乙女ゲーのざまぁされる馬鹿王子に転生したので、死亡フラグ回避のため脳筋に生きようと思う。婚約破棄令嬢と欲しがり妹がヤンデレるとか聞いてねえ!
第159話 元カノがやり直したそうにこっちを見てる【ざまぁ】
第159話 元カノがやり直したそうにこっちを見てる【ざまぁ】
俺はジークフリートを潰さなかった……。いや正しくは言うなら潰せなかった、というのが正しい。
リッチルとのリンクが切断され、俺の手は元に戻ってしまったからだ。
ただ不思議なことにジークフリートの股間だけ綺麗に無くなっていた。
奴は途中で気絶してしまったから。
だが長時間締め付けられていたせいで死なずともエコノミー症候群となり、身体のあちこちが黒ずんで壊死を始めていた。
むしろ一気に潰されて死ぬより、そっちの方が苦しいかもしれない。
フリージアとエーデルワイスは聖女なので
が、二人はまったく動こうとせず、ジークフリートをまるで汚物かのような蔑んだ目で見ているだけだった。
そりゃ女の子をオナホ替わり程度にしか見ていないんだから、見捨てられて当然だろ。
「コビウルよ。手持ちのポーションをありったけ、こいつにぶっかけてやれ」
「ボフッ!? よろしいのですか?」
「こんなクズでも弟なんでな」
弟だから助けるというのはただの方便で、実際のところはスパダリのジークフリートが死ぬと世界の破滅というゲームオーバーを迎えるから否応なく助けなければならないだけ……。
「なんと慈悲深い……ジークフリートさまはブラッドさまを何度も殺そうとしていたのですよ。なのにお助けになるなんて、ボフウゥゥゥ……」
にも拘らず、コビウルは美しき兄弟愛みたいに涙を流して感動しているようだった。コビウルが落涙したことで集まっていた女の子たちまでももらい泣きしてしまい、困ったことになった。
みんなが俺がジークフリートに慈悲を与えたと勘違いするなか、声が後ろから掛かる。
「まさか……智くん……なの?」
クリスタは集まった女の子たちを押しのけて、輪のなかに無理やり入ってきた。和葉はこんな強引な子だったっけ?
「おまえはなにを言っているんだ?」
「私よ、私! 井澤和葉。覚えているでしょ? もう姿形は違っちゃってるけど……。智くんがチート王子さまだったなんて意外だったけど、逞しくてイケメンとかもう最高だよ」
俺を上目遣いで見てきて、すすり泣くクリスタ。
「転生してからの人生は、とにかくもう最悪だったの。ジークから毎晩のように強姦されて、苦しかった、ツラかった。もう生きている心地がしなくて、何度も自ら命を絶とうと……考えたことか……ううっ、ううっ……」
「ぞんなごどば、じでな……ごぶっ」
「あんたは黙ってて! 私はいま、ブラッドさまと話しているの」
クリスタは瀕死のジークフリートに石を投げつけ、言論を弾圧する。独裁者もビックリな所業だ……。
「でももう大丈夫。そんなツラい日々とはもうさようなら。智くん! いまなら……いいえ、ここならやり直せるよ。私と智くんが一緒になればラブラブで毎日楽しいに決まってるよ。ねえ、お願い……また私と付き合って」
凄いとしか言いようがなかった……。
前世で俺は鍛えすぎたせいで和葉から振られたと思っていたが、和葉は俺の預かり知らぬ間に一之瀬と浮気し、妊娠までしていたのだ。
信頼できる情報筋……愛と三迫からなので、ほぼ間違いない。
それでいて、やり直そうとか言ってくるとか、あまりの面の皮の厚さに俺は言葉を失った。黙っている間にもクリスタからは都合の良いことが高級寿司店のネタのように次々と手際よく並べられてくる。
「私ね、あのクソ上司に騙されていたの。智くんが美紗子と浮気してるって。その上、実の妹の愛ちゃんを夜な夜な無理やり性の捌け口にしてるとか吹き込まれて……」
百歩譲って、同僚と浮気というならあり得る話かもしれないが、実の妹に手を出すなんて最低野郎のやることだ!
あ、いや……いまは……なんも言えねえ……。
「さっきから黙って聞いていたら、自分の都合のいいことばかり……。おにぃはクズ葉のこと信じてたのに!」
「クズ葉じゃないんだから!
「クズなのは間違いないから。愛ちゃんの言ってることはすべて本当。和葉は岡田くんを裏切ったのに都合のいいことばかり……聞いてて、本当にムカついてきたよ」
「クリスタとやら聞け。仮に俺が智という男の生まれ変わりだったとしよう」
「うんうん、そうだよね、智くんは力持ちなのに、怖いところなんてなくて、みんなに優しかったよね」
「なぜ貴様のような浮気女と生まれ変わってまで、わざわざ付き合ってやらねばならんのだ? しかもなにも良いところがないじゃないか。己が助かるためには他人を売り、それでも無理ならプライドの欠片もなく己の貧相な身体まで売ろうとする……。貴様は俺が最も嫌い女だ! 恥を知れ、この痴れ者がっ!!!」
口は悪いがブラッドと俺の心中は完全に一致していた。
「ゆくぞ、皆の者。俺には痴れ者と付き合っている刻はない」
転生前、俺は和葉に捨てられた。
転生後、俺は和葉を捨てたのだ。
俺から捨てられた和葉は生気が抜けたように呆然と立ち尽くしていた。
「私が……智くんに捨てられた? うそ……」
クリスタは俺の突きつけた事実を飲み込んだようで俺の上着を掴んで呼び止める。
「お願い、なんでもするから捨てないで! 智くんに捨てられたら、もう生きる術がないの……」
「貴様はどこまで自己中なんだ? 誰かに頼って生きるしか能がないなら、なぜ智と言う男を裏切った? 答えろ、阿婆擦れ!」
「え、あ……あああ~!!! 私は悪くない悪くないのよ! 一之瀬がぜんぶ悪いの! あいつさえいなければ、私は智くんを裏切ってないから! 浮気なんてしてないからっ!」
「話にならないな……。貴様は他人に責任を擦り付けることしかできないゴミ以下の存在だ。ゴミはゴミでまだ利用価値があるのだからな!」
俺は上着を脱ぎ捨てるようにして、前世の呪縛を振り解いていた。
―――――――――あとがき――――――――――
ここに来てルマニですと!? おいおいおい、メガニケ運営さんよぉ、どんだけユーザーから絞り取るつもりなんだよぉ!!! しかし作者は安易におにゃのこに釣られるような浮ついた男じゃ……なぬ? タンクトップで揺れる? 引くしかないでしょう!
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