第2話 本ゲームの主人公とメインヒロインだ
氏 名:
種 族:人族
レベル:1
職 業:ノービス1
体 力: 5/ 5
魔 力: 5/ 5
強靭性: 5
耐久性: 5
敏捷性: 5
巧緻性: 5
知 性: 5
精神性: 5
経験値: 0
討伐数: 0
称 号: -
DDR: F
スキル:攻略データベース
さて、言いたい事は色々あるが取り敢えず上から順に見て行こう。
氏名はまあ良い。
知ってたし、敢えて言うなら、適当に付けられたモブキャラらしさが良く出ているな、程度だ。
次に種族だ。
人族? 人間じゃなくて?
要するに人間の中に他の種族がいるって事か。
エルフ、ドワーフあると思います。
特にエルフ。
売り上げ的にな。
次はレベルだ。
これはゲームにも良くある一般的な項目だ。
魔物を倒した時に得られる経験値が一定数を越えると少しずつ数値が上がっていく。
んでレベルが上がるタイミングでステータスも上がるのだ。
次は職業だな。
ノービス?
確か意味は『初心者』だったか。
何かしらの条件を達成するとジョブチェンジ出来るのだろう。
ノービスの横に数値があるのはジョブレベルだ。
ジョブレベルが上がると、ジョブスキルを覚えるらしい。
体力は五か・・・比較対象が主要キャラのステータス値になるが明らかに低い。
ま、この身、モブだし。
仕方がないとも言える。
体力値は確か、休憩なしに歩くと減る。
攻撃を受けても減る。
血を流し続けても減るんだったか。
んで、ゼロになると管理ダンジョンだと強制的に排出され、更にはペナルティなのか二十四時間全ステータスが半減する。
尚、非管理ダンジョンの場合はその場で意識を失うらしい。
ほぼほぼ死を意味する感じだ。
体力管理大事。
魔力も五。
これは魔法を含めたスキルを使う際に消耗する。
当然ながらこの値も低い。
モブならではである。
その他のステータス、強靭性は力強さ、耐久性は我慢強さ、敏捷性は身軽さ、
ま、ステータスが低いのは予想通り。
自分モブなんで。
問題はオール五って点だ。
制作陣、幾ら何でもやるき無さすぎだろ。
もしかして全モブキャラのステータスはオール五なのか?
経験値は言わずもがな。
モブなんだからゼロで良いだろう? ですよねー、って感じだ。
称号はダンジョンで得られる。
ゴブリンばかり倒していると<ゴブリンキラー>ってな具合らしい。
その場合、物理・魔法に関係なく攻撃対象のゴブリンに対して追加ダメージが乗るのだとか。
当然、モブにそんな設定付く訳ない。
尚、算出方法は非開示とのこと。
問題は最後のコレ。
スキル<攻略データベース>だ。
一体なんなんだ?
これだけ文字色がグレーアウト(薄灰色)されてるし。
「一番君は全ステータスが五、でスキルが無し、と」
んん? スキル無し?
ちょっと反応に困ったぞ。
すると、
「これから凄く大変だとは思うけど頑張って生き抜いてね」
次の人に為に席を空けるように促される。
俺は言葉に詰まりつつ、
「・・・あ、はい」
席を離れた。
「ステータス測定が終わった者はこっちに集まれ~!」
竹刀の先生が叫んでいた。
俺はそちらに向かいつつ、道すがら思考の海に潜る。
春夏冬先生にはスキル<攻略データベース>が見えてない?
何故だ?
グレーアウトされているのと何か関係があるのか?
あと、<攻略データベース>と念じても何も起きないのはどうしてなのだろう?
そうこうしている間に全高入生のクラス分けが終わったらしい。
俺は一年F組。
出席番号は三十八番となった。
どうやらクラスと出席番号はステータスの良い順で決められたらしく、俺は全高入生中三番目にステータスが低かったらしい。
後の二人がどんなステータスだったのか凄く気になる。
オール四だったりしてな。
ま、いずれにしろほぼモブキャラの中のモブ。
モブキャラ界の準ブービー賞だ。
拙い、このままでは夏休み前に死んでまうかも・・・
暫くすると、クラスに移動となった。
クラスの席は最前列奥側から出席番号順で決められていた。
自席に着席した後は担任である春夏冬先生と生徒の自己紹介が始まった。
何名か「あれ? その特徴的なお名前は、もしかしなくとも主人公? ないしは主要キャラ?」的な存在を感じ取りつつ、いよいよ俺の番となる。
ちょっと気になる音がすごい勢いで近付いて来ているがな。
それはそれ、これはこれ。
気付いていない体で、モブキャラらしく無難な自己紹介をしたいと思う。
「次は一番君お願いね」
春夏冬先生に呼ばれ、俺は立ち上がった。
そして自己紹介を始める。
「はい、一番 一です。趣味は読――」
刹那、教壇に近い方の扉が開けられ、一組の男女が教室に飛び込んで来た。
その姿を見た瞬間理解した。
俺が実質最下位だったと言う事を。
まぁ、そんなこったろうと思ったよ。
「す、すいません! 僕達は登校途中に気分が悪くなった見ず知らずのお婆ちゃんを病院まで送ってたら入学式に遅れました!」
と男の方が言った。
何と言う説明台詞。
そして日本人には珍しい、と言うか皆無な筈の自然な赤毛にスラリと長い手足。
「やだ、カッコイイ・・・」
と誰かが思わず口にするほどの整った顔立ちをしている。
一方の女も際立っていた。
銀色に輝く髪、波照間ブルーの如き瞳。
それが違和感なく収まる、いやベストチョイスと思わせる容姿をしている。
「貴方達、お名前は?」
春夏冬先生が言った。
それに遅れて来たイケメンが答える。
「僕は
「ちょっと、こいつは無いでしょ?」
白いのが言った。
さて、高校初日に遅れて登校。
その理由が人助け。
一際目立つ容姿。
変わった苗字。
間違いない――
「入学式に出てないから八月一日君の出席順は四十番、一番後ろ廊下側の席ね。小鳥遊さんはその隣、三十九番に着席してください」
「「はい!」」
「では、そのまま自己紹介してくれるかしら?」
「はい、さっきも言った通り名前は八月一日 紅です。出身中学は地元の市立南中学校、部活は剣道、空手、水泳、陸上それにサッカーをやってました。全競技で全国大会出場。そんな俺の夢は
「改めまして、私の名前は小鳥遊 白です。出身中学は紅と一緒の市立南中学校。部活は書道部と華道部、それと料理部に入ってました。本校入学理由は高ランクのダンジョンダイバーに対して高レベルな支援が出来る人になりたいと思ったからです。皆さんよろしくお願いします」
――こいつらが本ゲームの主人公とメインヒロインだ!
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