EPISODEⅤ 銀河との連結
放心状態で固まっていた人間たちに家に帰るよう促して、
残された3人は近くに聳え立っていた廃屋の中に居た。
光の差さない暗い部屋の中、3人は其々の瞳を光らせながら話をする。
「で…、
「ボクが喚んだからじゃないの?」
「それもある!…けど、これ渡しに来たんだ!」
水晶玉の中では、赤く輝いた銀河が一定の周期で自転していた。
「…これ、クェイサー…か?」
「そうだよ!全天神セイリオス様に代わって届けに来た!」
ディオスクロイが侵攻し、雷霆ケラウノスを以て天狼星に攻勢を開始したこと。
その攻勢に依り、人間界では異径の類『テラス』が出現し始めたこと。
「…じゃあボクたちを襲った、あの獣は…!」
「あぁ、恐らくテラスだろ…。」
天空神ゼウスの雷霆ケラウノスに創られた存在だったからだ。
それが意味する、この世界の未来を想像して背筋が凍る。
「ディオスクロイの目的は、天狼星の生命体を抹殺することらしいね!」
こんな状況でも笑顔を崩さない
今はそんなことよりも、この未曾有の危機を脱する方法を考えなければならない。
頭を悩ませていると、不思議そうな顔で
「…え、これ使うと思って持って来たんだけど?」
そう言って
赤い光を放ちながら、自転を続けている。
「そう、か。これを人間たちに…。」
「えっ?!そ、そんなの危ないよっ!!」
赤い瞳が、赤い銀河にリンクしていく。
赤色矮星アルコルと、赤方偏移クェイサー。
それは瞬く間に強烈な赤光となり、水晶玉の中の銀河が
「
光が収まった瞬間に、
「…オレ、クェイサーとは相性いいから。心配すんな。」
以前では見せなかった怪しい笑い方で答える。
綺麗な赤色だった
代わりに、右の瞳は何もしていなくても仄かに発光する程度の輝きを放つ。
「オレがクェイサーを制御する、だから人間たちにも力を…。」
不揃いな瞳で、そう願った。
もちろん、最初に脳裏に過ったのは今日会った人間たち。
夜が明けたら、彼らにクェイサーの力を分けることとなった。
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