3 ???

 煤けた窓のむこうで、ちらほらと雪が降ってきたのが見える。


 室内であっても吐く息は白く、しっかりとコートを着込み、手袋に、マスクをしていても、骨の芯まで凍りついてしまいそうなくらいの寒さなのだから、雪が降るのも当然だった。


 曇り空。

 それでもぬるく差し込む暗い日光が、室内に漂う埃の影を、不吉の予兆のように無数に浮かび上がらせている。


 もうすぐだ…。

 彼らがここへやってくる。


 誰も生きては帰れない。

 この黄金が潜む館の中からは。


 みつめていたそれから目を背けると、やがて次の部屋へ行くためにその場を離れていった。


 やがて夜が、すべてを闇の中へ沈みこませる。





 

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