日銅貨2枚だが、どうする?」
「毎日朝と夜に頼む」
「飯は、朝は6~9時、夜は18~21時まで、
メニューは俺の奥さんの気分次第だ」
夫婦で営んでるのか。
「早速今から貰えるか?」
「ああ、平気だぜ。部屋は2階の203、
食堂はそこだ」
店主は直ぐそこにある扉を指差した。
「感謝する」
店主に金を渡して鍵を受け取り、特に置く荷物も無いためそのまま食堂へ向かう。
食堂は一般的な食事処で、今は俺の貸切だった。
適当な席に腰掛け、飯を待つ事にした。
2、3分待つと、美味しそうな匂いの料理を持った
ふくよかなおばさんがやって来た。
「今日のメニューは生姜焼き定食だよ、お客さん」
俺の目の前にホカホカと湯気を出す食べ物達が
置かれていく。
サラダ、生姜焼き、味噌汁、米。
メニュー自体は日本と変わり無かった。
礼を告げ、1口、肉を口に入れる。
(うっ..美味い!!明らかに日本の飯より!
こっちにいる生き物の方が美味しいのか!?)
貪る様に、けれどもしっかり味わって完食した。
「ご馳走様、凄く美味かった」
食堂を後にし、自分の部屋へと入る。
中は日本の一般的なホテルと対して
変わらなかった。
俺は一目散にベットに倒れ込む。
「疲れたぁ〜」
何だかんだで今日は色々あったからな。
かなり疲れた。
俺はそのまま眠りに落ちた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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