EPISODEⅩⅥ 紅に染まる翡翠
δ星、ワサトが消滅して数時間が経った。
戦い終えた6人は、街外れにある避難所を訪れていた。
「
「わ、私…守れなか…た、私の…弟、なのに…!」
ふらふらと避難所を出ようとする
そんな2人を心配そうに見つめる他の4人。
「探さ…なきゃ、
譫言のように、その名前を反芻しながら
外に出て、血に染まった街をゆっくりと見渡しながら歩く。
至る所に落ちている人間の死体、その全ての頭が無くなっている。
老若男女、色んな人が首から血を流して倒れている。
「ど、れ…?」
顔がないから、
一体、どれが
「あ、あぁ…、私、どうしたら…っ」
家にあった
それからどれだけ時間が経っただろうか。
陽は落ちかけて、辺りは薄暗くなってきていた。
吐き気を催す惨状。
そのはずなのに、
「一体、何人が死んだんだろう…?」
幾数の死体を見続けて、徐々に感覚が麻痺してきている。
翠は柘榴の死体を探しながら、転がる死体の数を数えたりしていた。
「はは、30人超えたぁ…。」
我に返ると、狂いそうだったから。
現実だと、思いたくなかったから。
いや、むしろ。おかしくなっていたのかもしれない。
十字路に差し掛かった時、左側の道に見覚えのある赤い服の死体が見えた。
「…あ。居た。」
道路の真ん中にある死体は、間違いなく
その近くには黒いランドセルが落ちていた。
深呼吸をして、
「あ…これ…、
小さなその身体を、持ち上げて抱き締める。
首から噴き出した血液でべとべとに濡れている。
赤い服を着てくれていて助かった、別の色なら変色して見つけられなかったから。
頭の無い死体は、記憶の中の
「…ざ、くろ…っ、ごめんね…守って、あげられなくて…!」
化け物に怯えて家に籠っていた自分自身を殴りたくなって、
息が出来なくなって、涙が零れて、苦しくて、耐えられなくなって立ち上がる。
死体から視線を逸らしてから、呼吸を整える。
近くに落ちていたランドセルから、血が染み着いた御守りを引き千切った。
それは、
御守りを受け取った日の
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