第9話 冒険者登録とチンピラ
ギルドの中はかなり広く、少し狭い体育館位の
大きさだった。
恐らく依頼を受けたり、依頼の報酬を受け取るで
あろう受付、依頼が貼りだされるている依頼版、
そして、陣地の大半を占めている、食べ物や酒が
売っていて、其れを飲み食いするエリア。
「冒険者登録は受付であってるか?」
俺は隣のラッカスに尋ねる。
「あぁ、それで合ってるぜ。俺らも依頼の報告を
するから途中まで付いてくぜ」
俺達は空いている受付の所へ行った。
「すまない、冒険者登録をしたいのだが...」
「承りました!登録料、銅貨3枚になります!」
元気そうな女の人だ。
茶髪で肩の所まで髪を伸ばしていて、ニッコリと
微笑んでいる。
胸元には、サリナと書かれた名札が付いていた。
「えーと....どうぞ」
俺は皮袋から銅貨を3枚取り出し、差し出した。
「では、こちらに必要事項を記入して下さい!」
俺は紙に名前や年齢を書いていく。
(そういえば、俺この世界の言語とか知らないぞ?
その割にはラッカスとかとも会話出来るし、
読むことも書くことも出来る。ディアナ様の
加護か?本当に頭が上がらないな)
そんな事を考えながら、記入を続ける。
そして最後に、特待試験にチェックを付けて
提出する。
「ありがとうございます。特待試験を受けるん
ですか!?」
「あぁ。もしかして受けられないか?」
「いえ、受けられますがらあまり受ける方が
居ないので驚いてしまっただけです。
申し訳ありませんでした」
ラッカスの言い方的に、コネ以外で受ける奴は
少なそうな感じではあったが、何故だろうか?
「そんなに珍しい事なのか?」
「えぇ、特待試験ってめっちゃ難しいですし、
試験料もそこそこしますからね」
おい、あいつそんな事言って無かったぞ。
流石に足りない事は無いと思うが。
俺は後でラッカスに何か奢らせる事を胸に決めた。
「因みにだが、最短でいつ受けられる?」
「正確な日時は分かりませんが、早ければ明日
受けれるかもです。もしお時間があれば明日、
ギルドを訪ねて下さい!」
「分かった、ありがとう」
俺は にっこりと微笑んだ。
「いえいえ!」
満面の笑みで返してくれた。
試験料は試験を受ける時に渡せば良いらしい。
一先ず今日は帰ることにした。
ラッカスに外で待っていると伝え、
外へ出ようとすると...
「おい、お前特待試験受けるんだってぇ?」
見るからにチンピラ風な冒険者が話しかけてきた。
「そうだが、何か用か?」
「お前みたいな奴が受かる訳ねーだろ!
ガキは帰っておねんねしてな!」
ギャハハハハ!と笑うと、近くに居た柄の悪そう
な奴も何人か笑いだした。
「テンプレ過ぎだろ...」
「あん?なんだってぇ?」
「いや、何でも無い。用が無いなら失礼する」
そう言い、外へ出ようとすると、
「待てやコラァ!」
何か怒鳴ってきた。
「何だ?俺が試験を受けようがお前には
関係無いだろ?」
「うるせぇ!てめぇ、サリナちゃんと
仲良くししてただろ?サリナちゃんは
てめぇみてぇなカスが話しかけて
良い人じゃないんだよ!」
なるほど...つまりこいつはサリナさんが好きなのか
(まぁあの人可愛かったし、モテそうではあるよな)
「受付嬢なんだから当たり前だろ?」
「んだとてめぇ!俺はあんな風に楽しそうに
笑いかけてくれないぞ!?」
「それは単純にお前がキモくて怖いから
じゃ無いか?」
「何だとおぉぉ!」
ストーカー粘着男はみるみるうちに
顔が赤くなった。
周りでは柄悪そうな奴らが やっちまえー と
囃し立てている。
流石に、こんな場所で
喧嘩する馬鹿な奴はいな「喰らえぇぇぇ!」
.....居たわ。
俺は右ストレートを少し横にズレて躱し、伸びた
手を掴み、相手の足を蹴って地面に投げ付ける。
「へぶしっ!」
馬鹿は呻き声を上げ
《スキル 格闘術を獲得しました》
そして俺はほんの少し魔力と殺意を込めて、
騒いでいた奴らに向けて口を開いた
「何か文句あるか?」
「ヒッ」
先程まで囃し立てていた奴らは産まれたての子鹿の
様になった。
《スキル 威圧を獲得しました》
俺はそいつらを一瞥し、外へ出た。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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