第6話
「ナツキーー!今日は一緒に川へ行くぞ!昨日、魚捕りの籠を貰って仕掛けておいたんだ!」
「ほんと?!ケビンおにいちゃん、おさかなとったの?!?!」
「まだ捕れてるか分らないよ?シスター・エマにも言ってあるから一緒に行こう!」
「うん!行くー!」
「本当にナツキは食いしん坊だ〜ね〜。」
やった!今日はケビンおにいちゃんとトーマスおにいちゃんと一緒に魚捕りだ!
お魚と聞いて、なっちゃんは俄然『フィッシュバーガー』が食べたくなった。
マクド◯ルドの中でも一番好きなバーガーが白身のフライがサンドされたあの『フィ◯オフィッシュ』だったから。
ウキウキした気持ちで二人の後を遅れない様に着いて行き、街の門まで初めてやって来た。
お目当ての川は、門を出て直ぐ見える場所に流れており、シスター・エマから預かった通行許可証で3人まとめて守衛の元へ足を運ぶ。
「お願いします!そこの川に魚捕りの籠を取りに行きます!」
ケビンおにいちゃんが守衛さんへそう声を掛けた。すると、昨日罠を仕掛ける為に通った時と同じ人だったのか、許可証を確認すると『捕れてるといいな!』と言って送り出してくれたよ。
「おさかな、とれてるかな?」
我慢出来ずに2人に声を掛けると、トーマスおにいちゃんが『ナツキの食い意地に負けて、魚も罠に掛かってくれたかもよ?』と、笑って答えてくれた。
川辺りまでやって来ると、澄んだ水が緩やかに流れる綺麗な川であると分かった。
なっちゃんは、それを見ただけでもテンションが爆上がりだ。
「きれー!おみずのそこまで見えるよ!」
「こら!危ないからナツキはあまり川に近付き過ぎちゃだめだよ!」
「ほら、僕と手を繋いで行こう。もし川に落ちたら、ナツキが逆に食べられちゃうかもしれないぞ〜!」
そうトーマスおにいちゃんに脅されては、手を繋がない訳がない。なっちゃんは慌てて戻り、トーマスおにいちゃんと手を繋ぐと一緒に罠を仕掛けた場所まで進んで行った。
仕掛けの目印をケビンおにいちゃんがゆっくりと引き上げる。
川へと伸びたロープが、徐々に岸辺へ手繰り寄せられ、籠の上部が見えて来る。そこでトーマスおにいちゃんが呼ばれた。
なっちゃんは『ここにいる様に!』と、言われたので近くで見たいのを我慢して待っている。
魚捕りの籠を二人がかりで持ち上げると、籠の中には元気に跳ねる魚たちが入っていた!
そして、それを見たなっちゃんもその場で飛び跳ねて喜んだ。
「すごい!すごいね!おさかなはいってた!」
「ああ!これなら皆で夕飯に食えるな!」
「でもさ〜〜重いよ!早く締めて入れ物に移そう!魚捕りの籠が壊れそうだよ!」
トーマスおにいちゃんの言葉で我に返ったケビンおにいちゃんが、罠の蓋を開けて魚の尾を持つとそのまま地面に打ち付けた。
次々と締められる魚を前に、呆然とするなっちゃん。実は生きている大きな魚を間近に見るのも、実際に締める様子を見るのも初めての体験だった。
2人のワイルドな締め方に、恐れをなしたなっちゃんであった。
その夜、夕飯にお魚が入ったスープをみんなで食べた。『フィレ◯フィッシュ』が良かったな……と心の中でなっちゃんが思っていたのはナイショである。
そして夢を見た。パパとママと川でバーベキューをした思い出の光景だった。
パパが用意してくれたお魚を丸ごと焼いて食べた。ウインナーや玉ねぎ、あまり好きじゃないけどピーマンも残さず食べた。
滑って尻もちを付いてびしょ濡れになった。
なっちゃんはそんな夢を見て、朝になる前に目が覚めてしまい布団の中で泣いた。それに気付いたケビンおにいちゃんとトーマスおにいちゃんが、2人で両側からギュッとしてくれる。
ちょっと苦しかったけど、2人にサンドされたなっちゃんは『ボクってフィレ◯フィッシュのお魚みたいだ…』と、変な事を考えている内に再び眠りに落ちて行った。
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