Report03_しあわせのかたち

ロイドに身の回りの世話を任せ始めたのは彼女が生まれてからすぐのことだった。彼女を家の外に連れ出した時、初めて見るものばかりの彼女の目にはひとつひとつのものが輝いて見えた。森の木々や鳥、花や苔などあらゆるものに興味を示した彼女を、彼は森から連れ出してやった。

彼女の手を引き、村の入り口まで案内した。小さな村だが人々は農業や狩猟で得たものを売り、生活している。彼も何度かそういった店を利用したが、その度に良い顔はされなかった。

そんなことを口にすると彼女の手を引き、再び森の方へ引き返した。

ロイドは彼の横顔から悲しみを読み取っていた。

それからのことだった。彼女は自分から村へ買い物に行くと言い出した。彼自身、村の連中と会話をするのは気が乗らない。しかし食品などを簡単に仕入れるならば連中から買うのが何より早い。ロイドにも何か役目があった方が良いと感じ、それを受け入れた。

村の連中は初めてロイドを見た時はかなり困惑していたと言う話だった。気味の悪い白衣を着た男が住む森から、見知らぬ少女が出てきたとなれば確かに驚きもするだろう。しかし彼と違い社交的な彼女に対し、村の人間は快く受け入れた。

それからというもの、外への買い出しや食事の用意などは日常的にロイドに任せるようになった。

食事の時間になると、向かいの席に彼女が座り、その日あったことを楽しそうに話す。それが、あの村の連中とのことであろうと楽しそうに話す。しかし彼は、彼女の楽しそうに話す姿を見ているだけで良かった。

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