第3話 ダンジョンダイバーランク人生が始まった
「はい、全員お静かに~」
と言うだけでピタリと治めた。
スキルかな?
「それではステータスチップを配りますね。各自スマホに差し込んで下さい」
すると、皆が机の上に俺のと全く同じ機種のスマホを取り出した。
どうやら俺が持つこのスマホ、学校からの支給品らしい。
そ、そう言う理由なら連絡先ゼロ、メッセージゼロもおかしく無いよね?
配られたスタータスチップとやらを、同時に渡された手順通りに差し込んでみる。
その直後、スマホがバイブしたかと思うとステータス画面が表示された。
氏 名:
種 族:人族
レベル:1
職 業:ノービス1
体 力: 5/ 5
魔 力: 5/ 5
強靭性: 5
耐久性: 5
敏捷性: 5
巧緻性: 5
知 性: 5
精神性: 5
経験値: 0
討伐数: 0
称 号: -
DDR: F
スキル:攻略データベース
あれ?
<攻略データベース>のグレーアウトではなくなってるな。
もしかして、使えるのか?
使える様になったとして何故使えるようになった?
あ、もしかしてゲームが開始されたのかも。
主人公達が入学式に遅れて登場、オープニングで良くあるパターンだと思います。
で、本編開始と同時に俺のスキルも有効化された。
とは言え、この場で使う気にはなれない。
見られたらやばい事が起きるかもだし。
「ステータスがオール五って何だか凄いね!」
と俺のスマホを覗き見て驚きの声を上げたのは八月一日だった。
「!?」
俺は心底驚いた。
スマホの画面が除かれる距離まで近付かれたのに、俺の耳がそれを拾えなかったからだ。
「ちょっと、止めなさいよ紅!」
それを小声で諫める
お前もいつの間に・・・
もしかしてお前ら隠密系のスキルを持ってたりするのか?
「ご、ごめん」
八月一日は謝った。
しかし、時すでに遅し。
すでに賽は投げられていたのだ。
八月一日の大声と言う名の剛速球とそれを捕球した小鳥遊のキャッチャーミット音で。
「「「えぇ!?」」」
騒然とする教室。
俺は思わずスマホを隠してしまった。
「アイツ、マジでオール五?」
「流石にやばくない? 中学で図書部だった私でもステータスの最低値は強靭性の六よ?」
ひそひそ声でしゃべってもちゃんと聞こえてるからな。
それにしても、図書部女子の
この体のモブキャラ、どんだけモブ!?
驚きと恥ずかしさが同時に襲い掛かり、顔に夏日の如き火照りを感じた。
「はい、全員お静かに~」
この日二度目となる、強制マイクオフが執行された。
「ステータスの高低に一喜一憂してはいけません。この値はダンジョンダイバーとしての始まりでしかないのです。何故ならば、皆さんの努力次第で幾らでも上げる事が出来るからです。その証明をする為、次時限から早速本校の管理ダンジョンに入り、初めてのレベルアップを経験して貰います。尚、集合場所はダンジョン入口のある地下屋内広場です。決して遅れない様にお願いします」
――キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
春夏冬先生のお言葉が終わるのを待っていたかのように、授業終了のチャイムが鳴り響いた。
地下屋内広場は巨大なコロッセオの如き空間であった。
入口側から見て奥の壁面付近に赤い燐光を纏ったノイズ線が見える。
ダンジョンの入口だ。
あれに触れるとダンジョン内に入るのだとか。
「いよいよだ! いや~、この日をどんなに夢見た事か!」
と言ったのは八月一日 紅だ。
それに集まった皆が口々に同意を示した。
すると、
「鎮まれ! 鎮まれ~!」
入学式でも竹刀を手にしていた先生が声を張り上げた。
声がピタリと止んだ。
隣にいた春夏冬先生が「
・・・雑なキャラ付けと名付けだな、おい。
「一年E組、F組の皆さん、お揃いですね。では出席番号順でこの箱から一人一本棍棒を手に取って下さい。入学説明会でも伝えましたが防具類は不要です。支給品である学生服はDランクのダンジョンまで耐える仕様ですから。それでは私の後に続いてダンジョンに入りましょう。そうそう、大事な説明を忘れてました。本校の管理ダンジョンは授業内容に応じてダンジョンダイブした際の開始地点を固定またはランダムに設定します。今回は固定です。自主練としてダンジョンエントリーする際はランダムとなりますので気を付けてください。では、改めてダンジョンエントリーを開始します。尚、竹刀先生は不測の事態を考慮してこちらで待機して頂きます」
春夏冬先生はそう言った後、棍棒も取らずに奥へと進む。
やがて、赤いノイズ線に触れた思われた瞬間消えた。
「凄ぇ・・・」
確かに凄い。
が、それよりも学ランが防具代わりになるのが驚きだ。
さては防具類を一々着替えさせるの面倒臭がったな。
大丈夫か、超有名ゲーム会社製作陣。
そこはこだわってユーザーに楽しんで貰うところでは?
今頃大失敗してそう。
「生で初めて見たわ・・・」
皆が感嘆の声を上げる中、一人が声を張った。
「みんな! 春夏冬先生が待ってるよ! 行こう! そして始めよう! 僕達のダンジョン活動を!」
「なに、先頭に立って入ろうとしてるの、紅。出席番号順でしょう?」
「うっ・・・」
八月一日は出鼻をくじかれ、悔しそうにしている。
そんな彼と一緒に小鳥遊はF組の最後尾に移動した。
「んじゃ、E組の出席番号一番から順次前へ進め!」
竹刀先生の号令に
「はい!」
皆が応じ、俺達は順番にダンジョンへと向かった。
ピシパシと不規則に跳ねる赤いノイズ。
それに触れた者から順に姿が消えていく。
やがて俺の前の女子が消えた。
その直後、赤い線が俺を襲う。
気が付くと俺はダンジョン内であろう石造りの伽藍洞の中に立っていた。
天井から淡い光が降り注いでいる。
照明要らずの良くある設定に俺は人知れず安堵した。
だが直ぐに気を引き締める。
伽藍洞の先から人ならざる物の音が聞こえたからだ。
それでも、胸の高鳴りまでは抑えられそうもなかった。
まぁ、仕方がないか。
ついに真の、
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