EPISODEⅩⅠ 減少する人類

「う、わぁ…。暗い能力ばっかだね…。」

「でも、すげぇ強そうじゃん…!!」

或空あるくQUASARクエイサーを覗いた2人は感想を口にする。

その文字を軽く読んだ或空あるくは静かに嗤うと、瞳の中の銀河が輝いた。

「ははっ、これでアイツと戦えそうだ。」

「あ…、アイツって、あの怪物かよ…?!」

彼らが戦うべき存在はひとつ、ディオスクロイの手先。

しかし、彼らがソレに対抗する為には人の数が足りない。

少しの時間も待っていられない或空あるくは、すいたちに会いに行くことにした。


再び、紅輝こうきの記憶にアクセスしてすいの自宅へと移動した。

遠くでは先程対峙した怪物が暴れている音と、人間たちの悲鳴が響く。

すい!居るか?!」

バァンと勢い良く扉を開けると、架恋かれん結藍ゆらんも部屋に居た。

家の中には他に人は居ないらしい。

「こ、紅輝こうき…?!無事だったんだ…!!」

怪物を見てから集まった3人は、紅輝こうきを探していたらしい。

すい紅輝こうきの顔を見て、ほっと胸を撫で下ろした。

「あれ、蒼月あるなさんと或空あるくくんも居るんですね…。」

「あ、ほんとだぁ。」

蒼月あるな或空あるくに視線を向けた3人。

再会の時間も程々にすいは焦った様子で或空あるくに向かって話しかけた。

「あの、なんか…怪物みたいな奴が…、人間を…喰って…っ!!」

震えながら必死に状況を伝えようとするすい

その時、家の外から不快な音が響き渡る。

ミシミシと何かが軋む音、同時に悲鳴が上がって紅輝こうきは恐怖を思い出す。

アイツの咀嚼音、人間を喰らう音。

「ま、また…喰って…る…っ!」

ガタガタと震え出す身体、なにも出来ない無力さに絶望を感じる。

刹那、思い付く。自分はデュナミスになった存在なのだと。

「…っ血液分離ハイマ・アフェレシス!!」

そう小さく呟いた紅輝こうきの掌から、大量の血液が噴き出る。

「きゃぁぁあああああっ!!」

それを目にした架恋かれんは咄嗟に目を瞑って叫び声を上げる。

すい結藍ゆらんも、同じように紅輝こうきを見つめて固まっている。

「…だい、じょうぶ…っ!!」

まるで自我を持つように蠢いた血液は、徐々に形成を始めて。

紅輝こうきは血液で生成したナイフを掴んで、窓から外に居る怪物目掛けて投げ飛ばした。

放ったナイフは怪物の背中に深々と刺さる。


『πονάει. Ποιος είναι αυτός;』

呻き声をあげた怪物はゆっくり振り返ると、ぎろりと鋭い視線をこちらに向けた。

「…やば、こっち来るよ…っ?!」

「…っ!!瞬間移動パラノイア・モンド!」


眩い光が6人を包み込む。

再度、皆をアストラルに移動させた蒼月あるな

移動するなり何もない白い世界に蒼月あるなは倒れ込んだ。

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