第168話 TS分からせお仕置き

「大きくなったなぁ」

「リッヂィィ」


 おそらくなんだが、ヴァイオレットたちがフォーネリア王宮にあるありったけのMPポーションや万能薬エリクサーの類をかき集め、リッチルにドーピングしているようだ。


 ただ甘えたのところは相変わらずで、俺にすり寄ってきて触れるとひんやりとした感触が伝わる。うにゅ~んと延びてきて、王冠を俺の頭に被せると黒いゼリー状の物体で俺を包んでくれていた。


「済まんな」

「リッヂィ!」


 リッチルは全裸となってしまった俺の服替わりになってくれるつもりらしい。


 カースドラゴンを俺が追放したことで、ガーゴイルたちも出現しなくなった。


「ここに駆けつけてくれたということは、王宮のガーゴイルは片付いたのだな?」

「リッヂィィ!!!」


 リッチルはビシッと敬礼のような形を作るが、まるで俺が敬礼しているようにしか見えないんだが……。


 だが向こうでアタッカーを務めてくれていたリッチルが応援に回ってくれて、心強い。なんせ俺は魔法はからっきしだから。


 リッチルを身にまとった俺は聖槍ジークフリートが刺さり、身動きの取れない魔神王のまえへと歩み出た。


「ボ、ボクをこんな使い方するなんて、なんて奴だぁぁぁ!!!」

「つべこべ言わず、世界平和のために殉じろ。我が愚弟よ」


 口から噴水のように血を吐いた魔神王は俺に皮肉を言ってくる。


「かはっ! 弟を犠牲にして、私をここまで追い詰めるとは……さすが魔王と呼ばれる男ではある……」

「ククク……それは貴様も同じだろ? ジークフリートは人にこき使われてこそ生きる男だ」


「違うよっ!!! ボクはだな、人の上に立ってこそ……」


 帝王学に一家言ありそうなジークフリートを無視して、まだ息のある魔神王の倒し方を思い出していた。



 愛から……。


『おにぃでもあのキモい神父を倒すのは難しいよー』

『何故だ、答えろ』

『あいつはね、自動回復があるからダメージを与えてもしばらくすると元に戻っちゃう』


『俺のフルパワーでもか?』

『うん……粉砕しても微粒子レベルで存在するの……。魔素の源みたいな奴だから……』

『そいつは厄介だ。だったらこういうのはどうだろう?』


『さすが、おにぃ!』


 俺が愛にとある方法を示すと愛は俺を誉める。さすがなのは愛の方なんだが……。

 


 ともあれ、俺は愛から名案という太鼓判をもらった作戦を結構する。


「リッチル、頼む」

「リッヂィィーーーーーーーーーーッッッ!!!」


 俺が魔神王の髪を掴むとリッチルがむにゅむにゅと身体を揺らし始める。リッチルをまとったままだと気持ちよくて変な気を起こしてしまいそうなんだが、我慢する。


 リッチルの身体はどんどん萎んでゆき、俺の股間を辛うじて覆っているだけになってしまう。それと呼応するように魔神王の猛った股間は萎み、おしりに乳房は張りのある物へと変化していた。


「サキュバス……」


 思わず口からこぼれた。


 魔神王は【TS化】してしまうと姿をイケオジから妖艶なサキュバスに変えている。


 おしりに生えたしっぽは先っぽがハートマーク、紫がかった髪に山羊のように巻いた角、平たく言って【TS化】というより【サキュバス化】したと言って良かった。


 エナメルのように黒光りする布がはちきれんばかりの乳房を覆い、股間は申し訳程度のエナメルっぽい生地が隠すのみ。おへその下にはピンク色の淫紋が刻まれていた。


 俺の股間に来るどちゃクソエロい恰好だ……。


「なんだ、これは……」


 魔神王は明らかに自分の姿形が変化したことに戸惑っていた。俺はその戸惑いに乗じて、追撃を掛ける。


 愛から聞いたサキュバスの弱点は一つ。


「はっ!」


 俺が飛んでいるハエを捕まえるが如く素早くしっぽを掴むと魔神王は特異な反応を示した。


「しっぽ掴んじゃ、らめぇぇぇ~!!!」


 さっきまで男言葉を発して、キリッとしたお姉さん顔の魔神王は俺がしっぽを掴んだことで、猫にまたたびを与えたようにふにゃふにゃに蕩けてしまう。


 愛曰わく、どうもこの世界のサキュバスはしっぽを握られると人間を誘惑する力を失い、さらに処女のように男への耐性を失ってしまうらしい。


 いや、もう乙女ゲーじゃないだろ……。


「わ、わらひがもっろもきりゃう女ににゃるなんてぇぇぇぇーーーーーーーー!!!」


 こいつが男ならぶん殴ってやるところだが、悲しいかなサキュバスとはいえ、女の子。


 どうお仕置きすべきか悩んでいたが、俺にできることなんて一つくらいしかない。


 それにやられっぱなしっていうのもな……。


「貴様、さっきはよくもやってくれたな。俺にべたべたと触ってきたのだから、俺が貴様を触っても文句ないよな?」

「ひっ!? ら、らめよ、そんなとこ触れられたら私、私……変になっちゃう、あああああうんっ!」


 えっ?


 俺……そんな変なとこ触った?


 興味本位で角に軽く触れるだけで魔神王は艶めかしい身体をぶるぶると震わせ、まるで絶頂を迎えてしまったかのような表情を見せていた。


「リッチルよ、こいつに感度ましまし一万倍とかの魔法は使ってないよな?」

「リッチー!」


 リッチーは左右に揺れていたので、どうやら【TS化】以外のことはしていないらしい。


「お、お願いだから、も、もうこれ以上触れないでぇぇ……私、おかしくなっちゃうからぁぁぁ」


―――――――――あとがき――――――――――

次回は本格的に分からせ書こうと思うんですが……ピーがピーでピピーでもよろしいでしょうか?


ところでキューティーハニーが神絵師高峰ナダレ先生で新企画ですと!? これはソフィア・キューティーハニーを期待して良さそうですw

 

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